歌舞伎俳優・初代尾上眞秀の初舞台を記念して、シャネルが祝幕を制作。銀座の歌舞伎座で開催されている「團菊祭五月大歌舞伎」の昼の部『音菊眞秀若武者』で目にすることができる。メティエダール(芸術的な手仕事)の極みに唸る。
‟文化系男子”の豆知識!
歌舞伎俳優・初代尾上眞秀(おのえ まほろ / 2012年9月11日生まれ)の初舞台に、世界有数のラグジュアリーブランドである「CHANEL(シャネル)」が共鳴。
初代尾上眞秀の初舞台を記念して、フランス人現代アーティストであるグザヴィエ ヴェイヤン(Xavier Veilhan)がデザインを担当し、1939年にパリで創業した刺繍工房であり「シャネル」のメティエダール コレクションなどに携わる「Atelier Montex(アトリエ モンテックス)」が装飾を施したラグジュアリーな祝幕(いわいまく)が制作された。
この祝幕は一般にお披露目中。
東京・銀座の歌舞伎座で2023年5月2日(火)から5月27日(土)の期間で開催されている「團菊祭五月大歌舞伎(だんきくさいごがつおおかぶき)」の初代尾上眞秀初舞台、『音菊眞秀若武者(おとにきくまことのわかむしゃ)』で目にすることができる。
ピクセルアートのような抽象モチーフが形成されている祝幕のデザインに注目。
これは、マルチカラーのオーガンザを直径12cmのサークル状にレーザーカットし、エクリュカラーのファブリックの上で手作業で組み合わせられた約8,900枚もの円形パーツだ。仕上げには、チャコールグレーのシルクオーガンザで「眞秀」の名と音羽屋の家紋である「重ね扇に抱き柏」が描かれている。
この祝幕を制作するにあたり、グザヴィエ ヴェイヤンは「アトリエ モンテックス」でアーティスティック・ディレクターを務めるアスカ ヤマシタと協働。
横25.4メートル・縦5.3メートルという巨大な祝幕の制作にはのべ800時間が費やされた。
ちなみに、「メティエダール コレクション」のメティエダール(MÉTIERS D’ART)とは、“芸術的な手仕事”を意味するフランス語。卓越した職人・アトリエを讃える代名詞として認知されてきた。
故カール ラガーフェルド(1933~2019年)がクリエイションを統括していた2002年以降、「シャネル」ではプレタポルテ コレクションとは別に、メティエダールの伝統とその貴重な専門技術を継承するメティエダール コレクションを毎年12月に発表している。
オフィシャル写真は4月28日(金)に歌舞伎座で行われた祝幕お披露目会見での模様。
寺島しのぶ(50歳)を母に、アートディレクターのローラン グナシア(Laurent Ghnassia / 55歳)を父に持つ‟初代眞秀”、尾上眞秀(本名:寺嶋眞秀 / てらじままほろ)は、人間国宝の七代目尾上菊五郎(しちだいめおのえきくごろう / 80歳)と出席。来日したグザヴィエ ヴェイヤンとアスカ ヤマシタと会見に臨んだ。
伝統的な刺繍技法と巧みの技を押し出したラグジュアリーな祝幕。これぞ、文化の共振だ。
日本の伝統文化と「シャネル」の美学を嗜む‟文化系男子”諸君、『音菊眞秀若武者』の初舞台で歌舞伎役者として大きく羽ばたく日仏ハーフ、初代尾上眞秀の今後を温かい目で見守ろう。