スケートカルチャーが今また注目を集めているけれど、ただ滑るだけじゃなく、そこから生まれるクリエイティブに着目して取り入れてみると、生活がちょっとおしゃれに、豊かになる。そんなわけで観点を変えて、“すべらない”スケートの話をいくつか。
ハッピーナッツデイのピーナッツバター
中野 剛さん/HAPPY NUTS DAY 代表
学生のときにスケートに熱中した中野さん。仲間の地元、九十九里で手に入れた規格外の落花生が、ピーナッツバターを作るきっかけに。最初は遊びの一環で焙煎し、殻を割って擦るレベルだったが、次第にスケーターが街中の何げない場所をスポットにするように、誰も目を向けない不揃いの落花生を上質なピーナッツバターへと変えるべくのめり込んだ。試行錯誤して完成したレシピは、落花生にてんさい糖と食塩のみだが、香り高く、粒のザクザク感もクセになる濃厚な味わい。パッケージも中野さんによるもの。沖縄発のチョコレート銘柄、タイムレスチョコレートとのコラボレーション(右)による新作は、発売するたびすぐに完売する人気ぶり。
すべて添加物フリーで、身体に優しい。チョコレートには沖縄名産の黒糖を使用している。(右)チョコレートピーナッツバター¥1,998・(左)ピーナッツバター 粒あり(M/240g)¥2,354/HAPPY NUTS DAY
タンジェリンのみかんジュース
若松優一朗さん/みかん農家
愛媛で柑橘農家を営む若松さんがスケートに出会ったのは大学生の頃。祖父母が栽培したみかんがスケート仲間に好評だったことから、家業を継ぐことを決意。みかんジュースのブランドTangerineは、スケーターらしく縛りのない自由なものづくりから生まれた若松さんによるブランドだ。古くからある濃厚な味わいの温州みかん「宮川早生」(右)や、甘味と苦味が混ざり合った風味豊かな「はるか」(中)など品種の特徴を生かしたものから、ミックス味(左)までいろいろだが、すべて贅沢な果汁100%。おしゃれなパッケージデザインは、空き瓶を活用してほしいとのサステナブルな願いから、スケートでつながった友人のアーティストに依頼した。
色の違いは使用しているみかん種の違い。ネーブルオレンジ、清見、デコポン、伊予柑の4種類を混ぜ合わせたジュース(左)は香りとまろやかさが程よくマッチ。シュガーレス。720㎖(各)¥1,750/Tangerine
しばきり園のお茶
杉山忠士さん/茶農家
静岡市清水区の茂畑でお茶を育てているしばきり園の三代目を17歳の若さで継いだ杉山さんにとって、お茶作りとスケートボードの共通点は毎日ストイックに練習し上達を目指すこと。祖父の代から受け継ぐ「山咲」は白葉茶と呼ばれる生育が難しい高級茶葉で、杉山さんの自信作。いれると黄金色に輝く茶葉は旨味成分が非常に多く、普通のお茶では味わえない甘味と、さらりとした飲み口が特徴。1本の枝先から2枚の柔らかい葉を厳選して作った貴重な「峰」は、園でいちばん早く手摘みを始めるやぶきたの品種。深いコクとやわらかく上品な味わいが魅力。ほかにも煎茶やほうじ茶も生産しているので、豊かな味の違いを飲み比べて楽しみたい。
一見、お茶とはわからない端正でモダンなパッケージは、シンプルを極めたミニマルデザイン。箔押しで仕上げられたしばきり園の屋号紋も高級感が漂うポイントだ。峰¥1,120・山咲¥1,620/しばきり園
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Stylist:Takeshi Toyoshima
Composition&Text:Masayuki Ozawa