2022.12.17

【チェンソーマン】マヂカルラブリー 野田クリスタル「第2部の展開に不安だらけ…だってまだ世界が優しすぎるから!」

斬新なキャラクター造形に、ダイナミックなアクションシーン、意表を突きまくりのストーリー展開。いま最も注目すべきマンガ『チェンソーマン』。第2部スタート、そして待望のアニメ化など、怒濤の快進撃を続ける衝撃作の魅力とは何なのか? アニメ・原作関係者、ファンなど9人が熱すぎる思いを激白する。

【チェンソーマン】マヂカルラブリー 野田の画像_1

マヂカルラブリー 野田クリスタル(芸人) 第2部の展開に不安だらけ…だってまだ世界が優しすぎるから!

マヂカルラブリー 野田クリスタル  (芸人)

※マンガ原作を未読で、アニメ版のみ
視聴している方には、
キャラクターや
ストーリー上のネタバレを含みますので、
ご注意ください。

 いちいち感情移入してると読めない作品ではある。人の死がまったく特別じゃないし、キャラクターの内面も深く語られない。でも読んでいるといつの間にか、登場人物と同じ気持ちになっているから不思議。終始悪魔の話だけど、描いているのはずっと人の話なんですよね。  

 “怖がられている悪魔ほど強い”って設定だけど、それって実は人の話として置き換えられる。なぜなら恐怖を抱く主体は人間だから。時代に合わせて恐怖の対象は変わるもの。今ならネットの悪魔、炎上の悪魔、コンプライアンスの悪魔が強そう。日頃、僕も“ネタバレの悪魔”と忌み嫌われてるので、チェンソーマンの世界だったらどんどん強くなっていきますよ。

 第2部を読んでいて楽しみであり怖いのが、「これは壮大な『フリ』なんじゃないか?」ってこと。第1部では、とんでもない展開の合間に、穏やかな“のんびりパート”があるけど、現在の展開って長めのそれ(フリ)にしか思えない。メインキャラの三鷹アサに憑依した戦争の悪魔も、何なら少し抜けていて「意外といいやつ」。だからこそ不安になるんですよ(笑)。

 だってまだ世界が優しすぎるから! アサにとって“殺して罪悪感が強い相手ほど強い武器に変えられる”なんて怖すぎる伏線、回収される“この先”を考えたら、どれだけデカい反動が待っているのか。先生、鬱展開はないですよね…? 藤本先生の想像力は読めない。つかめたと思えたそばから離れていく。容易にクサい展開に落とさず物語として締めるところは締める。意外性の連続の中に「これを描きたい」という強い意志を感じる。きっとマキマのような人ですね。


© 藤本タツキ/集英社 チェンソーマン 漫画
©︎藤本タツキ/集英社

「好きなキャラはデンジやパワーの師匠の岸辺。ヤバいやつほどデビルハンターに向いてると知っていて、自分もそうなりたかったけど無理だった。ぐっときます」。


© 藤本タツキ/集英社 チェンソーマン 漫画

©︎藤本タツキ/集英社

クラスでは常に浮いた存在、ある日突然同級生に殺されて命を失った三鷹アサに、戦争の悪魔が憑依、ヨルとして共存するが…。「勝手に人格を乗っ取るヨルだけど、アサが本当に恐怖しているときは身体を操れないという設定が絶妙ですよね。何かの伏線!?」。


NODA CRYSTAL
1986年神奈川県生まれ。2007年、相方の村上とマヂカルラブリーを結成。「結局、芸人っていわば“天才・松本人志”に憧れながらもなれなかった男ばかりだから、僕をはじめ、皆、岸辺に共感しちゃうんですよね」。



Photo:Teppei Hoshida 
Interview&Text:Hisamoto Chikaraishi[S/T/D/Y]

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