細かい蘊蓄やスペックの話は置いといて、シンプルに見た目だけでファミリーカーを選んだらどうなるか。各界のクルマ好き6名が集まり、現行モデルから発売予定のニューモデルまで、グッドルッキングなモデルについてあれこれ語ってもらいました。
ー 参加者 ー
蘇ったプリウス、挑戦的なLBX
―では、日本のファミリーカーはいかがですか? デザイン的に評価されているクルマもありますが。
渡辺 この直近、例えば1~2年ぐらいのスパンでいえば、デザインで甦ったクルマはプリウスですね。売れ行きもだいぶ好調です。
今泉 プリウスはかっこいいですよね。すごくよくなったと思う。
渡辺 自動車ライターの立場から見れば、かっこいいのはわかるんだけど、乗り降りとか視界とか、気になる点はあるんです。現に前の型に比べると、視覚的なところでの情報性はよくはない。ただ、それでも買いたいと思わせるものがデザインにあるということなんですよね。
遠藤 本当にきれいなデザインだと思います。アメリカでもすごく売れているみたいです。ただ、身体の大きいアメリカ人はどうやって乗るんだろうって思いますね。圧迫感があるから。
渡辺 デザインのまま起こしちゃった感じですよね。
Toyota Prius
藤村 うん。普通はあり得ないラインだと思う。トヨタはほかにもクラウンをどんどん変えていってますよね。さっきちらっと出ましたけど、最近もクラウン スポーツとか出してました。
遠藤 クラウン スポーツはスポーティで筋肉質なフォルムですよね。
藤村 けっこう思い切ったデザインになっているなって印象です。大きく張り出したリアフェンダーはあまり好みじゃないけど。
渡辺 日本のメーカーの中では、今いちばんいろいろ変えているのはトヨタかもしれないですね。まあ、よそに比べて圧倒的にラインナップが多いというのもあるとは思いますけど。あと、デザイン部門のトップがいわゆるブランディングオフィサーみたいなこともやっていて、彼らのポリシーがすごく行き渡りやすくなっているのはあります。サイモン・ハンフリーズさんという方なんですけれども、ほぼほぼトヨタでキャリアを積んでいて、トヨタブランドをよく理解している。「こうしたい」「ああしたい」というデザイン側の意志を経営側に伝えやすいのは大きいと思います。
Toyota Crown Sport
佐藤 レクサスはどうなんですか? 新しく発売されるLBXは面白いなって思いました。
渡辺 評判いいですよね。デザイン的にもけっこうチャレンジングなことをしていて、本来だったらもっとピラーを前に出して、キャビンスペースを広くとろうと思えばできるのに、ちょっと引いている。それはやっぱりデザイン的に高級、高品質に見せたい意向が働いているんですね。
遠藤 リアの形状とかを見ると、視界を犠牲にしてまで「こうしたかった」という思いが伝わってきますよね。
渡辺 後ろはかなり見えづらいんじゃないかな。そこらへんは、どういうコンセプトでクルマをつくっていくかという話の中で、譲り合いとかせめぎ合いがあったんだと思います。
Lexus LBX
服部 話を聞いていて思ったんですが、新しいクルマって隙がないですね。デザインにみんな走りまくって、遊び心がちょっと少ないというか。ホイールもみんな、おしゃれホイールじゃないですか。自分はやっぱりダサかっこいいのが好きだったりするので、「うわっ、ここダセー」みたいなのがないなって思います。抜けがないんですよね。
渡辺 それはとてもよくわかります。
服部 「何でここだけこんなふうになっちゃったんだろう」みたいな、抜けたところがなくて、それがずっと引っかかっています。
―服部さんの好きなダサかっこいいクルマって何なんですか?
服部 ダッヂのデュランゴとか好きなんですよね。もうゴリゴリの武骨な感じだけど、何かいいなって。
―アメ車ですね。考えると、アメ車がまだ出てきません。テスラはどうですか?
佐藤 あらためてあれがアメ車だと思うと、ちょっとびっくりしますよね。
服部 テスラはちょっとね、わかるんですよ。だから、乗ってみたいんですけど、この前テスラがこすっているところを見ちゃったんです。人工知能が負けた瞬間を見ちゃった(笑)。まあ、今泉さんと一緒で俺もガソリン車が好きだから、EVは常用して乗るかと言われたらちょっとわからないです。でも、テスラは気になりますね。
―テスラは最近だと、モデルYですかね。
遠藤 モデルYは売れているみたいです。デザイン的にはピラーが立って、頭が高く見えるのが特徴ですよね。
佐藤 ちょっとこぶっぽい感じの形状に見えますよね。テスラってすべてのモデルを通して意図的にアノニマスな感じにしている気がして、かっこいいとかそういった理由で選ぶというよりも、テスラが好きっていう人が選んでいるのかなって。
渡辺 それはあると思います。
Tesla ModelY
Interview&Text:Masayuki Sawada