最近笑ってないかも、泣いてないなというおじさんのために、週末公開の心動かす注目映画を紹介するコラム『40歳男子はコレ観とけ!』。今回は、たった2分間の黙祷により国家を敵に回してしまった若者たちを映し出す、旧東ドイツで起こった衝撃の実話を紹介!
自分か親友か。人生を左右する
天秤にかけられた若者の葛藤を繊細に描く
1956年、東ドイツの高校に通うテオとクルトは、列車に乗って訪れた西ベルリンの映画館でハンガリーの民衆放棄を伝えるニュース映像を目の当たりにする。クラスの中心的な存在の2人は、級友たちに呼びかけて授業中に2分間の黙祷を行った。それは自由を求めるハンガリー市民に共感した彼らの純粋な哀悼だったが、ソ連の影響下に置かれた東ドイツでは「社会主義国家への反逆」と見なされる行為だった。生徒たちは、やがて調査に乗り出した当局から、一週間以内に首謀者を継げるよう宣告されてしまう。大切な仲間を密告してエリートへの階段を上がるのか、それとも信念を貫いて大学進学を諦めて労働者として生きる道を選ぶのか…これからの人生に関わる重大な選択を迫られる。
『僕たちは希望という名の列車に乗った』
監督:ラース・クラウメ
出演:レオナルド・シャイヒャー、トム・グラメンツ、ヨナス・ダスラー、ロナルト・ツェアフェルト、ブルクハルト・クラウスナー
2019年5月17日より、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
@2018 ZDF
『僕たちは希望という名の列車に乗った』公式サイト
Text:Hisamoto Chikaraishi