2021.11.23
最終更新日:2024.03.07

【ザ・ノース・フェイスの知られざる名品 #1】90年代に雪山を席巻した「RTGシリーズ」の日本企画ジャケット

「ザ・ノース・フェイス」のウェアは数あれど、目利きが太鼓判を押すのはどんなアイテムなのか? 「ザ・ノース・フェイス」のヴィンテージの世界的コレクターとして知られる、The Apartmentオーナー・大橋高歩さんに、数あるコレクションのなかから「これは!」という名品を教えていただいた。連載第一回は、マニアの間でも知らない人が多いという90年代の珍品から。

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RTG JACKET


目印の刺繍がないから埋もれてしまった名品

「RTGはRemote Terrain Gearの略で、90年代後半にスノーボードのバックカントリー用のラインとして登場しました。ヴィンテージコレクターの間では、アメリカ企画のRTGシリーズが人気なのですが、このモデルは日本企画なのでほとんど知られていません」

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90年代当時、ザ・ノース・フェイスのマウンテニアリングジャケットは、赤や黄色といった原色を中心とした派手なカラーが多い中、RTGシリーズは全体的にトーンを落としたアースカラーが特徴。このRTGジャケットも普段着としても着やすいカラーリングだ。


「RTGシリーズは、2020年にシュプリームが復刻したことで世間にも知られるようになりました。RTGのラインナップはたくさんあるんですが、そのほとんどには刺繍で『RTG』と入っているので、パッと見てもすぐわかるものが多い。でも、このジャケットはなぜか刺繍が入っていないんです。よって、RTGシリーズと認識されないまま、現在に至っています。USのカタログにも載っていないから、海外のコレクターも素通りしていますよ(笑)」

最大の特徴はハーフドームを模した切り替え

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「個人的に一番気に入っているポイントが、ウェア前後の切り替えデザインです。ザ・ノース・フェイスは直線的な切り替えデザインが多いので、このようなパターンは見たことがありません。それほど珍しいデザインなんです。想像ですが、おそらくロゴの(通称)ハーフドームをモチーフにしているんじゃないかと思います」
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素材は90年代のウェアでよく使われていたという、東レのDermizaxを採用。防水透湿性に優れていて、ストレッチ性が高いため着心地は快適。アクティブな環境で使うジャケットだけに、腕も動かしやすく、日常使いでも問題ない。


「20年以上前のモデルですが、流通量が多かったのと、目利きの人たちがこの商品の価値に気づいていないこともあって、今でも手に入れることはできると思います。古着屋やリサイクルショップを探せば、埋もれている可能性がありますよ」


The Apartment 大橋高歩

東京吉祥寺のセレクトショップ「The Apartment」オーナー。ザ・ノース・フェイスのヴィンテージコレクションは世界でも3本の指に入り、その造詣の深さを頼って彼のもとを訪ねる人は後をたたない。


Photos:Eigo Shimojo
Composition&Text:Tadayuki Matsui

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