マンガの中には心揺さぶられる名言がたくさんある。そんな名言の数々を、現在連載中の作品から劇画狼がピックアップ! 来世で使いたいと思ってしまう名セリフを紹介します。
難しい! よき指導者として、青少年との適切な距離感を測るのは難しい!
特に一生の中で最も感受性が豊かな中学生とどうコミュニケーションをとるかについては、われわれ子育て世代の多くが日々苦悩していることと思います。
叱ってばかりでは自主性やモチベーションを引き出すことはできないし、褒めるだけでも言うことを聞いてくれない。…というデリケートな問題にこれ以上ない正解をたたきつけてくれた、崇山祟『Gペンマジック のぞみとかなえ』の五十嵐先生を今回はご紹介!
五十嵐先生の教育スタイル、それは「常軌を逸した全肯定」。
やまびこ中学校2年A組に赴任してきた五十嵐先生は自由をはき違えた生徒・高井のぞみが空中におでん串でイラストを描いている姿に胸を打たれ、彼女の情熱に応えるために漫画研究部を設立することを決意。
生徒のモチベーションを高く保ちながら漫画制作も順調にスタートさせ、明らかに遠回りな自己流を見ても「試行錯誤して自らのスタイルを見つけていけ」と、矯正せずに応援。
全肯定は回を重ねるごとに増大しついに五十嵐先生は「校則にタヌキの入学を禁止する要項はない」と、人間とタヌキの共学化も推し進め、そうやって育てた生徒たちが漫画を宇宙に流行らせ、最終的に地球を救う(雑なネタバレ)。
作者の崇山祟は2023年惜しまれつつ世を去ったが、この人の漫画は基本全部コレ(かかわる者すべての自由を肯定しつつなぜか完璧に着地)なので、とにかく読んで!!
『Gペンマジックのぞみとかなえ』
崇山祟 全1巻/秋田書店
2023年5月に急逝した崇山祟が最後に遺した、全展開が規格外のガールズ・ビー・少女まんが家コミック!
劇画狼
特殊出版レーベル・おおかみ書房代表。プロの漫画家が商業誌に掲載したが単行本化されなかった未収録作品の書籍化や書評、大阪の画廊モモモグラでの原画展企画、イベント司会など。