2024.09.25

【岸井ゆきのインタビュー】「リハーサルは一切無し。すべてを本番に賭けた」。 映画『若き見知らぬ者たち』

『ケイコ 目を澄ませて』をはじめ、話題作への出演が続く岸井ゆきのさん。「信頼感のある強いチームだった」と語る最新作『若き見知らぬ者たち』の撮影現場について聞いた。

岸井ゆきのさん
ベスト¥11,000・パンツ¥16,500/リーバイス®(リーバイ・ストラウス ジャパン) Tシャツ¥15,400/ハイクル・ピアス¥14,300・チェーンネックレス¥6,600/ニナ・エ・ジュール・リボンネックレス¥27,500/カラ・ユ(すべてショールーム ロイト)
俳優
岸井ゆきのさん

1992年神奈川県生まれ。2009年に俳優デビュー。主演映画『ケイコ 目を澄ませて』では、第46回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞をはじめ、数々の映画賞を受賞。そのほか近年の主な出演作に映画『愛がなんだ』『やがて海へと届く』、ドラマ『恋せぬふたり』『日曜の夜ぐらいは…』など多数。映画『若き見知らぬ者たち』が10月11日より公開。

「俳優の仕事を全うする」それを可能にしてくれた現場

岸井ゆきのさん 2

 主役でも脇役でも、この人が出ているだけで作品の面白さが保証される。岸井ゆきのさんはそうした信頼感のある俳優だろう。新作映画『若き見知らぬ者たち』では、主人公である彩人の恋人・日向を演じた。彩人は、母の介護と父が遺した借金返済に明け暮れる。その苦悩する姿を献身的に支えるのが日向だ。

 「俳優の仕事を超えて、どこか“人間を知る”という意味合いで、日向の生き方に私はすごく胸を打たれました。日向は、精いっぱい明るく振る舞いながらずっと我慢している人。内山(拓也)監督からは『感情を押し殺してぐっと耐え続けてほしい』と言われていました。感情は出したほうが楽なんです。でも私自身も、奥歯を嚙み締めながら待っている日々がこれまでいっぱいあったし、日向の感覚はわかる部分があると思いました」

 カットがかかると一気に緊張の糸が切れて、思いがあふれた瞬間もあったという。それでも岸井さんは「俳優としての役割に集中できる、とてもやりやすい現場だった」と話す。

 「一般的に、撮影はリハーサルを経て本番の流れなんですけど、今回は全編、いきなり本番だったんです。その場で出てきた芝居をそのまま撮っていただけるから、俳優部としてはとてもありがたいことで。私は目の前の芝居のことだけを考えればいいし、同じように撮影部や照明部の方々も自分の仕事を全うしていた。言葉で確認し合ったわけではないけど、現場のみんなが脚本を読んで『(この物語を)立ち上げなければ』という思いを共有していたんです。それがすごく幸せでした」

映画『若き見知らぬ者たち』

映画『若き見知らぬ者たち』

©2024 The Young Strangers Film Partners
2024年10月11日(金)新宿ピカデリーほか全国公開
配給:クロックワークス

【あらすじ】
風間彩人(磯村勇斗)は、亡くなった父の借金を返済し、難病を患う母、麻美(霧島れいか)の介護をしながら、昼は工事現場、夜は両親が開いたカラオケバーで働いている。彩人の弟・壮平(福山翔大)も同居し、同じく 借金返済と介護を担いながら、父の背を追って始めた総合格闘技の選手として日々練習に明け暮れている。息の詰まるような生活に蝕まれながらも、彩人は恋人の日向(岸井ゆきの)との小さな幸せを掴みたいと考えている。 しかし、彩人の親友の大和(染谷将太)の結婚を祝う、つつましくも幸せな宴会の夜、彼らのささやかな日常は、思いもよらない暴力によって奪われてしまう。

【キャスト・スタッフ】
監督・脚本:内山拓也
出演:磯村勇斗、岸井ゆきの、福山翔大、染谷将太

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