カーボンニュートラルな環境意識の高まりとともに続々と誕生しているEV。もはや次にクルマを買うならEVしかない? 今回はテスラに対抗する欧州&国産EVについて。
Vol.15
電動SUVのテスラの “対抗”やいかに?
現在、世の中にあるEVは、大きく二つに分けられる。一つは、スマホがクルマになったようなもの。そしてもう一つは、従来の操作感のまま親しめるタイプ。テスラはまさに前者のスマホのようなEVの代表格だが、続々と欧州や国産勢も市場投入を開始して、後者のバラエティも豊かになってきた。というわけで、気になるEVを可能な限り乗ってきたのでご紹介しましょう。
今やトレンドというよりスタンダードになりつつあるSUV。11月に上陸したフォルクスワーゲンのEV専用モデル〈ID.4〉は、ピープルズカーとして親しみやすさを売りにしているだけに、老若男女乗りこなせる扱いやすい仕様が特徴。同じくデビューしたてのアウディ〈Q4 e-tron〉は、ID.4とプラットフォームを共有しつつも、プレミアムブランドらしい質感と走りをうまく表現していた。メルセデス・ベンツの〈EQB〉は、ガソリン車の〈GLB〉がベース。コンパクトSUVながら7人乗りという利便性を誇る。
そんなドイツ勢で異彩を放っているのがBMWの〈iX〉。いち早くEVの量産化を始めたブランドだけに異次元な要素が光っていた。そういえば、世界で初めてEVを量産したのは日産。SUVの〈アリア〉はデザインや乗り味も申し分なく、軽自動車の〈サクラ〉も、軽とは思えない走りっぷりでEVの可能性をますます感じる。
どの車種も気づけば外観よりインテリアに興味が湧いてしまうのは、EVになると居住性を重視したくなるからでしょうか? 続々と多くのモデルが出てEVがますます現実味を帯びてきましたよ!
Volkswagen ID.4
ベーシックな性格に ワーゲンらしさが詰まってる
フォルクスワーゲンが世界戦略に向けたEVの主力モデルとして打ち出したID.4。全体的なデザインや走り、操作性のスマートさは親しみやすく、フツーにすぐ乗れる。またアクセルペダルは「再生」、ブレーキは「一時停止」などメディアプレイヤーを模したデザインもワーゲンらしい。ビートルやゴルフといった偉大なる先輩を超える存在になり得るか!?
Audi Q4 e-tron
アウディの変革を体感するなら最新のe-tron!
気がつけば、アウディのEVライン「e-tron(イートロン)」のラインナップはスポーツサルーンからSUVまで、3車種にわたって展開されている。今回は上陸したばかりのQ4 e-tronを試乗。程よい加速力と、近未来的な楕円形のステアリングから伝わる滑らかな操舵感が心地よい。スポーツバックのデザインもアウディらしさがあり、「2026年には全モデルをEV化する」と高らかに宣言。今後が楽しみだ。
Mercedes Benz EQB
威風堂々。いざとなれば7人も乗れます!
メルセデス・ベンツの歴史は自動車の歴史。世界のEVシフトに負けず劣らず、電気自動車のEQシリーズのラインナップも拡充傾向に。2022年夏に登場したEQBはコンパクトSUVだけど、ラゲッジルームのフロアを折りたたむとサードシートが出現して7人乗りに早変わり! さすがに長距離移動には窮屈かもしれないけど、家庭的な小型ミニバンにしっくりこない人に特におすすめできる一台。
BMW iX
攻めた見た目とは裏腹に、 上質な空間と走りに癒やされる
エンジンがないのにあまりに巨大なキドニーグリルに、正直敬遠気味だったBMW iX。でもいざ乗ってみると、重たい車体を軽やかに走らせるスムーズな加速や、インテリアの高級感たるや異次元。いち早くブランドを挙げてEV戦略に乗り出しただけあって、ナビゲーションの3Dグラフィックや走行音のサウンドエフェクトに至るまで隙がない。もうひと回り小ぶりなSUVがあったら、いいんじゃないか?
NISSAN ARIYA & SAKURA
世界水準の国産EVに乗るなら、日産に決まり!
EVに出遅れ気味の日本車勢だが、「技術の日産」は違う。世界初の量産車はリーフだし、満を持して発売を開始したSUVのアリアは、世界レベルに達しているといっていいでしょう。試しにEVの軽自動車、サクラにも試乗したところ、コンパクトながら欧州車に引けを取らないクオリティで驚き。軽のサイズを裏切る安定した走りとキレのある加速。そして何よりインテリアの質感が高い!
神保匠吾
1982年福岡県生まれ。オンラインモーターマガジン「DRIVETHRU」ディレクター。学生時代に乗っていたBMW初代3シリーズ(E21)を電動化し、EVライフを実践中。詳しくはhttps://drivethru.jpへ。
文化系男子は電気自動車の夢を見るか?
Text: Shogo Jimbo