2022.01.14
最終更新日:2024.03.07

「いろいろなジャンルの作品に挑戦していくのがMAPPA」【MAPPAが語る、0からわかる『呪術廻戦』Vol.3】

12月24日、ついにこの日がやってきた。「週刊少年ジャンプ」にて連載中、単行本の累計発行部数が6000万部を超え、TVアニメシリーズも爆発的な人気を集めるなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの大人気コミック『呪術廻戦』、本編の前日譚的なエピソードを描いた『劇場版 呪術廻戦 0』が満を持して劇場公開されるのだ。そのテレビアニメ&劇場版を一手に担い、“呪術”ブームを牽引している立役者であるMAPPAに、映画の見どころや面白さの秘密を直撃!

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いろいろなジャンルの作品に挑戦していくのがMAPPA

『劇場版 呪術廻戦 0』 五条悟
映画化にあたっては、TVシリーズとは違うことをしたかったと話す朴監督。その一つが空の色味を変えること。

――MAPPAは『呪術廻戦』だけでなく、さまざまな作品を手がけています。MAPPAというアニメーションスタジオの魅力や特徴は何でしょうか?

 自分はMAPPAに入って9年ぐらいになるのかな。最初のMAPPAの印象というのは…そうですね、自分は1980年〜’90年代の日本のアニメ、例えば、『カウボーイビバップ』とか『新世紀エヴァンゲリオン』とかそういう作品にすごく憧れていたんです。MAPPAができた10年ぐらい前は、現場的にやっぱり萌えキャラとかの作品がすごく多かった時期で。もちろんそういう作品もありだなと思うんですけど、その頃にMAPPAは『残響のテロル』とか『神撃のバハムート』といった良質な作品をやっていた。今の日本の業界であまりやろうとしてなかった作品に挑戦するというところにすごく魅力を感じて、それで参加することにしたんです。

「劇場版 呪術廻戦 0」 特級過呪怨霊里香
――すごく前向きにいろいろなことに挑戦するスタジオなんですね。 朴 そうなんです。『残響のテロル』とか『神撃のバハムート』をやりながら、『パンチライン』とか『ゾンビランドサガ』みたいな作品もやる。一つのジャンルではなくて、本当にいろいろなジャンルの作品に挑戦していくというのがMAPPAの魅力じゃないかなと思います。あとは、クリエイターにすごくチャンスを与えてくれますね。自分も初監督作はMAPPAだったんですけど、やりたいという気持ちがあるところにはすごいチャンスを与える会社なのかなと。 瀬古 僕は制作の中に入ってやる人間じゃないし、あくまで外から見ているだけの立場なので詳しいところはよくわからないですけど、あえて大変な道を行くという感じがMAPPAにはありますよね。いくつか道がある中でたぶんいちばん面倒くさい道を進んで選ぶというか(笑)。 朴 そうなんですよ。チャンスは多いんですけど、そのぶん大変(笑)。 瀬古 ただ、クオリティを上げていくにはいちばん適した道だと思うんですよ。僕が最初にMAPPAとかかわったのが、おそらく2013年とかだったのかな。 朴 何の作品だったんですか? 瀬古 『残響のテロル』です。 朴 ああ、『テロル』ですか。 瀬古 『テロル』と『牙狼〈GARO〉–炎の刻印–』です。その二つを同時にやることになって。当時は本当にすごく小さい会社だったんですよ。 朴 そうですよね。 瀬古 それが、大塚(学)さんが社長になって「これから会社を大きくしていきます」みたいなことを言っていたんですが、そうしたら本当に一気に大きくなって。そのやり方ってたぶんすごくきついことだと思うんですよね。一気に本数を増やしてつくるわけですから。しかも、MAPPAはほかのアニメ会社よりも社員として雇っている人の数が多い。それってちゃんと人を育てようということで、アニメ業界においてはかなり大変で困難な道かもしれませんが、そこをちゃんとやることがいいものをつくることにつながっていると思います。

劇場の大きいスクリーンで観てもらいたい

「劇場版 呪術廻戦 0」 狗巻 棘
――劇場版が公開されたこのタイミングであらためてTVアニメシリーズを観ようという人は多いと思います。『呪術廻戦』をより楽しむために、注目してほしいポイントがあれば教えてください。 朴 劇場版の主人公は乙骨ですけど、夏油と五条の話も描かれていて、TVシリーズで見る二人の関係が実はこうだったんだということがわかるので、そういったところも楽しんでもらえたらうれしいです。 瀬古 映画は前日譚なので、TVシリーズでは2年生だった禪院真希とかパンダとか狗巻 棘が1年生で出ています。TVシリーズだと真希たちは本当に突然出てきて、0巻を読んでないと「誰だろう、この人たち?」という感じだったと思うんです。なので、彼女たちに焦点を当てて観てもらっても面白いのかなと。こういう人たちで、こういう関係性だったんだってことがわかると思います。 ――では、最後に。これから映画を観るファンに向けてメッセージをいただけますか?

何も考えずに『呪術廻戦』の世界に入って楽しんでほしい。(朴)

アクションは「これでもか」というぐらいかっこよくなっている。(瀬古)

 TVシリーズの勢いをそのまま引っ張っていって、シリーズ以上のものを出すという課題を最初からしっかり自分の中でもっていたので、なかなか自分からは100%すべてやり切ったとは言えないですけど、少なくともそこを目指してスタッフみんなで一致団結してつくりました。劇場に来ていただいて、何も考えずに『呪術廻戦』の世界に入って楽しんでいただけたらうれしいです。


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アニメ監督 朴 性厚(パク・ソンフ)
アニメーター、演出家、監督。『呪術廻戦』のテレビアニメ版、劇場版で監督を務める。監督作に「牙狼〈GARO〉-VANISHING LINE-」「THE GOD OF HIGH SCHOOL-ゴッド・オブ・ハイスクール-」など。

シリーズ構成・脚本 瀬古浩司
アニメを中心に多くの作品を手がける脚本家。代表作に「進撃の巨人」シリーズ、「ヴィンランド・サガ」「平穏世代の韋駄天達」など。待機作に「サマータイムレンダ」「チェンソーマン」がある。


劇場版 呪術廻戦 0
『劇場版 呪術廻戦 0』 原作/『呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校』 芥見下々(集英社 ジャンプ コミックス刊) 監督/朴 性厚  脚本/瀬古浩司  制作/MAPPA CAST/緒方恵美、花澤香菜、中村悠一、櫻井孝宏ほか 「僕は呪術高専で里香ちゃんの呪いを解きます」。通称“0巻”と呼ばれ、既刊単行本の中でも人気のストーリーの一つである『呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校』を映画化。『呪術廻戦』へとつながる愛と呪いの物語。 © 2021 「劇場版 呪術廻戦 0」製作委員会 © 芥見下々/集英社


UOMO2・3月合併号特別付録は アニメ「呪術廻戦」×UOMOコンビポーチ

虎杖悠仁×東堂 葵の大ポーチ
伏黒 恵×釘崎野薔薇の小ポーチ
虎杖悠仁(表面)×東堂 葵(裏面)による大ポーチ(縦140mm×横200mm)と、伏黒 恵(表面)×釘崎野薔薇(裏面)による小ポーチ(縦105mm×横150mm)の二種類がセット。シックなトーンのキャラクターをそれぞれプリントした”両面展開”のコンビポーチ。

UOMO2・3月合併号表紙


Text:Masayuki Sawada

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