2019.09.26
最終更新日:2024.03.07

9月27日公開! 無差別テロからの奇跡の脱出劇『ホテル・ムンバイ』

最近笑ってないかも、泣いてないなというおじさんのために、週末公開の心動かす注目映画を紹介するコラム『40歳男子はコレ観とけ!』。今回ピックアップするのは、インド・ムンバイの最高級ホテルを襲った無差別テロの中、宿泊客を誇りと勇気で救ったホテルマンたちを描いた感動の物語!

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世界を驚愕させた理不尽なテロに勝る 人間の絆と誇りという圧倒的パワーを描く

インドの巨大都市ムンバイに、臨月の妻と幼い娘と暮らす青年アルジュンは、街の象徴である五つ星ホテルの従業員であることに誇りを感じていた。この日のホテルもいつもと変わらない光景が広がっていたが、突如武装したテロリスト集団がホテルを占拠し、楽園は一瞬にして崩壊した。500人以上の宿泊客と従業員を無慈悲な銃弾が襲う中、テロ殲滅部隊が到着するまで数日かかるという絶望的な報せが届く。アルジュンら従業員は「ここが私の家です」とホテルに残り、宿泊客を救う道を選ぶ。一方、生まれて間もない子供が部屋に取り残されてしまったアメリカ人建築家デヴィッドは、愛する妻と子どものためにある命がけの決断をする…。

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インドのムンバイに、歴史的、かつ文化的な象徴として都市に彩りをもたらしてきた「タージマハル・パレス・ホテル」がある。世界地図を詰め込んだような、さまざまな国のあらゆる階級の人々が集うインドが誇るホテルの一つだ。2008年、イスラム武装勢力が凄惨な同時多発テロを起こす中、このホテルには大勢の人質が閉じ込められ、同時に世界の耳目を集めた。本作は、そんな事件が実際に起きたホテルを舞台に、大きな衝撃と感動を与える物語を紡ぎ出している。タイトルにもホテルを冠しているが、見掛け倒しの箱庭的な描き方では決してなく、そこで信念を胸に理不尽な悪に対して静かな戦いを挑む登場人物をリアルに見せている。ある意味非現実な空間である超豪華なホテルとのコントラストに、異様さと緊張感を生み出す。
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恐ろしい事件を描く映画で“感動を与える”と言い切る理由──それは、プロのホテルマンとしての誇りをかけて多くの宿泊客を救った、当時の報道に乗らなかった“名もなき英雄たち”を追う物語だからだ。従業員同士はもちろん、宿泊客と従業員が勇気と絆を持って団結し、文化的、人種的、宗教的な隔たりを埋めながらそれぞれが希望を見出していく。手に汗握る緊張の奥にある、人類にとっての光を映し出しているのだ。
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また、アンソニー・マラス監督は、何人もの生存者や当時の従業員、犠牲となった人々の家族からも話を聞き、テロリストの供述調書、裁判記録、新聞記事などに目を通し、1年かけて徹底的に調査した。劇中の厨房の内部と廊下は、事件以来閉鎖された五つ星のホテルが、襲撃される駅は、実際のチャトラパティ・シヴァージー・ターミナス(CST)駅が使われ、冒頭で犯人たちが船で到着するシーンは、当時犯人たちが上陸した漁村で撮られた。このように、当時の空気をはらんだ演出が層になって、映像に奥行きを与えている。勇気あるホテルマンは、無事宿泊客を救い、自らの信念を貫けるのか。この上ない臨場感と感動の渦に身を投じてみてほしい。

『ホテル・ムンバイ』

監督:アンソニー・マラス
出演:デヴ・パテル、アーミー・ハマー、ナザニン・ボニアディ、アヌパム・カー、ジェイソン・アイザックス
2019年9月27日より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国順次公開
©2018 HOTEL MUMBAI PTY LTD, SCREEN AUSTRALIA, SOUTH AUSTRALIAN FILM CORPORATION, ADELAIDE FILM FESTIVAL AND SCREENWEST INC

『ホテル・ムンバイ』公式サイト

Text:Hisamoto Chikaraishi

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