シリーズ累計2700万部超のベストセラーとなった人気コミック『ゴールデンカムイ』がついに実写映画化、1月19日より公開される。今作で山田杏奈が演じるのは、自然の中で生きるための豊富な知識を武器に、北海道の過酷な大地で生きるアイヌの少女、アシㇼパ。撮影時の思い出や作品の魅力などについて話を聞きました。
アシㇼパと自分が同化していくような感覚
――アシㇼパ役のオファーを受けて、まず何を思いましたか?
山田 オファーをいただいてから初めて原作を読んだんですけど、「何でこれまで読んでなかったんだろう」って後悔するくらい面白い作品だったので、「絶対にやりたい!」と思いました。正式に決まる前に、プロデューサーの方々とお話しする機会があり、そこから結果を待っている期間が少しあって、そわそわするから1回忘れておこうと思っていたんです。「決まった」という話は移動中の車内でマネジャーさんから聞いて、その瞬間はすごく喜びました。「やったー!」って(笑)。でも、その後はちょっと不安になるというか、ここまでの規模の作品に出演するのは初めてのことだったので、とてもうれしい半面、責任も感じて、本当に自分がやるんだなという気持ちでした。
――アシㇼパという役をどのようにとらえました?
山田 少女とは思えないほどの精神力があって、生きていく強さがあるんですけど、コメディパートでは変顔をしたりするようなかわいらしさもあって、すごく魅力的なキャラクターですよね。役づくりをするうえでは、その部分を大事につくっていきたいなって思いました。
――杉元役の山﨑賢人さんとの顔合わせはどんな感じでしたか?
山田 共演自体は今回で2度目なんですけど、1度目のときは山﨑さんのドラマに1話だけゲスト出演して、本当に数日ご一緒した程度なので、今回最初にお会いしたときは「お久しぶりです…」みたいな、ちょっとぎこちない感じであいさつしたのを覚えています(笑)。
――撮影中の思い出は何かありますか?
山田 撮影はとても楽しかったです。ずっとなごやかで笑いの絶えない現場で、みんなでいろいろ話をして相談しながらつくっていく感じでした。思い出というと、やっぱり雪の中で撮影しているので、みんなけっこうな頻度で転ぶんですよ。ぱっと振り返ったら、「あれ? いない」みたいなことがよくありました。個人的には、撮っている期間が長かったので、撮影が進んでいくにつれて、だんだんとアシㇼパのことがわかってくるというか、アシㇼパと自分が同化していくような感覚になれて、あれは本当に素晴らしい時間だったなと思います。
――変顔も振り切ってやっていましたね。
山田 そうなんです。こういう取材だと、「あの変顔よかったですね」と言ってくださることも多いんですけど、現場では普通に淡々と進んでいくんですよ。みんなのリアクションがなくて、最初のうちは「大丈夫だったのかな…」とちょっと心配でした。
――攻めた顔をしていて、とても面白かったです! 変顔は家で鏡を見ながら、練習したんですか?
山田 スマホで自撮りしながら、マンガのアシㇼパの顔とにらめっこしてました。白目をむいている顔が多くて、鏡だと自分の顔が見えないんです。台本には具体的にこういう顔をするとは書かれていないので、原作を見て「この顔だよな」と思いながら一人で練習していました(笑)。
――変顔ではないんですけど、ちょっと気になったのが、白石(矢本悠馬)と手をぶんぶんさせながら握手しているシーンで、最後のほうは素で笑っていましたよね?
山田 あっ、気づきました(笑)? あの“ぶんぶん”は矢本さんのアドリブなんですけど、確かに自分でもちょっと笑っているなと思いました。
好きなキャラクターは、鯉登音之進とカノさん
――今作の中で好きなシーンってありますか?
山田 好きなところは、ラストシーンですね。多くは語れないので、とにかく観ていただきたいんですけど、とても美しい光景で、物語的にも素晴らしいシーンになったなと思います。
――では、原作で好きなシーンはありますか? 映画の先のストーリーでも大丈夫です。
山田 いろいろあるんですよね。でも、何回も読み返しちゃうのは、樺太編で、杉元とアシㇼパが感動の再会を果たした後の、あのシーンが大好きです(笑)。ただの感動で終わらせてくれない感じがいいですよね。
――映像化を楽しみにしています!
山田 はい(笑)。
――クセ者揃いの『ゴールデンカムイ』の中でいちばん好きなキャラクターは誰ですか?
山田 クセが強いキャラばかりですよね。好きなのは、鯉登(音之進)かな。あとは、(家永)カノさんも好きです。ヘンですかね?
――逆に気持ち悪いなと思うキャラクターは誰ですか?
山田 誰だろう…。映像にできないんじゃないかという意味では、姉畑(支遁)はトップクラスの変態ですよね(笑)。『ゴールデンカムイ』はキャラクターがめちゃくちゃ面白くて、よく思いつくなって感心します。
――原作コミックは全31巻あって、今回の映画化で描かれていないストーリーがまだあります。『キングダム』のように、続いていくんでしょうか?
山田 だといいなと思っています。本当に。そのためにも、まずはこの作品がしっかりと皆さんの元に届かないと。
――この先、アシㇼパにもいろいろなことが起きますからね。
山田 そうなんです。私も(先のストーリーを)やりたくて仕方ないです。原作では、物語が進んでいくと、かなりシリアスな、それこそ笑っていられないようなシーンもありますけど、「アシㇼパは先がある役だから」ということを皆さんおっしゃってくれて、私自身、この先もアシㇼパと共に成長していけたらなと思っています。
幸せに生きていくことがいちばんの目標
――普段マンガは読みますか?
山田 マンガは好きです。最近はおかざき真里さんの作品が好きで、あと「少年ジャンプ+」の月額会員に入っているので、『週刊少年ジャンプ』も毎週読んでいます。
――「これが実写化されたらやってみたい!」と思うことはあります?
山田 あります。勝手に「このキャラクター、私、いいと思うんだけどな」と妄想しながら読んだりすることはあります。今回の『ゴールデンカムイ』も、もしオファーをいただく前に原作を読んでいたら、その時点で間違いなく「アシㇼパをやりたい!」と思っていたはずです。
――最近は映画にドラマといろいろな作品に出演していますが、お芝居は楽しいですか?
山田 楽しいです。楽しくなかったらこんな仕事やっていられないと思います。みんなでひとつのものをつくることはとても刺激的で面白いですし、スタッフやキャストの力が合わさって想像以上の素晴らしいシーンができたりしたときは本当に楽しいです。なので、常に楽しい状態でいられるように、いろいろなことに反応できる自分でいたいなと思っています。
――自分が出演した作品は観返したりしますか?
山田 あんまり観返さないです。恥ずかしいのもあって、基本的には1回観て、「うん」という感じですね。でも、『小さな恋のうた』という作品は、私の中で青春の思い出みたいな感覚があって、たまに観返しています。
――『ゴールデンカムイ』はどうでした?
山田 今回はアフレコのタイミングで事前に少し本編映像を観ることもあったので、わりと客観的な状態で完成版を観ることができました。いつもだと、「ここはこうだったよな…」って自分の芝居が気になっちゃったりするんですけど、今回は事前に観ているシーンもあったので、そういう反省も普段よりは少なくて、いち観客として楽しんで観ることができました。原作の世界観がしっかりとあって、そのうえで映画だからこそできた表現もあって、本当に面白い作品になっているなと思います。ぜひ観てください(笑)。
――俳優として「この先、こうなりたい」という目標はありますか?
山田 私としては、ひとまず仕事を続けていられるというだけで、なかなか大変なことだと思っています。この仕事を始めた頃、マネジャーさんに、「30歳になっても俳優業を続けている人は少なくなるから、まずはそこまで一緒に頑張っていこう」と言われたことがあって、それがひとつの指針になっていて、いろいろな現場で必要としてもらえる人でありたいなという思いはあります。今はお芝居が楽しいですし、やりたいことができているという実感もありますが、決して仕事がすべてと思っているわけではなくて、人生におけるいちばんの目標は幸せに生きていくことです。何事も力み過ぎずにやっていければいいなと思っています。
――自分の中でちゃんとワークライフバランスが取れているんですね。
山田 仕事のことしか考えられないとかではないです。どうしても考えちゃうときもあるんですけど、自分の軸はいろいろなところにばらまいて置いておこうかなと思っていて。だから、どこかに偏り過ぎているかなと思ったら、何か早く違うものを見つけて、自分なりに力みのない形でバランスをとるように意識しています。
――普段何をしているときがリラックスできますか?
山田 それこそ友達と会って、ご飯に行ったり、お酒を飲んだり、実家に帰ったり、そういう時間が好きですね。そこでいろいろなバランスを取っている気がします。マンガを読んだり、本を読んだり、映画を見たり、ドラマを見たりすることも好きですね。ただ、この仕事って、趣味でもなんでも全部つなげようと思えばつなげられちゃうので、あんまり仕事のことを考えたくないときは、海外ドラマとか洋画ばかり見ています。安心して見られるアクションものなんかを見て、平穏な時間を過ごしています(笑)。
PROFILE
2001年生まれ。埼玉県出身。映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』(16年)でスクリーンデビュー。『ミスミソウ』(18年)で映画初主演。ヒロイン役で出演した映画『小さな恋のうた』(19年)で第41回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。近年の主演作に、映画『ジオラマボーイ・パノラマガール』(20年)、『樹海村』『ひらいて』(ともに21年)、『山女』(23年・第15回TAMA映画賞最優秀新進女優賞受賞)などがある。
『ゴールデンカムイ』
1月19日(金)全国東宝系にて公開
日露戦争において最も過酷な戦場となった二〇三高地をはじめ、その鬼神のごとき戦いぶりで“不死身の杉元”と名づけられた杉元佐一(山﨑賢人)は、ある目的のために大金を手に入れるべく、北海道で砂金採りに明け暮れていた。そこでアイヌ民族から強奪された莫大な金塊の存在を知り、金塊を奪った男・のっぺら坊に父を殺されたアイヌの少女、アシㇼパ(山田杏奈)と行動を共にすることに。のっぺら坊は、捕まる直前に金塊をとある場所に隠し、その在りかを記した刺青を24人の囚人の身体に彫り、彼らを脱獄させていた。 大日本帝国陸軍第七師団の鶴見篤四郎中尉(玉木宏)、戊辰戦争で戦死したとされていた元新撰組“鬼の副長”こと土方歳三(舘ひろし)を巻き込み、雄大な北の大地を舞台に、様々な思惑の元、一攫千金を狙う三つ巴のサバイバル・バトルが始まる!!
出演者:
山﨑賢人
山田杏奈 眞栄田郷敦 工藤阿須加 栁俊太郎 泉澤祐希 / 矢本悠馬
大谷亮平 勝矢 / 高畑充希
木場勝己 大方斐紗子 秋辺デボ マキタスポーツ
玉木宏・舘ひろし
原作:野田サトル「ゴールデンカムイ」(集英社ヤングジャンプ コミックス刊)
監督:久保茂昭
脚本:黒岩勉
音楽:やまだ豊
アイヌ語・文化監修:中川裕 秋辺デボ
制作プロダクション:CREDEUS
配給:東宝
©野田サトル/集英社 ©2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会
公式サイト:kamuy-movie.com
公式X:@kamuy_movie
公式Instagram:@kamuy_movie
ベスト ¥148,500/ナイスネス(イーライト) コート ¥59,400/ヤエカ カンバス デザイン(ヤエカ) シャツ ¥31,900/ニードルズ・サンダル ¥35,200/ニードルズ×トロエントープ・フード ¥19,800/ロドリリオン(すべてネペンテス ウーマン トウキョウ) パンツ ¥37,400/シオタ 床に敷いたラグ ¥132,000/アー・ペー・セー(アー・ペー・セー カスタマーサービス) ソックス/スタイリスト私物
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Hair & Make-up:Fumi Suganaga
Stylist:So Matsukawa
Interview & Text:Masayuki Sawada