サーフィンやスケート、おしゃれ好きな大人たちがハマる趣味は数あれど、実は今ファッション業界で空前のブームになっているものがある。そう、それが“柔術”だ。40歳を過ぎてから柔術の虜になった「ベドウィン」デザイナーの渡辺真史さんに魅力を語ってもらった。
柔術=クール。海外では当たり前の感覚なんですよ
「自分も格闘技は未経験だったので、最初は “痛そう” “怖い”というイメージが強かったんですが、実際に始めてみるとまったくそうではなかった。組み手では相手を壊すとか、絞め落とすのが目的ではなく、いかにケガをさせずにドミネート(支配)するか。自らの力を誇示するのではなく、相手の力量に合わせていかにコントロールするかがキモなんです。
そういう意味で、柔術って一種のコミュニケーションなんですよね。職業も年齢も、さらには性別も違う人と、お互いの距離を意識しながら肌と肌でぶつかり合う。時には、年下の人に教えを請うて、お礼を言ったりもする。40代、50代と年を重ねるにつれて、そういう“ストレートな会話”をする機会はどんどん減ってくるけど、柔術はマットの上でそれが自然とできるんです。それって、体力や技術の向上以上に、大人にとって得るものの多い経験なんですよね」