原題の「A CASA TUTTI BENE」は“家ではみんないい感じ”という意味で、本作のパンフレットやポスターにあるメインビジュアルの写真と合わせて見ると、明るい大家族で過ごすハッピーな休日を想像させるが、ガブリエレ・ムッチーノ監督もいう通り「仮面を被って生きてきた大家族の化けの皮が剥がれるまでの状況」を表している、最大の皮肉なのだ。それゆえ、登場人物には脇役などおらず、「こんな人、うちの親戚にもいるな!」「これってもしかして私!?」なんて思いながら観ていると、最後まで“全キャラ主人公ドラマ”にあっという間に虜になっている(背景に映り込んでいるキャストの演技もつい観てしまう!)。徐々に浮き彫りになる秘密に泣き、笑い、取り乱し、いがみあう大人たちを理性的に見つめ、受け入れる子どもたち。その眼差しに、いびつで不完全な関係も家族のあり方なんだと、どこか希望も持てる。