「トッズ」と聞けばドライビングシューズ「ゴンミーニ」が有名だが、大人に響く名品はそれだけではない。新しい季節を新しいシューズで迎えるべく、2020年1月のオープンから1年を迎えた話題店「トッズ 銀座」でリアルな買い物ルポを決行。春夏最新アイテムの数々から“トッズの今”を発見しよう。
ここは高級ブランドが立ち並ぶ、東京・銀座の並木通りに面する「トッズ 銀座」。イタリア・マルケ州発祥の名門ラグジュアリーレザーブランド「TOD’S(トッズ)」では、2021年春夏の最新コレクションが入荷中だ。
そこで、世界一有名なドライビングシューズとして名高い「Gommini(ゴンミーニ)」を筆頭に、日々刷新され続けているという老舗の最旬をリアルな目線で店頭チェック。ナビゲーターは本誌「UOMO」でアートディレクターを務め、たびたび誌面で披露している私服コーデも人気の藤村雅史だ。
ハンドルにレザーが緻密に巻かれた扉を抜けると、ブランドのシグネチャーであるオレンジ色のバケッタレザーを随所に用いた什器のもと、「トッズ」が提案する上質で洗練されたイタリアン・ライフスタイルが広がっていた。
1階と2階ではウィメンズのフルコレクションを取り扱う。では、メンズアイテムが並ぶ地階へと向かおう。
藤村雅史:今日は「UOMO」の代表として来ました。私服はいわゆるイタリアっぽいスタイルではないですが、「トッズ」との相性がどうか、楽しみです。
この日はシャツ、カットソー、デニム、スニーカーまで全身「MARNI(マルニ)」。ネイビーとグレーのトーンでまとめたクリーンでカジュアルな大人コーディネートだ。
ブックシェルフ型の木枠什器に整然と並んだシューズは、まるで額装のよう。モダンで落ち着きのある空間で、お気に入りをじっくり鑑賞しつつ吟味できる。
ニュー シティ ゴンミーニ カーフスエード ¥70,400
大好きなネイビーに吸い寄せられたようだ。
藤村:まずは「トッズ」を語るうえで欠かせないドライビングシューズの「ゴンミーニ」から試着してみます。ぺブルソールも初めて触りました。
手にした「New City Gommini(ニュー シティ ゴンミーニ)」こそ、「トッズの今」を体現した新定番だった。
藤村:なるほど。たまたま新定番に惹かれたけれど、オーソドックスなゴンミーニも継続して販売されているんですね。具体的な改良点はどのあたりに?
ヌバック ゴンミーニ ドライビングシューズ ¥75,900
こちらがスタンダードの「ゴンミーニ」。ペダルを踏みやすいよう、ドライビングシューズとしての機能目的からトゥ箇所がスクエアであることに注目。
新定番の「ニュー シティ ゴンミーニ」では、ドライブ目的にファッション性を加味し、ラウンドトゥの美麗フォルムに改良されているのだ。これは、2019年10月に「トッズ」の新しいクリエイティブ・ディレクターに就任したヴァルター・キアッポーニの提案とのこと。細かい点だが、ゴンミーニを選ぶ際の参考にして欲しい。
ちなみに、迷彩柄はスタンダードの「ゴンミーニ」だけ。
ワイドストレートの「マルニ」のリジッドデニムに「ニュー シティ ゴンミーニ」のネイビーの組み合わせは、まさに今っぽい大人スタイリングのど真ん中。素足ではなく、「JIL SANDER(ジル・サンダー)」のピュアな白ソックスとの合わせが藤村スタイルだ。
藤村:大人の買い物にはある程度のイメージと計画性が必要ですよね。「トッズ」ならばシューズがマストなわけだし、それに合わせたいボトムで来店しました。
さすがの買い物慣れっぷり。「トッズ」の新定番、「ニュー シティ ゴンミーニ」の履き心地は?
藤村:柔らかなフィット感で足裏に地面を感じますね。それでいて足が疲れない理由は、ぺブルソールのクッションのおかげなのかも。別にドライビングシューズだからといってクルマを運転しなくても全然いいし、イタリアの伊達男を気取らなくてもいい。ファッションとして普段履きしたいです。
豊富な知識でアドバイスをしてくれる銀座店のスタッフは心強い味方だ。「トッズ」といえばゴンミーニのイメージが強いが、昨年のグランドオープン以来、スポーティなスニーカーを目的買いする大人客も多いという。
スニーカー カーフレザー ¥69,300
シボ感のあるリアルレザーに、一本のネイビーライン。まさに、白スニーカーのイデアだ。
藤村:イタリアブランドだけに、意匠やデザインが主張しているシューズが多いだろうと誤解していましたが、プレーンで程よいミニマルデザインがいい意味での驚き。それでいて、革の質の高さや作りの良さが別格! こうやって手に取ったり足を入れたりしてみると、違いがはっきりわかりますね。こういう発見が、リアルな買い物の楽しさですよね。
ヒールに施されたアイコニックな丸いモチーフはゴンミーニを象徴するぺブルだ。上質なカーフレザーに刻まれた“TOD’S”のブランドネームもさりげない。時代が求める絶妙なファッションバランスを熟知する、ヴァルター・キアッポーニの手腕が冴え渡っている。
藤村:これ、ください。
スニーカー ファブリック×カーフ×カーフスエード ¥97,900
3足目はこれまた意外な厚底のハイテクスニーカー。
カーフレザーとカーフスエードが織り成す高級感は、世界中のハイテクスニーカーの中でも突出している。従来の「トッズ」のイメージにはない新鮮味が魅力だ。
実は、ショップスタッフとの会話では、欧米各国の名だたるスポーツブランドやラグジュアリーブランドのハイテクスニーカーの名前が飛び出していた。流行りのときはハイテク系を購入してミスマッチを楽しんだという藤村だが、その中で1つの経験知を得たという。
ぺブルモチーフとブランドネームも控えめ。繊細な大人ゴコロに寄り添ってくれるハイテクスニーカーだ。
ボートシューズ カーフスエード×カーフ ¥91,300
最後の4足目はボートシューズ。プライベートでもクルーザーを所有しており、シーサイドライフを楽しむ藤村ならではのセレクトだ。
藤村:ホワイトソールに本気度が伺えます。かっちりした木型も安心感がある。愛らしいトリコロールカラーはスタイリングでも効かせてみたいですね。
ヨットやクルーザーは紫外線を最も反射する白のデッキが多いので、革底やゴム底が擦れて色移りしないよう、乗務員の靴のソールは白が基本だという。美麗フォルムに加え、正統派マリンシューズとしての実用性もお墨付きだ。
レザートートバッグ カーフレザー ¥168,300
以上、4足のシューズの試着は完了。極上のレザークラフトに定評のある「トッズ」では、レザーバッグも人気。
シューズと同じカーフレザーを使用したトートバッグはオンオフ問わず使える贅沢な逸品だ。
ウィンドブレーカー ジャケット ナイロン×カーフレザー ¥119,900
マリンテイストなウィンドブレーカーを羽織って、「トッズ」2021年春夏のトータルコーディネートが完成。
夏場はデニムとチェンジして、昨夏に購入した「John Smedley(ジョンスメドレー)」のチノショーツに合わせる予定だとか。
藤村:やっぱり、名の通ったブランドには絶対に品質が裏切られないという安心感がありますよね。先日、他店でスメドレーのショーツを買いましたが、定評のあるニット同様に作りがよかった。「トッズ」の最新作にも老舗ラグジュアリーならではの懐の広さを感じました。夏にまた「トッズ 銀座」で新しい発見をしたいです。
入口から入ってすぐ右手には、トッズ ライブラリーと呼ばれるエリアにクラフツマンシップやシーズン毎のエッセンスが詰まっている。イメージムービーのほかウィメンズも並び、最後の最後まで意外な発見があるかも。「トッズ」の世界観の余韻に浸ろう。
さあ、春はすぐそこ。「トッズ」の2021年春夏最新コレクションを自身のワードローブに加えよう。
新しい発見は、意思ある一歩とともにある。並木通り沿いの「トッズ 銀座」が、そんな大人男子の想いを受け止めてくれるはずだ。
住所:東京都中央区銀座5-5-13 / TEL:03-6263-9456 / 営業時間:※緊急事態宣言中は11:00~19:00となります / 年中無休(年末年始を除く) / ※価格は全て税込です
問い合わせ先:トッズ・ジャパン TEL:0120-102-578
Photos: Hiroaki Horiguchi
Text: Takafumi Hojoh