SUV全盛の昨今、ステーションワゴンはむしろレアなクルマになった。でも少しクラシカルで味わい深い雰囲気と、実用性の高さはほかにはない魅力だ。Cクラス、ゴルフ、MINI。キャラクターの異なる3台を乗りくらべた。
ー 試乗したのは ー
1Mercedes-Benz
C220d Stationwagon
2Volkswagen
Golf Variant eTSI Style
3MINI
Cooper S Clubman
実用的でラグジュアリー。もはやCクラスと思えない風格。
Mercedes-BenzC220d Stationwagon
5代目となる現行メルセデス・ベンツCクラス(セダン/ステーションワゴン)のポイントの一つは電動化。試乗車のクリーンディーゼルエンジンも、ガソリンエンジンもマイルドハイブリッドに。全長4785㎜と都市部で持て余さないサイズ、自動ブレーキなどの先進運転支援装置もアップデート。荷室容量490ℓ。736万円。
オプションのスライディングルーフに「車内が明るくなりますね」と関口さん。秋月さんも「開けると気持ちがいい」と高評価。
縦長の液晶パネルにインターフェイスを集約。声でナビなどを操作するMBUXを標準装備。「妻も運転するので安全装備の充実がうれしい」と秋月さん。関口さんは「話しかけて目的地を設定できるのが驚きです」。
ラゲッジスペースの床下には折りたたみ式コンテナが備わる。「アウトドアで物を入れるのに助かります」と関口さん。
赤黒のレザーのコンビはAMGライン装着車のみ選択可能。「この色使い、インパクトがあって好きです」と関口さん。秋月さんは「シンプルに黒やベージュだったらCクラスの内装がいちばんなのに」と評価が分かれた。
無駄な装飾のない、ワーゲンらしいシンプルで機能的なデザインが光る。
VolkswagenGolf Variant eTSI Style
ゴルフ・ヴァリアントはハッチバック版より全長が345㎜長い4640㎜。長くなったぶん、荷室が拡大している。試乗車はガソリンエンジンだが、ディーゼルもラインナップ。さらにスポーツ走行を好む人のために最高出力320psを誇るゴルフ・ヴァリアントRも用意される。最先端の運転支援装置つきで安心。荷室容量611ℓ。440.3万円。
足の動きを感知しテールゲートが開くオプションを装備。「子どもを抱いているときに便利」と関口さん、秋月さんも口を揃えた。
「シンプルですっきりした内装は愛車のボルボ 940に似ていて、ゴルフがいちばん好きかも」と関口さん。秋月さんも「ゴルフのインテリアのデザインはいい意味で普通。安心できます」。
走りを楽しめて、二人のお子さんも乗れるということで先代のBMW M3に乗る秋月さんは「この後席の広さならOKです」。アウトドアが好きでボルボ 940エステートに乗る関口さんも「広さは合格」。
低いルーフラインに観音開きのリアドア。MINIファミリーの中でも異彩を放つ存在。
MINICooper S Clubman
3ドアやカブリオレなどのバリエーションがあるMINI。クラブマンはボディをストレッチして後席と荷室を拡大したモデルで、試乗車は最高出力192psのエンジンを積むスポーティなアントールドエディション。ただしMINIの次期モデルはEV化されることが決定、現行モデルのファイナルエディションも登場。気になる人は急げ! 荷室容量360ℓ。539万円。
「観音開きは片側だけでも開けられるので、狭い場所で使い勝手がいいですね」と秋月さん。焚き火に凝っている関口さんは「荷室へのアクセスがいいのは好印象」と話す。
オプションのスポーツシートを装備。関口さんは「座り心地はMINIがいちばん」と話す。走ることが好きな秋月さんも「ホールド性がよくて気に入りました」。
「僕は走るクルマが好きなので、接地感がしっかり伝わるハンドリングが好印象。音もいい!」と秋月さん。
「普段乗ってるボルボ 940の長所は、後席を倒さなくても荷物が載ること。このクルマもその点はクリア」と関口さん。
総評
カッコいいと思うのはシンプルな機能美です
ミニバンやSUVが便利なのはわかりますが、ワゴンのスタイリングが好きでボルボに乗っています。3台を乗りくらべると違いがよくわかって僕はゴルフが気に入りました。贅沢なものよりシンプルなものが好きみたいです。
佇まいは控えめで、でも速いクルマが好き
ベーシックなモノに惹かれるのでセダンやワゴンが好きです。どれもよくできていて本当に迷いますが、速いクルマが好きなのでMINIのクーパーSがよかった。メルセデスのAMGやゴルフRのワゴンにも乗ってみたいですね。
Text:Takeshi Sato