カーボンニュートラルな環境意識の高まりとともに続々と誕生しているEV。もはや次にクルマを買うならEVしかない? 今回は京都発のEVベンチャー「GLM」について。
Vol.16
京都のEVエンジニアが 未来を変える!
GLM
そんな中、日本でいち早くEVの可能性を見いだした企業が京都にあります。今から10年以上も前にEVのベンチャーとして産声を上げた「GLM」は、HVで日本が世界を席巻していた頃にEVのスポーツカーを開発。しかも量産して発売した実績をもつ類いまれな存在です。国内の大手自動車メーカー出身の志の高いエンジニアが集結したからこそなし得たといえるでしょう。
初代プラットフォームを 基に造った初の量産モデル
GLM初のEVは、伝説の国産スポーツカー「トミーカイラ ZZ」。ベンチャーの規模でゼロから開発。量産に成功し話題をさらった。軽量な車体と相まって、抜群の加速性能を味わえる。※現在は生産終了
そんな勇気と努力の甲斐あり、その後も社会から重宝され、今や国内外の多くの企業のEV開発に携わっています。エンジニアの皆さんが囲んでいるEVプラットフォーム(上写真)は、第一世代として、これまで数々の試験車両やコンセプトカーのベースになってきたもの(現在、第二世代を開発中)。多岐にわたる開発の最新例の中には、EVの車両そのものの開発だけではなく、電動化時代を見据えた自動運転に関する技術開発まであります。
自動運転は、電動化と並んで最重要な課題のひとつ。驚異的な加速性能をもつEVが普及する時代を見据えると、いっそう制御技術の進化が求められます。運転が上手な人ほどブレーキのタッチやハンドル操作がソフトでしなやかであるように、自動運転となれば、そういった細やかな動作をクルマが自動で行う必要が出てきます。そこでGLMは、自動運転のアルゴリズムを開発する企業に向けて、遠隔でラジコンのように操縦できる試験車両を開発。車両の挙動や運動性能を計測し、自動運転がぎこちなくならないよう、人間の感覚に沿った細やかなチューニングを可能にしています。実際にテスト走行を見せてもらいましたが、無人のスポーツカーが、車庫入れから急発進、ドリフトといった豪快な走りまでを実現する姿を目の当たりにし、とても驚かされました。
このほかにも数々の開発が進行中。彼らがこれからも日本の電気自動車の未来を牽引してくれることを切に願っています。
神保匠吾
1982年福岡県生まれ。オンラインモーターマガジン「DRIVETHRU」ディレクター。学生時代に乗っていたBMW初代3シリーズ(E21)を電動化し、EVライフを実践中。詳しくはhttps://drivethru.jpへ。
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Text: Shogo Jimbo