カーボンニュートラルな環境意識の高まりとともに続々と誕生しているEV。もはや次にクルマを買うならEVしかない? 今回は、飛行機の操縦桿のようなデザインである「ヨークステアリング」を装備したクルマについて。
Vol.20
“運転”から“操縦”の時代へ
TESLA Model X
EVに乗り替えたからといって、周囲の人から気づかれることは意外と少ない。近年のガソリン車はハイブリッドも含めて十分静かだし、見た目にも劇的な違いはない。でも、この「ヨークステアリング」を装備したクルマで現れたら、誰もが驚くのではないだろうか。
飛行機の操縦桿のようなデザインであるヨークステアリングは、テスラではすでにオプションで選べるようになっているとあって、今後のスタンダードになる可能性を秘めている。では、なぜこのようなステアリングが求められるようになったのか。まだ実物に触れたことはないが、従来の円形と異なり上半分が存在しないため、モニターや前方の視認性は良好になるに違いない。
また、自動運転といった運転支援システムの進化により、オートパイロットで高速道路を運転する際は手を添えるだけで走れるわけだが、従来の丸いステアリングでは手持ち無沙汰のような感覚に陥る。うっかり手がステアリングから離れると、程なくして警告のアラームが車内に鳴り響くわけで、実に煩わしい。
その点、ヨークステアリングではどうか。実際に装着したテスラオーナーに聞いてみたところ、「交換してからむしろステアリングをしっかり握るようになった」という。警告の数もおのずと減り、運転時のストレスも激減。どうやら自動運転との相性がよいのは間違いなさそうだ。
飛行機が自動操縦でフライトしているように、運転することが“操縦する”感覚に変わりつつあるのかもしれない。
LEXUS RZ450e
Renault Scenic Vision
Audi AI:ME
神保匠吾
1982年福岡県生まれ。オンラインモーターマガジン「DRIVETHRU」ディレクター。学生時代に乗っていたBMW初代3シリーズ(E21)を電動化し、EVライフを実践中。詳しくはhttps://drivethru.jpへ。
文化系男子は電気自動車の夢を見るか?
Text: Shogo Jimbo