40歳を迎えた今、そして40歳だったあの頃…各ジャンルで活躍するあの人たちは何を思い、どんな歩みを進めていたのか。速水健朗が各界を代表する6人に“40歳”という時を切り取るエピソードを聞いた。5人目はフランス文学者・鹿島 茂さん。
人生の勝負のときに何をしました?
「本をひたすら買った。それも、できる限りの借金をして」(鹿島)
「人間、自分に何が向いているか見極めが大切です。僕はフランス文学の研究者なんですが、記号学に色気を出して、これは自分に向いていないと悟り、原点回帰しました」
その後、30代半ばでフランス・パリに1年間留学した鹿島茂は、ここが人生の勝負のときだと感じていた。
「パリではおとなしく勉強するんじゃなくて、毎日とめどなく街を歩いた。とにかく本屋を巡ったんです。もうパリで知らない場所はないくらい詳しくなった。パリの本屋には18〜19世紀の本が当たり前に並んでいてその本をひたすら買った。それも、できる限りの借金をして。読むことは日本でもできることだから」
鹿島は賭けに出た。借金をしてまで本を買うという執念に頭が下がる。まさに投資だった。これが数年後に実を結ぶ。
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鹿島 茂 SHIGERU KASHIMA
1949年神奈川県生まれ。文学に限らず、都市論から性風俗までほかの分野での執筆を行っている。今年7月に、ネット時代に即した読書の在り方を提案する書評ウェブサービス「ALL REVIEWS」を立ち上げた。
Photos:Mie Morimoto
Text:Kenro Hayamizu
Text:Kenro Hayamizu