国産ファミリーカーの無双すぎる2大巨頭、硬派系SUVのランドクルーザー GR SPORTと高級ミニバンのアルファード。「最強」のベクトルが異なる両モデル、乗るならどっちだ?
ー 試乗したのは ー
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トヨタのモータースポーツ部門肝いりの超本格派オフローダー!
LAND CRUISER
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LAND CRUISERGR SPORT
800万円〜
メルセデスGクラス、ジープ・ラングラーと並ぶ世界の本格オフローダー。全長5m弱×全幅2m弱で3.5ℓV6ターボ(3列7人乗り)と、3.3ℓV6ディーゼルターボ(2列5人乗り)が選べ、ギアボックスは10速AT。一時納車5年待ちと言われた世界有数の高級SUVだ! ディーゼルエンジン搭載のワングレードで800万円から。
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土井地 お父さんが最もカッコよく見えるSUVだね
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水澗 本格オフローダーだけど都会でもカッコいいってなかなかない
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髙橋 僕がモデルを始めた頃、大人の撮影スタッフは、よく古いランクルやレンジに乗っていました。当時はよくわからなかったのですが、格好いいうえに広くて使える。今見ると彼らが好んでいた理由がわかるなあ。
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土井地 シンプルで機能的。ザ・ランクルって感じのインパネですよね。4WDのオンオフスイッチがあったり、“本物の道具”だって伝わってくる。つい外国のデザインに目がいきがちだけど、日本車もいいな~と再認識できますね。
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髙橋 初めて最近のランクルに乗りました。目線が高くて視界が開けているし、ゴツい見た目以上に安定感があって座り心地も快適。頼もしいです。
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土井地 いい意味で裏切られました。シートは高級ソファのようだし、走りも武骨な中にしなやかさがあって上質な大人の空間。家族で乗るクルマとして、本気で欲しくなりました。
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髙橋 大きなメカを操る感じ。揺れすら楽しい!
新型は、さらにホテルのような心地よさに進化!
ALPHARD
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ALPHARDExecutive Lounge
872万円〜
2000年代以降の国産高級車の概念を覆したアルファードとヴェルファイア。時に月販1万台以上を記録し、4代目はサイズをほぼ変えずに、立体的なデザインと上質な内装、そして衝撃的な低燃費の新ハイブリッドで高級サルーン並みの走りを実現。ランクル同様長期納車待ちだ! 試乗車は3列7人乗りのハイブリッドのE-Fourで872万円から。
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土井地 この快適さ、正直メルセデスでも味わえない!
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水澗 ドアがタッチ式になってスムーズです
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髙橋 顔がスゴい! 生き物のようでクルマのフロントマスクと思えない。先代のアルファードもすごかったけど、ワイルドさはそのままに一体感が増している気がします。
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水澗 先代のアルファードに乗っているのでつい比べてしまいますが、新型は2列目の座り心地がよくなったのはもちろん、天井のヘッドアップコンソールが便利だし、なにより電動マッサージがサイコー! 気持ちよすぎて降りたくなくなります。まだまだ進化しているのか、と驚きです。
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土井地 ホテルにいるような佇まいですよね。内装がますますよくなって、身体がすっぽりハマる感じですごく心地よい。これは家族も喜ぶと思います。ただし運転手さんも欲しくなっちゃいますね(笑)。
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水澗 ステアリングが低く小径化されて運転しやすい! カップホルダーも近くなりましたし、USB充電も増えて、ますますミニバンから高級セダンに近くなっています。ただ、新型は価格が上がってしまったのが残念…。
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土井地 ハンドルがドイツのミニバンより軽くて運転しやすいし、これなら500kmでも800kmでも、平気で乗れちゃいます。
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水澗 先代より前方の空間が広いおかげか走行中の見晴らしがよくなってます。
結論。3人はどっちを選んだ?
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水澗 航さんが乗るなら
アルファードってどこまで進化するの!?
ランクルも憧れですが、3人の子どもをはじめ、人を大勢乗せたり、仕事柄大量に洋服や家具を運ぶときもあるので、やっぱりアルファード。知らない人は「先代とどこが変わったの?」と言うかもしれませんが、走りから装備まで、すべてよくなっています。欲しい!
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髙橋義明さんが乗るなら
四駆はバイクのように人車一体になれる
アルファードに乗るなら運転手付きという感じがしますし、やっぱりランクルのほうが自分事として考えられました。デカいしバイクとは全然違うけど、操っている感覚はあります。シートも高い位置にあり、程よく揺れる。走っていると地面の形状を感じとれるようで運転するのが楽しい。バイク同様、身体的につながれるのが魅力の一つだと思います。
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土井地 博さんが乗るなら
ランクルこそ、ベスト・オブ・ファミリーカー!
もう全部好きです、大好物(笑)。見た瞬間にランクルだってわかるし、これぞ日本が生んだシンプルデザインの極致。重量級なスペックから想像できないほど運転しやすくて、ステアリングやアクセルに全然違和感がない。潔いパンダカラーも好み。こんなにカッコよくて家族も乗れるんだから最高ですよ。
自動車ジャーナリスト小沢コージが語るランクル&アルファードの快進撃
かつて憧れの国産車と言えば、トヨタ セルシオのような高級サルーンか日産 フェアレディZのようなスポーツカーだったが、昨今は家族も乗れるSUVや、ラージミニバンに取って代わられている。これはまさに時代の象徴であり、日本独自の大衆的進化だ。
ミニバンはクルマ好きには軽視されがちな存在だったが、今は違う。土井地さんや水澗さんが「ファッション業界でも普通に選択肢の一つとして入ってくる」というように、アルファードはオシャレな人たちでも乗る存在になった。
それは第一に圧倒的な快適性と広さだ。大人が7〜8人乗れるのはもちろん、2列目にビジネスクラス並みの巨大ボックスシートを載せるとそこはほとんど地上を走るジェット機。この魅力に抗える人はなかなかいない。エクステリアもますます洗練されてきている。かつては貨物車の象徴だったスライドドアも新型ではますます洗練され、開発者は日本が生んだ障子文化(横開きドア)として進化させようとしている。
一方、ランクルも圧倒的だ。かつては素朴でタフなリーバイス 501®のようなシンプルな道具性で世界的に大人気だったが、今はそこにリッチさと高級感が加わり、中東の石油王だけではなく欧米でも人気となり、シンプルな見た目で上質&タフなクルマとして人気を博し、引く手あまたなのだ。
良品廉価が日本車の最大の武器だった時代は変わりつつある。プレミアムなニッポンのファミリーカーが台頭しているのだ。
Videographer:Kosuke Usui[BYNAZR]
Text:Koji Ozawa