岡山市でトリエンナーレ形式で行われる国際現代美術展「岡山芸術交流2022」が11月27日まで開催中だ。今年度はアーティスティック・ディレクターにリクリット・ティラヴァーニャを迎え、岡山市内の随所が体験、参加できるアート作品に染まる。
3年に1度開催されている国際現代美術展「岡山芸術交流」が今年も始まった。アーティスティックディレクターに現代美術家のリクリット・ティラヴァーニャを迎え、13カ国28組の作家たちによる作品が岡山城や岡山後楽園周辺エリアのさまざまな文化施設11箇所に展示された。
今回のタイトルは「DO WE DREAM UNDER THE SAME SKY(僕らは同じ空のもと夢をみているのだろうか)」。過去、ティラヴァーニャの作品としても使われてきたこのフレーズは「疑問文としての要素を備えていながら、文末にクエスチョンマークのないこの文章はアイディアの入口にしか過ぎません」という。メイン会場のひとつで廃校となった旧内山下小学校の校庭には、今回クラウドファウンディングにより集められた資金により芝生が敷き詰められ、このフレーズが刈り込まれた。
ティラヴァーニャをアーティストとして有名にした作品はタイカレーなどの食事を作り、観客にふるまうという行為自体をアートパフォーマンスとするものだが、今回の芝生の“作品”もまたそこを訪れる人たちが参加することによって完成する。校庭の片隅には地元の作家による備前焼と烏城彫の食器でティラヴァーニャのファミリーレシピによるカレーを提供するフードトラックも設置された。
校庭横の屋外プールの更衣室には、ティラヴァーニャとコラボレーションした「OVERCOAT (オーバーコート)」の作品も。デザイナー大丸隆平が率いるニューヨークを拠点にするOVERCOATは、今回はN P O団体The Or Foundationと提携して集めた古着のコートを題材に、ファッション業界の大量生産と廃棄の問題に焦点を当てる作品「COME TOGETHER」を発表。
空っぽのプールにはロンドン生まれのナイジェリア系アメリカ人プレシャス・オコヨモンによる巨大なテディベアの作品が横たわっている。
ほか会場のほとんどはいずれも徒歩圏内。岡山城には全長24 メートルの大きなスクリーンが設えられ、池田亮司による映像作品が投影された。
オープニングレセプションには地元の小学生約100名が参加、ティラヴァーニャは即興で「?」の人文字を子供たちと一緒に作ることを提案した。校庭の芝生にしつらえられた“DO WE DREAM UNDER THE SAME SKY?”に対する答えはひとつではなく、アーティストや子供たちそれぞれの、そして私たちそれぞれにとって多様なものであるはず、とのメッセージを感じた。
岡山芸術交流2022
会期:2022年9月30日〜11月27日
展示会場:旧内山下小学校、岡山県天神山文化プラザ、岡山市立オリエント美術館、シネマ・クレール丸の内、林原美術館、岡山後楽園、岡山神社、石山公園、岡山城、岡山天満屋
開館時間:会場によって異なります。
https://www.okayamaartsummit.jp/2022/
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