最近笑ってないかも、泣いてないなというおじさんのために、週末公開の心動かす注目映画を紹介するコラム『40歳男子はコレ観とけ!』。今回は、中東の国、レバノンを舞台に、ささいな諍いが一国を揺るがす大きな騒乱へと発展してしまう社会派サスペンスをピックアップ!
歴史と記憶が生んだ民族感情の 摩擦があぶり出した人間の尊厳と赦し
レバノンの首都ベイルートの一角。住宅の補修作業を行っていたパレスチナ人の現場監督ヤーセルと、そこに住むキリスト教徒のレバノン人のトニーは、バルコニーからの水漏れをめぐり諍いを起こす。このときヤーセルが取った悪態がトニーの猛烈な怒りを買い、ヤーセルもまた自身のタブーに触れるトニーの“ある一言”に尊厳を深く傷つけられ、2人の対立はまもなく法廷へ持ち込まれる。やがて両者の弁護士が激烈な論戦を繰り広げるなか、裁判に飛びついたメディアが両陣営の衝突を大々的に報じたことから、巨大な政治問題を引き起こす。水漏れをめぐるささいな口論から始まった小さな事件は、レバノン全土を震撼させる騒乱へと発展していくのだった。
『判決、ふたつの希望』
監督・脚本:ジアド・ドゥエイリ出演:アデル・カラム、カメル・エル=バシャ
2018年8月31日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開
© 2017 TESSALIT PRODUCTIONS – ROUGE INTERNATIONAL – EZEKIEL FILMS – SCOPE PICTURES – DOURI FILMS
『判決、ふたつの希望』公式サイト
Text:Hisamoto Chikaraishi