最近笑ってない、泣いてないというおじさんのために、週末公開の心動かす注目映画を紹介するコラム『40歳男子はコレ観とけ!』。今回は、歴史的名著をベースに、自分の居場所を追われた男女が希望を見出そうとする姿を描いた物語を紹介!
2つの歴史的事実を重ねることで突きつける
生きることへの渇望と自分であることの不確かさ
舞台は現代のフランス。祖国ドイツで吹き荒れるファシズムを逃れてきた青年ゲオルクは、ドイツ軍に占領されつつあるパリを脱出し、南部の港町マルセイユにたどり着く。行き場をなくしたゲオルクは偶然の成り行きで、パリのホテルで自殺した亡命作家ヴァイデルになりすまし、船でメキシコへ発とうと思い立つ。そんな折にゲオルクは、一心不乱に人捜しをしている黒いコート姿の女性と巡り合い、美しくもミステリアスな彼女に心を奪われていく。しかしそれは決して許されず、報われるはずのない恋の始まりだった。なぜなら、そのマリーという黒いコートの女性が捜している夫は、ゲオルクがなりすましているヴァイデルだったのだ…。
『未来を乗り換えた男』
監督:クリスティアン・ベッツォルト
出演:フランツ・ロゴフスキー、パウラ・ベーラゴーデハート・ギーズ、リリエン・バッドマン、マリアム・ザレーほか
2019年1月12日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館他全国公開
©Schramm Film
『未来を乗り換えた男』公式サイト
Text:Hisamoto Chikaraishi