2022.01.01
最終更新日:2024.03.07

「王様ランキング」SNS発のバズりマンガ。何もできない王子が世界を変える!【語りたがる俺のための必修アニメ #04|吉田尚記】

クオリティの高さに驚かされるアニメ作品は数知れず。その中から、いま最も観て欲しい一本を紹介しよう。今回取り上げるのは、テレビアニメ「王様ランキング」だ。

「王様ランキング」SNS発のバズりマンガの画像_1

SNS発のバズりマンガ。 何もできない王子が世界を変える!

「王様ランキング」SNS発のバズりマンガの画像_2
この秋スタートした、今クールのテレビアニメは近年まれにみる大豊作。中でもとびきり注目を集めているのが今回取り上げる「王様ランキング」です。 肝心の内容はもちろんですが、これが世に出た背景にも注目してほしいんです。原作者の十日草輔さんは、マンガ家になるために41歳で脱サラしたという異色の経歴の持ち主。ただマンガ家としてのスタートは順風満帆ではなく、なかなか売れない日々が続いたそう。それでもウェブマンガ投稿サイトにとにかく描き続けた結果、ある日Twitterでとんでもなくバズることに。それまで1年半で100万PVだったマンガが、なんと1日で1500万PVに。「王様ランキング」はまさにSNSの奇跡を体現している作品です。 ただ、SNSという現代の時流に乗っていながらも、懐かしさを感じさせる絵本風のタッチです。主人公は、ボッス王国の第一王子・ボッジ。彼は非力で、耳が聞こえず、話すこともできない境遇ですが、目玉のついた影のような生物「カゲ」と出会い、ストーリーが動きだします。父で国王のボッスの死に伴い、異母弟の第二王子・ダイダとの権力闘争に巻き込まれ、さらに二人を取り巻く家臣たちの裏切りや葛藤があり…と設定やストーリーは絵のタッチに反して非常に重厚、そして残酷です。 最大の決め手は、アニメスタジオ「WIT STUDIO」が制作を手がけていること。WIT STUDIOの強みは作画力の高さ。これまで「進撃の巨人」シリーズや「甲鉄城のカバネリ」シリーズなど、描き込みの激しい作品を数多く手がけてきました。正直、最初は「WIT STUDIOがこんなシンプルな絵柄の作品を?」と驚いたのですが、作品を見て超納得。 マンガでは省略されがちな背景やレイアウトが緻密に作り込まれており、言葉の話せないボッジの感情を豊かに描写しています。線が少ない代わりに枚数を多く使ってこまやかなキャラクターの動作を表現するなど、作画力に長けたアニメスタジオの真価をまざまざと感じさせられます。くどくど言いましたが、シンプルに今最も次週が気になるアニメです!

「王様ランキング」
原作:十日草輔 
監督:八田洋介 
キャラクターデザイン・総作画監督:野崎あつこ 
アニメーション制作:WIT STUDIO

単行本の累計発行部数が150万部を突破した、十日草輔『王様ランキング』のアニメ化作品。キャストは、主人公・ボッジ役を日向未南、カゲ役を村瀬歩、ダイダ役を梶裕貴が務める。フジテレビ“ノイタミナ”ほかにて放送中。

©十日草輔・KADOKAWA刊/アニメ「王様ランキング」製作委員会


吉田尚記
ニッポン放送アナウンサー。アニメやマンガ、アイドルに造詣が深く、「マンガ大賞」の発起人でもある。VTuberとしての顔ももち、アナウンサーの枠を超えて活躍中。



Text:Yoshito Tanaka

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