ドラマ「電影少女 – VIDEO GIRL AI 2018 -」の劇伴、アニメ「ポケットモンスター」のEDテーマなど時代に求められる音楽を制作し続け、フェスやライブでは観客を沸かす、新世代のDTMユニットの素顔に迫る。
パソコン音楽クラブ/DTMアーティスト
放課後の延長のように伸び伸びと制作をしているパソコン音楽クラブの柴田さん(右)と西山さん(左)。「学生時代は人数が多いバンドでも活動していましたが、二人とも集団行動に向いていなかった(笑)。3人以上の集団になると、意思決定が多数決になったり、折衷案を探るうちに凡庸な音に感じることも。練習にもまったく興味がないんです。バンド練より作曲が好き。プロの録音スタジオにお願いするのではなく、いわゆる宅録の面白さにもハマりました」(西山)、「キーボードはメロディを入力するためのペンタブ的な存在。そのうえで音色を選んだり考えたりするのが楽しい。大量に持っているキーボードは家庭用や子ども用でプロらしからぬ機材が多いのですが、そのチープさに味がある。例えば『ピアノ』の音を選んでも生音とまったく違う音が鳴って『これ、ホンマにピアノかい!』とツッコミながら、ある種のショボさにテンションが上がります」(柴田)と息が合う二人。日頃の制作スタイルは?
「劇伴やテーマソングの制作ではゴールを見据えながら作るので、根を詰めつつもスピーディ。一方で自分たちのアルバムにはめちゃくちゃ時間がかかります。アイデアを探すために映画を観たり、散歩したり…長々と電話した結果、何も閃かずほかの人のライブを観に行くことも」(西山)、「納得できるまで1年近くかかることもあります。みんなに喜んでもらえる音作りと、自分たちにとって新しく感じられる音作りとで使う筋肉はまったく別物。使い分けることはすごく大切です」(柴田)。
パソコン音楽クラブ
2015年に柴田と西山によって結成されたDTMユニット。1990年代のモジュールやデジタルシンセサイザーを用いた音楽制作を行う。’22年には、FUJI ROCK FESTIVALに初出演。アーティストへの楽曲提供やテレビCM、ドラマの劇中歌制作などジャンルを問わず幅広く活躍している。
Interview&Text:Takako Nagai