2020.03.18
最終更新日:2024.03.07

建築家・谷尻誠がいつか息子に引き継ぎたいロレックスとティファニーのダブルネーム時計【僕を大人にしてくれた服】

多くの服に袖を通してきた大人たちには、必ず原点となる思い出の一着がある。建築家・谷尻誠さんにとってのそれは、入手困難なロレックスとティファニーのダブルネームウォッチ。その理由とは?

建築家・谷尻誠がいつか息子に引き継ぎたいの画像_1

Tiffany & Co.ネームの ROLEXエクスプローラーⅡ

建築家・谷尻誠がいつか息子に引き継ぎたいの画像_2

「いつか息子にこれを託すときが来て、 また新しい物語が生まれると思うんです」

谷尻 誠さん/建築家・起業家
 生産数が少なく、手に入れるのが非常に困難なロレックスとティファニーのダブルネームウォッチ。谷尻さんがそれを手に入れたのは、まだ発売間もない1996年。22歳のときだ。
「あの頃は本当にファッションに夢中で、いろんなものを無理して買っていました。これはその時期の最たるものの一つ。当時だいたい80万円くらいで、普通に考えれば手の届くものではなかった。それを無理にローンを組んで買ったのを覚えています」
 しかし数年後、谷尻さんはお金が必要になり、手放してしまうことに。
「そのことは今もずっと後悔しています。なぜ売ってしまったのか…。本当は売りたくないのに売ってしまった自分の弱さ。お金で左右されてしまう未熟な自分だったのだと今は思います。その後も時計が欲しいと思ったことはあるのですが、何を買っていいかがわからなくてずっとモヤモヤしていました。最近になって、お世話になっているお店から『あのとき谷尻さんが持っていた時計が手に入りましたよ』と連絡が入ったんです。想像以上の値上がりに驚き、躊躇しましたが、同じ後悔をしたくなくて購入を決意しました」
 今は単純にお金で物事の価値を測ることはなくなった。
「欲しければ無理して買って、お金に困ったら売る。若い頃はそんなショートタームでしか判断できなかった。でもそれでは物事の真価は測れないんですよね。今はもっと長い時間感覚をもつことができるようになった。少しは大人になったかなって思います。だいぶ高い授業料でしたけど(笑)」


Photos:Arata Suzuki[go relax E more] Shintaro Yoshimatsu Takahiro Idenoshita Teppei Hoshida Toru
Text:Jun Namekata[The VOICE] Hisamoto Chikaraishi Takako Nagai

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