「M-1グランプリ2023」のチャンピオン、その栄光を勝ち取った芸歴6年目の漫才師。髙比良くるまと松井ケムリは、優勝後の世界でどんなロマンを見せてくれるのだろう。
今月の顔
令和ロマン
芸人
ボケの髙比良くるま(左/1994年東京都生まれ)とツッコミの松井ケムリ(右/1993年神奈川県生まれ)からなる吉本興業所属のお笑いコンビ。2018年4月1日結成。「M-1グランプリ2023」決勝の舞台では、不利だと言われるトップバッターで漫才を披露して優勝するという、第一回大会の中川家以来の快挙を成し遂げ話題になった。
Mー1優勝、そして令和ロマンは第二章へ
「Mー1グランプリ」には実力だけでなく運も必要だと言われる。くじで決められる出番順や他コンビのネタとの相性、偶然性の中で発生する“流れ”。従来「トップバッターでの優勝は難しい」と言われていたが、令和ロマンはそれを覆し、運命を手繰り寄せた。
くるま 「ひとつ前(2022年)の大会では敗者復活戦でめちゃくちゃウケたのに2位だった。でもあそこでいけなかったから、初の決勝でフレッシュに受け止められたと思うんです。あと、今回はスタッフが新体制だったみたいで、僕らがトップバッターで出ていく瞬間にテンションの上がったディレクターがスタジオ全員に聞こえる大きな声で『ふー!』って叫んじゃったんですよ。それにお客さんもつられてちょっと沸いて。そのスタッフは偉い人から怒られて次のコンビからは黙ってたんで、優勝できたのはあの人のアドリブのおかげですよ(笑)」
ケムリ 「確かに、楽しくなっちゃっただけだと思うけど変だったもんな」
優勝後には「来年(2024年)もMー1に出ます!」とくるまが発言したことも衝撃的だったが、これまでのMー1とは向き合い方が変わると言う。
くるま 「僕の中でお笑いをやることが趣味から仕事になった瞬間があって、それはコロナ禍ですべての仕事がなくなったときでした。芸人の売れない頃なんて、アルバイトで生活費を稼いで、遊びでお笑いをやってるようなイメージなんですよ。でも、コロナでバイトすらできなくなると、自分がお金を稼ぐ手段はお笑いしかないなって気づく。もちろん人を笑わせることは楽しいけど、『Mー1』も仕事の一つなんですよね。それで優勝できたから、ここからは新たな楽しさを見つける段階で。その“第二章”の一発目に思い浮かんだのが『Mー1』にもう一回出ることだったんです。次は自分たちがやりたいことをできるので、これまでとは意味が違うと思います」
分析家のくるまと飄々とツッコむケムリの好対照な姿が魅力的なコンビ。一方のケムリが第二章に見るロマンは。
ケムリ 「僕は完全な芸能人になりたいです。よくテレビに出てる人気者になれれば、芸人だってことを知らない人がいてもいい。石ちゃんみたいな」
くるま 「もともとは11人組のホンジャマカでお笑いやってたんだ、って」
ケムリ 「それが理想ですね(笑)」
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Text:Kohei Hara