応援するチームが常に強いとは限らない。ときに暗黒期を耐えしのぐ時期もある。芸能界屈指の竜党、志らくさんに「弱い時代」をともにするための矜持を語ってもらった。
立川志らく
1963年東京都出身。落語家。’85年に立川談志氏に入門し、’95年に真打昇進。映画監督、映画評論家、エッセイストなどの顔ももつ。中日ドラゴンズファン歴48年!
「弱者」を応援する心意気
ドラゴンズは人生において何より大切な「暇つぶし」
―東京生まれでなぜ中日ファンに??
小学生の頃、父に連れられて神宮球場に初めて観に行ったプロ野球がヤクルト×中日戦で、中日のブルーのユニフォームのほうがかっこいいなと。周りは巨人ファンばかりだから学校に中日の帽子をかぶって行ったら「どこのチーム?」なんて言われつつ、人と違うのがうれしくてね。巨人のV9を終わらせたときはもう爽快でした。共有できる相手はゼロでしたけど(笑)。
―志らくさんらしいパンク精神!
実はこの世界に入って巨人のファン感謝デーのイベント出演を頼まれたことがありまして。兄弟子の談春と後楽園球場でトークをしていたんですが、つい抑えきれずに「私は中日ファンでいちばん嫌いなのが読売。ドラゴンズ万歳!」と。大ブーイングでしたよ。
―しかしここ10年は中日ファンにとって厳しい時期が続いています。
1対4の世紀のトレードでやってきて以来、選手としても監督としても強い中日をつくってくれた落合(博満)さんがあんな形で辞めて、そのバチが当たってどん底に落ちると思ったら本当にそうなった。しかし10年続いてつらくなってきたところで立浪(和義)監督が来てくれたので、そろそろかなと。
―中日ファンは低迷期とどう向き合ってきたのでしょうか?
中日ファンというのは、この10年ボロボロになりながらも負け犬根性に浸らず、心意気だけは失わなかった。だから選手たちが負けてるのにベンチでのん気な顔してるシーンなんかを見ると歯がゆくてしょうがないんです。
―その中日ファン特有の心意気とは?
巨人と阪神と中日というのはプロ野球の初期から変わらないんですけど、中日のほうが阪神よりトータルの優勝回数が多いのに「巨人×阪神」が伝統の一戦と呼ばれる。その屈辱と反骨心がきっと多くの中日ファンの心の奥にあるんじゃないですかね。今年は立浪監督、落合英二コーチはじめ昔の地獄のキャンプを知る人たちが首脳陣に揃っているので、その中日らしい精神を注入してくれるんじゃないでしょうか。
―志らくさんの人生において、「中日ドラゴンズ」とはどんな存在ですか?
何より大切な「暇つぶし」。野球はダイジェストをほんの数分チェックするだけでも毎日楽しめますから。「高橋周平、今日も打ってねえなあ」とか言いながら。一方でやはり球場で采配を振るうような気分で生で通して観たときの楽しみもまた格別。そしてドラゴンズはやはり「中日」でないと。万が一オーナー企業が変わってもチーム名は中日のままでいてもらいたい(笑)。
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