コロナ禍をきっかけにスタートした新しい日常で、ライフスタイルが変わったという人は多い。洋服やモノへの考え方はどうか? 個人的定番は不変? それとも新定番が生まれたか。WITHコロナ時代のスタンダードアイテムを100人に聞く。スタイリストの杉浦 優さんは公私ともに変化があり、少しプリティな服に心が動かされるようになったそうだ。
【MY STANDARD 100 #93】 杉浦 優さん(スタイリスト/37歳) ニッチ ジョーのグラフィックフーディ
こんな時代だから引き寄せられる シニカルなグラフィックと明るいカラー
スタイリストのキャリアも10年以上になり、良くも悪くも仕事に慣れてしまっているところがありました。コロナ禍の後は、「人に似合う服を選んで着せる事」がこんなに楽しいんだ! という本質的なところが見えてきました。キャリア1年目の気持ちに戻れたというか。今は自分の仕事のやり方をブラッシュアップしつつ、いい感じで仕事ができていると思います。
プライベートでは2人の子どもと接する時間が増え、そこからいろいろと学んでいます。たとえば緊急事態宣言やウイルスについて、3歳の子はまだわからないわけです。そこでどう説明したら理解してくれるか、自分も勉強して、やさしい言葉で伝える。その「勉強」という作業が今までの自分には足りなかったなと実感しました。今は学生時代よりも確実に勉強しています。
実はグラフィック系や主張の強いロゴやメッセージTって苦手だったんです。自分にはそんなに強いメッセージはないし、服に着られている気がして。でも歳を重ね、白髪まじりにになった今、着てみたら意外とハマって。気負わず着られるようになったのでしょうね。ストイックすぎる服よりも少しプリティな服のほうが似合うようになった気がします。
子どもと一緒に公園で遊んだあと、そのまま仕事の打ち合わせに行くときはこんな感じです。「パパも一緒に遊具で遊ぼう!」とさそわれて、「服が汚れるから」なんてことはあまり言いたくないじゃないですか。そういうことがダサいと思えてきたんですよね、最近は。その辺のマインドの変化がMY STANDARDのアイテムのセレクトにも影響している気がします。
社会風刺や皮肉たっぷりな、子どもっぽくなりすぎないグラフィックも好きで、ほかのグラフィックフーディも愛用しています。「あなたの手はこの世界を変えられる」、こんなキザなメッセージのグラフィック、まさか自分が選ぶなんてコロナ禍以前は想像もしなかったです。希望を見出しづらい今だから、引き寄せられたのかもしれません。
大人のためのユニークな最新アイテム
Stylist:Takumi Urisaka
Composition & Text:Hisami Kotakemori