コロナ禍をきっかけにスタートした新しい日常で、ライフスタイルが変わったという人は多い。洋服やモノへの考え方はどうか? 個人的定番は不変? それとも新定番が生まれたか。WITHコロナ時代のスタンダードアイテムを100人に聞く。スタイリストの井田正明さんはクローゼットを整理して、哲学のあるデザイナーの服がやっぱり好きだと再確認。
【MY STANDARD 100 #99】 井田正明さん(スタイリスト/34歳) アニエスベーのカーディガンプレッション
カーディガンプレッション¥16,000/アニエスベー
<
>
ただベーシックなだけでなく 華やかさもあるほかにないデザイン
コロナ禍が1年以上続き、以前にも増して、サステナブルやエシカルが声高に謳われるようになりました。僕個人としては、そういうことも大切ですが、価値のあるものをきちんとつくったり、消費されないデザインを生み出すことがもっと大切なんじゃないかなと考えています。
ファッションも動きやすさが重視されていますが、それだけにとらわれず、デザイナーのフィロソフィーや自分が好きだという気持ちを大切にしたいと思っています。たとえば最近、クラクト感がありながらコレクションブランドとしての存在感も持ち合わせているボーディの服を買いました。彼女のアティテュードにとても惹かれたからです。クローゼットを整理したときにも、やっぱり自分は哲学のあるデザイナーの服が好きなんだと再確認しました。
デザイナークローズだけでなくスタンダードな洋服もたくさん持っていますが、「ただベーシックなだけでなく華やかさもあるモノ」が僕にとってのMY STANDARDなんじゃないかと思いました。アニエスベーのカーディガンプレッションはそのひとつ。一般的な定番とは少しスタンスが違って、実は着こなすのが少し難しいアイテムですが、ファッションの文脈としてはそういうことを内包したものがスタンダードなのではないかと。
<
>
最近は毎日必ず古着を1アイテム入れる着こなしをしています。僕にとってのエシカルなアティテュードなんですが、きょうもボトムは90年代のカルバン・クラインのブラックジーンズ。エンダースキーマのレザーシューズとダマースキーナのレザーバッグをコーディネートして、黒のワントーンにまとめました。パンツはウエストをギュッと絞ってはくのが最近の気分です。
カーディガンプレッションはパールボタンを選んでいます。これだけで華やかさが出るので、合わせるアイテムはシンプルなものでまとめます。僕のまわりにいるおしゃれな人は、みんなカーディガンプレッションを着ています。中にはエッジの効いたアイテムを合わせる人もいて、それもカッコいいなと思うんですが、僕はこれに関してはなぜかストイックに着たいと思うんですよね。
<
>
このカーディガンブレッションは2代目です。最初に買ったのは専門学校時代で、それを10年以上愛用していましたが、2年前に大きめに着たいと思っていちばん大きなサイズを買いました。スナップボタンがルネッサンスの服や神父の服のように狭い感覚で並んでいるデザインは唯一無二。1979年にレディースで発売され、その後メンズだけでなく、キッズでも展開されているロングセラー。歴史があるというのもスタンダードにはマストだと僕は思うので、そんな定義もクリアする名品です。
<
>
おしゃれを楽しむ大人の洋服
アニエスベー TEL:03-6229-5800 https://www.agnesb.co.jp/
Photos:Naoki Seo(still)
Stylist:Takumi Urisaka
Composition & Text:Hisami Kotakemori
Stylist:Takumi Urisaka
Composition & Text:Hisami Kotakemori