2024.02.11

ヒョンデのアイオニック5は今の日本メーカーからまず生まれないデザイン【おしゃれな大人が「見た目だけで選ぶ」クルマ座談会 PART.3】

細かい蘊蓄やスペックの話は置いといて、シンプルに見た目だけでファミリーカーを選んだらどうなるか。各界のクルマ好き6名が集まり、現行モデルから発売予定のニューモデルまで、グッドルッキングなモデルについてあれこれ語ってもらいました。

ヒョンデのアイオニック5は今の日本メーカの画像_1

ー 参加者 ー

藤村雅史さん(アートディレクター)プロフィール画像
藤村雅史さん(アートディレクター)
本誌でお馴染みの趣味人。愛車はレンジローバーとメルセデスEQC。EQCの電費の悪さにちょっと早まったかなと思っている。次に狙うはEQGか!?
今泉 悠さん(ayame デザイナー)プロフィール画像
今泉 悠さん(ayame デザイナー)
ガソリン車をこよなく愛するオイリー・ボーイ。現在の愛車は993型911。いつかはGT3 RSに乗ってかっ飛ばしてみたい。家族用にGクラス400dも所有。
渡辺敏史さん(自動車ジャーナリスト)プロフィール画像
渡辺敏史さん(自動車ジャーナリスト)
二輪・四輪誌の編集に携わった後、独立。数々のクルマに試乗し、守備範囲は広大。愛車は996型ポルシェ911と納車待ちのマツダ ロードスター。
服部昌孝さん(スタイリスト)プロフィール画像
服部昌孝さん(スタイリスト)
初めて免許を取ったのは2022年1月。旧車好きで、現在はクルマ10台、バイク4台のオーナーである。普段の足はマツダ ロードスター。
佐藤佑樹さん(Cale デザイナー)プロフィール画像
佐藤佑樹さん(Cale デザイナー)
洋服づくりのほかに、東麻布でギャラリーを運営。実は旧いクルマが好きだったりするが、現在は子育て真っ最中のため、アウディQ8 e-tronに乗っている。
遠藤イヅルさん(イラストレーター、ライター)プロフィール画像
遠藤イヅルさん(イラストレーター、ライター)
自動車全般に膨大な知識をもち、大衆車、実用車系のイラスト・記事が得意。VW サンタナ、日産 サニーカリフォルニア、ルノー ルーテシアを所有。

今の日本メーカーからまず生まれないデザイン

―韓国や中国のファミリーカーはどうですか? 欧州のメーカーからデザイナーを引き抜いたりして、最近のモデルはかなり洗練されています。それこそヒョンデのアイオニック5はだいぶ評判がいいです。

遠藤 これは新しい乗り物だと思いましたね。家電というとちょっと言いすぎなんですけど、スマートフォンとか、そっちのニュアンスに近い雰囲気を前面に押し出していて、SFっぽいところもあるし、近未来っぽいところもあるし、今の日本のメーカーからはまず生まれないデザインだなって。ここまでエッジをパキパキにするのはすごいですよ。リアビューのパキパキぶりとかハンパないですから。

佐藤 街中ですれ違ったことがあって、かなり目をひきましたね。リアを見て、「あのクルマは何だろう?」と思って、そういう意味では差別化に成功しているんだろうなと思いました。

渡辺 ヒョンデの今のデザインのトップは元ランボルギーニですよね。ムルシエラゴとかガヤルドをやった人です。

佐藤 それは納得。

渡辺 やっぱりどこかにそういう気配が出るものですよね。

Hyundai IONIQ5

Hyundai IONIQ5

―佐藤さんは見た目だけで選ぶなら、どういうクルマが好きなんですか?

佐藤 僕も服部さんと同じで、旧車のほうが好きなんですが、現在は子育て中というのもあって、やっぱり使い勝手のいいものに惹かれる傾向があります。ただ、見た目ということであれば、「これがやりたかった」ということがわかるクルマに共感しますね。

藤村 ID. Buzzはどうです?

佐藤 気になりました。

藤村 僕もこれは欲しいなと思った。昔、ワーゲンバスを探して買ったことがあって、その当時通っていた南の島に置いていたんだけど、あっという間に塗装が剝げて、どうにもならなくなっちゃった。かつてのワーゲンバスがこういう感じで新しくなって出てくると、新し物好きとしては気になります。

遠藤 一見すると、タイプ2をモチーフとしているようなんですけど、実際は全然どこにもその要素がないんですよね。なのに、タイプ2だなと思わせるのはさすがです。

佐藤 ツートーンカラーのイメージが強いですけど、真っ黒にしているやつも見たことがあって、カラーリングでだいぶ印象が変わるので、思った以上に幅広い層に受ける気がしますね。

Volkswagen ID. Buzz

Volkswagen ID. Buzz

今泉 マセラティのグレカーレは売れているんですか?

渡辺 売れていると思います。マセラティは2~3年前からデザインランゲージが変わって、グレカーレもMC20とかグラントゥーリズモといったほかのモデルと並べてみると、「ああ、親戚一同だな」とわかりますね。

Maserati Grecale

Maserati Grecale

―マセラティの伝統ともいえるフロントグリルの大きな開口はちゃんと残っていますね。同じようにBMWもキドニーグリルと呼ばれるフロントグリルが特徴です。鼻の穴みたいなんてことを言われ、年々大きくなっている感もあって、賛否が分かれるデザインですが、皆さんはどう見ているんですか?

藤村 個人的にはBMWはどこにいっちゃうんだろうという感じはあるかな。

服部 俺もです。本当に好みが分かれますよね。

遠藤 MシリーズみたいなハイパフォーマンスカーとかEVとか、特殊なモデルに派手なエクステリアを与える傾向になってきているのかなと思います。たしかに昔に比べたら大きいんです。でも、一体型グリルとして見れば馴染んでいるような感じもあって、実際に現物を見るとそこまで悪くないんですよ。写真で見ると全然ダメだけど、現物はそんなに悪くない(笑)。

渡辺 鉄仮面ですよね。こういうフェイスになるのは、やっぱり市場での存在感というのがいちばんの理由かなと。要するに、中国マーケットです。中国マーケットで勝負するためのデザインなんだろうなとは思います。ただ、この間のモビリティショーでも展示されたヴィジョン・ノイエ・クラッセというEVコンセプトカーがあって、それはすごくすっきりしたデザインなんですけど、グリルがいよいよ顔になっちゃったみたいな感じで、今までのはここに持ってくるための壮大なフリだったのかなと思わなくもないです。

遠藤 最近のBMWは、特徴だったボディの陰影を表すキャラクターラインがなくなっちゃって残念だなと思いますけど、ウィンドウグラフィックスとか、BMWらしさはやっぱり残っていて、ぱっと見で誰でもわかるのはうまいなって思います。さっきのマセラティもそうですし、アルファロメオも一発でわかりますよね。

BMW M440i

BMW M440i
ーPART.4へ続く


Illustration:Izuru Endo
Interview&Text:Masayuki Sawada

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