映画『死に損なった男』で水川かたまりさん演じる主人公・一平と数奇な運命で巡り合うヒロイン・綾を演じている唐田えりかさん。彼女ならではの演技へのアプローチを聞いた。
出演作への反響をもらうたびにもっと芝居を究めたいって思う
『極悪女王』での長与千種役、『ナミビアの砂漠』における主人公の隣人役など、注目作への出演が相次ぐ唐田えりかさん。その独特の存在感は多くの観客を魅了している。
「出演した作品への感想をいただけることが多くて、すごくうれしいです。私は『寝ても覚めても』で濱口竜介監督から役づくりの方法を学び、今でも指針にしています。それを緩めずに、自分を追い込みながらお芝居を究めていきたい。反響をいただくたびに、この気持ちのまま頑張りたいなって思うんです」
唐田さんが大事にしているのは、事前にしっかり準備はしつつも、撮影現場で相手役の芝居に合わせ、柔軟に反応することだ。
「お芝居は一人ではできないので、現場では自分の演技プランを固めずに臨むようにしています。相手がどうくるか楽しませてもらっている部分もありますし、自分も相手にいい影響を与えたいという思いで演じてますね」
新作映画の『死に損なった男』では、お笑いコンビ「空気階段」の水川かたまりさんと共演。映画初主演となった水川さんは、自殺しようとするもある理由で“死に損なう”一平を演じる。そんな彼と出会い、互いに支え合う綾を唐田さんが好演している。
「かたまりさんとは撮影初日、『お願いします』の一言しか交わさなかったんです。お互いに少し距離感があって（笑）。でも撮影が進むにつれ、徐々に会話も多くなり信頼を育めたのがうれしかったです。かたまりさんは、普通のシーンでも話し方や挙動によってユーモアを加えてくれる方。台本を読んでいる段階では想像できなかった仕上がりになるので、毎回すごく楽しかったですね。そうした様子を監督の田中征爾さんがじっと見守ってくれていて。自由に、遊び心をもって挑んだ撮影でした」
1997年千葉県生まれ。高校生のときにマザー牧場でスカウトされる。2015年、ドラマ『恋仲』第1話にゲスト出演し、女優デビュー。’18年、『寝ても覚めても』で映画初主演。そのほかの出演作に『の方へ、流れる』（’22）、『朝がくるとむなしくなる』（’23）、『ナミビアの砂漠』（’24）、『極悪女王』（’24）などがある。映画『死に損なった男』が全国公開中。
映画『死に損なった男』
©2024 映画「死に損なった男」製作委員会
2025年2月21日(金) 全国ロードショー
【あらすじ】
構成作家の関谷一平は、お笑いの道に憧れ、夢が叶った半ば、殺伐とした社会と報われない日々に疲弊していた。駅のホームから飛び降りることを決意するが、隣の駅で人身事故が発生。タイミング悪く死に損なった一平の前に男の幽霊が現れ、とんでもない依頼をする。「娘に付きまとっている男を殺してくれないか？」男を殺すまで取り憑くという幽霊の脅迫に、一平がとった選択とは？ 死に損なった男が辿る数奇な運命とは―
【キャスト・スタッフ】
監督・脚本：田中征爾
出演：水川かたまり 唐田えりか 喜矢武豊 堀未央奈／正名僕蔵
コント監修：板倉俊之
