世界的に名高いシャンパン「モエ・エ・シャンドン」による 「MOËT & CHANDON CHRISTMAS POP-UP 2019」のイベント会場にて、「オールブラックス」(ラグビーニュージーランド代表)のレジェンドで、現在は日本の神戸製鋼コベルコスティーラーズでプレーするダン・カーター選手、そしてラグビーワールドカップで日本中を熱狂させた日本代表選手のひとりでパナソニック ワイルドナイツ所属の松田力也選手が対談。強豪チームで同じ10番を背負い「スタンドオフ=司令塔」の役割を担う2人が、シャンパンやラグビーの楽しみ方、2020年1月12日に開幕するトップリーグの展望について語り合った。
特別な瞬間はシャンパンで祝う
――お2人はシャンパンを飲む機会はありますか。モエ・エ・シャンドンもよく飲まれますか。
ダン・カーター(DC) 僕は大好きです。自分の結婚式の時もシャンパンをゲストに振る舞ったし、何かお祝い事や特別なことがあれば折に触れてモエ・エ・シャンドンを飲んでいますよ! 3人の息子が生まれた時もです。オールブラックスとして2015年のワールドカップで優勝した時は、ビールではなくシャンパンを飲みましたね!
松田力也(松田) お酒は好きですし、モエのボトルはとても有名なので知っていましたね。先ほどいただきましたが、すっきりして飲みやすいですね! もうすぐシーズンが始まるので、お酒はほどほどにと思いますけど、トップリーグで優勝した時にまた飲みたいなと思います(笑)。
DC それはきっともう少し先じゃないかな? 今シーズンも神戸製鋼が優勝するから(笑)。
W杯で日本代表の進化を実感
――カーター選手は4度、ラグビーワールドカップに出場しています。松田選手にとってはこの日本大会が初めてのワールドカップになりました。
DC そうですね。僕は選手として今回初めて外側からワールドカップを見る立場になりました。日本代表とロシアの開幕戦を見た時に、「ああ、もう僕はここにいないんだ」とちょっと寂しい気持ちになりましたね……。
松田 僕は初めてのワールドカップでしたけど、まずは世界最高峰のレベルを知ることができたのが大きかったです。「ONE TEAM(ワンチーム)」で戦って、日本の皆さんの応援もあってベスト8という結果を出すことができました。ただ、個人としては先発で10番を背負って出ることができなかったので、もっと、もっとレベルアップしたいなと思いました!
DC 神戸製鋼のチームメイトにも日本代表の選手がいるし、自分も日本でプレーしているので、もちろんオールブラックスだけじゃなく日本代表の試合も注目して見ていました! 以前より、とても強くなったなと思いました。チームとして、組織として戦っているのは本当に素晴らしいことだと感じました。
松田 僕も今回、ワールドカップで世界のトップレベルと戦ってみて、次のレベル、つまりベスト4に進出することは決して超えられない壁ではないと体感しました。ただ、それにはまだまだ努力しなければならないこともわかっていますし、2023年フランス大会は10番としてもっと試合に出て日本代表を勝利に導くような選手になっていきたい。
憧れのスーパースター これからのスーパースター
――お2人は同じ、チームをコントロールする司令塔、スタンドオフ(SO)というポジションです。お互いのことをどう思われますか。
松田 カーター選手は、僕がラグビーを始めた頃からすでにスーパースターの選手でした。ポジションも同じなので、何度もプレーを見ています。僕にとっては目標であり、憧れの選手ですよ。
DC それをいうなら松田選手はこれからスーパースターになる選手だと思います。今度は彼のプレーを見て、僕の息子たちが憧れてお手本にしていくんじゃないかな? だから、今回、こうやって話せたのは嬉しいです。
松田 そんなこと言われるなんてめちゃ嬉しいです(笑)。なんだか恥ずかしいけど。
――トップリーグでは、お2人はまだ対戦したことはないんですよね。
DC そうなんです。一緒に飲んだことはあるのにね(笑)
松田 昨シーズンはトップリーグで対戦がなかったのですが、今年は4月に熊谷で対戦するのでめちゃ楽しみですよ! それにやっぱり優勝するには神戸製鋼は絶対に倒さないといけないと思っています。
DC 僕もパナソニックと対戦できるのを楽しみにしているので、試合に出られるように頑張りたいですね。パナソニックは日本代表の選手もたくさんいるし、やはり優勝候補の一つですしね。でも神戸製鋼も負けないですよ。日本代表のFB山中亮平、PR中島イシレリに加えて、(コカ・コーラから移籍した)CTBラファエレ ティモシーとアタアタ・モエアキオラの日本代表二人が新たにチームメイトになりました。それに、オールブラックスの身長2mを超えるLOブロディー・レタリックという経験値の高い選手も入りました。
松田 それをいうなら、僕たちのチームにもやはりオールブラックスの大型LOサム・ホワイトロックが加入しました。
DC ブロディとサムは同じポジションだし、オールブラックスでずっと一緒にプレーしているから仲良し。だけど、仲が良いからこそ敵として対戦すると「あいつには絶対負けたくない」って闘志を燃やして激しいバトルになるんだよね。
松田 そうなったらちょっと怖いですね。プレー中、そこには近づかないようにしようと思います(笑)。
トップリーグを盛り上げて さらにラグビーの魅力を伝えたい
――神戸製鋼は連覇がかかっているし、パナソニックももちろん王座奪還を狙っています。
DC チームの状態はとても良いし、ハードワークもしているので、トップリーグの開幕をとても楽しみにしています。だけど、みんなが神戸製鋼を倒そうと挑んでくるので、連覇はそんなに簡単なことじゃない。それはオールブラックスで身をもって経験していますからね。日本代表が強くなったこともあるし、世界からトップ選手が多く加わったこともあって、今シーズンのトップリーグのレベルは今までにないくらい高いものになるはず。どのチームも勝てる実力があって、熾烈な優勝争いを予想しています。
松田 そうですね。パナソニックはしばらく優勝から遠ざかっているし、僕個人としてもまだトップリーグで優勝を経験していないので、「今シーズンこそ」という気持ちは強いですね。それには神戸製鋼やサントリーサンゴリアスといった強豪にはやはり勝ちたいですね。ワールドカップもあってチームへ合流してあまり時間が経っていないのですが、そこはチームのやりたいことを理解して、自分は10番としてうまくゲームをコントロールしたいですね。
――今回のワールドカップを見てラグビーの魅力にハマった人も多いです。トップリーグの開幕戦のチケットも売り切れになるほど、関心が高まっています。
松田 多くの人がラグビーの面白さを知ってくれて、本当にありがたく思っています。トップリーグを見てもらえれば、さらにラグビーの魅力や楽しさがわかってもらえると思います。それに、ワールドカップより選手と接する機会も多いので、是非スタジアムにも足を運んでほしいです!
DC 満員のスタジアムでプレーできるのは選手として本当に幸せなことです。このいい流れを変えないように、僕たちはずっとラグビーを見続けてもらえるようなプレーをしたいと思います。
松田 今、トップリーグにはカーター選手や、今回のワールドカップで活躍した世界のスター選手もたくさんいます。日本代表選手もそれぞれのチームで、今度は敵として戦います。まずはワールドカップで気になった選手を見ていただいて、だんだん好きなチームを見つけてずっと応援してほしいですね。僕もワールドカップと同じくらい高いレベルでのプレーを目指します。
DC トップリーグが盛り上がって、どんどんレベルの高いリーグになっていけば、それが日本代表の強化につながると思います。だから2023年、フランスでの次のワールドカップも日本代表が活躍して、選手だけでなくファンの皆さんもぜひシャンパンでお祝いしてください(笑)。
ダン・カーター
1982年生まれ。「オールブラックス」ことニュージーランド代表の司令塔として活躍し、2011、15年のワールドカップ連覇に貢献。112試合に出場し、テストマッチ1598点は個人得点の世界歴代最多記録を誇り、世界最優秀選手にも3度輝いたラグビー界のスーパースター。2015年にはフランスでプレーし、昨年度から来日し神戸製鋼に所属、15年ぶりの優勝にも貢献。ホッケー選手だったホナー夫人との間に3人の息子がいる。身長178cm、体重98kg。
松田力也
1994年生まれ。ラグビー選手だった父親の影響で、6歳でラグビーを始め、京都・伏見工業(現・京都工学院)時代から「平尾二世」と呼ばれた逸材。突破力、キック、タックルに長けた万能BK。帝京大1年生から主にSOとしてプレーし、大学選手権8連覇に大きく貢献した。卒業後はパナソニックで新人ながらCTBとして「ベスト15」に選出され、スーパーラグビーのサンウルブズで経験を積んだ。2019年ワールドカップに日本代表として4試合に出場し、開幕戦ではゴールも決めた。身長181kg、体重92kg。日本代表キャップ24。
Composition & Text: Yuko Nobe