バレンシアガ2021年秋コレクションから、アメリカ航空宇宙局「NASA」とコラボしたアイテムが登場。ワンポイントのロゴマークがインパクトたっぷりの、バックパック、スリングバッグ、ベルトバッグのバッグ3型がお勧めだ。
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宇宙に想いを馳せがちな“文化系男子”、必携!
パリコレブランドの「BALENCIAGA(バレンシアガ)」2021年秋コレクションから、“宇宙旅行”に着想したという「Balenciaga x NASA」コレクションが登場。
レトロフューチャー感満載のアイテム群は、ボンバージャケット、フーディ、ジョギングパンツのほか、キャップ、ソックス、フォンホルダーまで幅広い。その中で、使い勝手のよさげなバッグ3型にフォーカス。
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ラインナップは、大容量のバックパック、機能的なスリングバッグ、ウェストポーチ使いも可能なベルトバッグ。
各バッグのフロントには、男子ならば誰もが憧れるアメリカ航空宇宙局「NASA(National Aeronautics and Space Administration)」の公式ロゴマークが大胆に配置されている。一方、“BALENCIAGA”ロゴは持ち手やボディに控えめに施されている印象だ。
公式グッズかと見紛うほどに本格採用された「NASA」ロゴは2種類。両方採用した趣向が、「バレンシアガ」を手掛けるデムナ・ヴァザリアらしさかも。
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ここで、NASAロゴの変遷について、知る人ぞ知る仰天エピソードを紹介しよう。
1958年10月1日に設立された「NASA」の初代ロゴは円形で、当時も今も記念式典等で使用されるに過ぎない簡素なものだった。翌年早々に意匠変更が提唱され、NASA管轄のグレン研究センター広報部に所属するジェームス・モダレッリ(James Modarelli)がデザインした、通称“ミートボール”ロゴが1959年に誕生した。
今回のコレクションでは黒ボディのバッグに採用されている、合衆国旗の赤・青・白の配色を使ったレトロテイストなこのロゴマークは、「青い球(惑星)・星(宇宙)・赤い杉綾模様(超音速翼)・宇宙船・NASAロゴ」の5要素で構成。米国の威信を賭けて設立された巨大組織のイメージを世界中に植え付けるに十分のインパクトだった。
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ミートボールの愛称が定着してから10年余りが経過した頃、時のニクソン政権(1969年1月20日~1974年8月9日)主導のもと、「US federal design Improvement program」というデザイン政策が推進された。
当然のごとくロゴの刷新は「NASA」にも要請され、「ダン&ブラックバーン(Danne & Blackburn)」というNYにあった小さなデザインスタジオにロゴ制作を依頼。
リチャード・ダン(Richard Danne)とブルース・ブラックバーン(Bruce Blackburn)のデザインデュオによって、太いレタリングと美しい曲線を持った、通称“ワーム(Worm)”ロゴが1974年に誕生した。今回のコレクションにて白ボディのバッグに採用されているのが“ワーム”ロゴだ。
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しかし、新しいワームロゴが局内外に正式にお披露目される前に、この新ロゴが施された社用ステーショナリーセットが当局傘下の各部門に送付されてしまうという手続き上の大規模ミスが発生してしまう。
当局設立当初から15年近く使用されていたミートボールが、古株局員への十分な説明もなく新ロゴに置き換えられるという社内不祥事の結果、ワームロゴが正式採用されてからも心象的な軋轢は残ったという。そして、局内はおろか世論的にも、ミートボール派とワーム派の派閥が生まれるほどに事態は歪んでしまうのだった。
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公式にはワームロゴを採用しているとはいえ、旧ロゴの古き良きイメージも消え入らぬまま、18年後に事態はまたもや急変する。1992年、当時のNASA局長だったダニエル・ゴールディン(Daniel Goldin)の鶴の一声によって、なんとミートボールロゴが復活。
理由は、チャレンジャー号爆発事故(1986年1月28日)の暗いイメージを払拭し、在りし日の輝かしいNASAの象徴を取り戻し、職員の士気を上げるための施策だったとされている。これが、2種類の「NASA」ロゴが一般認知されている理由であり、ロゴアイテムのライセンス契約上、双方を用意する根拠にもなっているのだ。
この「バレンシアガ」の「NASA」バッグも、ミートボールロゴ派とワームロゴ派に分かれるかもしれない!?
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