2025.04.23
最終更新日:2025.04.23

『ゴルゴ13 スピンオフシリーズ1 銃器職人・デイヴ(2)』銃器職人デイヴに見る「圧倒的技術とチョロさの両立」【来世で使いたいマンガ名言|劇画狼】

マンガの中には心揺さぶられる名言がたくさんある。そんな名言の数々を、現在連載中の作品から劇画狼がピックアップ! 来世で使いたいと思ってしまう名セリフを紹介します。

『ゴルゴ13 スピンオフシリーズ1 銃器職人・デイブ(2)』

『ゴルゴ13 スピンオフシリーズ1 銃器職人・デイブ(2)』
ⓒさいとう・たかを、さいとうプロダクション/小学館

銃器職人デイブに見る「圧倒的技術とチョロさの両立」

 日本を代表するロックミュージシャン、矢沢永吉。多忙を極める彼に、それでも仕事をオファーしたいときはこう言うと受けてくれるという噂がある。

 一つ目は「これは絶対にあなたにしかできないことです」。もう一つは「これは世界でまだ誰もやったことがありません」という言葉で口説くこと。

 …ということで! YAZAWAになることはできなくても、こういう口説き方をされる生き方には憧れる!

 すなわち、圧倒的技術と実績をもち、口は堅く、余計な詮索はせず、約束の期限は必ず守り、プライドは高いが義理には厚く、筋が通った者からの依頼は採算度外視で依頼を受け、そしてどんな無茶なオーダーにも応えるスゴ腕で、「頼み方一つで受けるかどうかを自分で決められる」という無敵のスタンス。こういうスゴ腕オヤジにいつかなりたい者必読の書、それが『ゴルゴ13スピンオフシリーズ 1 銃器職人・デイブ』。

 あのゴルゴが絶対的信頼を置き、特殊な銃や弾丸が必要な高難易度の依頼をこなす際に仕事を請け負う銃器職人、デイブ・マッカートニーの裏方仕事に焦点を当てたスピンオフだ。

『ゴルゴ13 スピンオフシリーズ1 銃器職人・デイブ(2)』 2
『ゴルゴ13 スピンオフシリーズ1 銃器職人・デイブ(2)』 3

 デイブは上記のスゴ腕条件を満たすプロ中のプロでありながら、殺し文句に弱すぎる。

 1巻収録の「死に神の鎌を研ぐ男」の回では、CIAを経由したゴルゴからの「時速200キロ以上で走る列車に乗っている3人の男を一撃で狙撃し、さらにその男達の頭蓋骨内で停止する弾丸を作れ」という無理難題に、「ゴルゴはこの仕事ができるのは君しかいないと言っている」と言われると背景がパッと明るくなって「俺しか…チッ 職人殺しの言葉を」とサクッと了解し任務を遂行。先日発売された2巻でも報酬の額ではなく義理で仕事を受ける姿を見せ、さらに「メダリオン・地獄への許可証」の回ではドラムマガジンをつけた銃の反動をどう解消するかという問題に「あんたはNY一、いやアメリカ一のガンスミスだって教えられたから来たんだ」と言われて即「クソッ、ガキのくせにガンスミスをくすぐる言葉を知ってやがる…」と、キラーワードが出たら脊髄反射でオーダーを受けてしまう絶妙の判断基準。自尊心をくすぐる言葉に対してのセキュリティの甘さが神がかっている。

 高い技術、前向きに取り組む姿勢、そして「いい感じのチョロさ」。仕事が細らない人生後半戦の理想、それがこの男だ。

『ゴルゴ13 スピンオフシリーズ1 銃器職人・デイブ(2)』コミック

『ゴルゴ13 スピンオフシリーズ1 銃器職人・デイブ(2)』
原作/さいとう・たかを、さいとうプロダクション
ゴルゴから絶大な信頼を得る銃器職人・デイブのプロフェッショナルな生き様が描かれる『ゴルゴ13』公式スピンオフ作品!! 1〜2巻発売中。

劇画狼

特殊出版レーベル・おおかみ書房代表。プロの漫画家が商業誌に掲載したが単行本化されなかった未収録作品の書籍化や書評、原画展企画、イベント司会など。

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