カーボンニュートラルな環境意識の高まりとともに続々と誕生しているEV。もはや次にクルマを買うならEVしかない? 新世代のクルマ選びの新連載が始まります!
今回より始まったEV連載。EVに興味がなくとも、最近よく耳にするテスラは気になるはず。スマホ買うならiPhoneといった具合に、EV買うならテスラ、なのだろうか? 間違ってはないが、それだけじゃ面白くない。そうとなれば、EVについてもっと知りたくなってきた。せっかくなので、初回はすぐに買える車種というより近未来のモビリティ像を見ていきたい。まずは日本で起きている最新の話として、京セラの「Moeye(モアイ)」を紹介しよう。
Moeyeの外観は特徴的な面構成で処理されており、どことなく宇宙船のようにも見える。
そもそも京セラって自動車メーカーだっけ? と首をかしげてしまうかもしれないが、異業種だからこそ、斬新なアイデアを投入できるのがEVの魅力。一見、Moeyeはクラシックカーのようだけど、コクピットをよく見ると、ステアリングさえ排したダッシュボードのミニマムさに驚く。Moeyeは自動運転を想定した、移動空間をより魅力的なものにするために生まれたコンセプトカー。「光学迷彩技術」と呼ばれる最新技術により、フロントウインドウの景色が拡張され、透明化したダッシュボードには、リアルバーチャルな移動空間が映し出される。ちなみに、Moeyeはこうした技術をクルマに転用できる例として造られた試作品のため、市販の予定はない。
自動運転を想定した全面ディスプレイのダッシュボードには、東京大学の稲見昌彦教授との協働による光学迷彩技術を採用。左右のヘッドライトやドアミラー、フロントに搭載された6つの小型カメラで外の景色を撮影し、前方に映し出す。ヘッドライトには京都オパールが使われており、点灯時にMoeyeの文字がヘッドライト内に浮かび上がる演出も。
デザインを担当したのは、30代の若きカーデザイナー、石丸竜平さん。過去から未来に続くオートモーティブな歴史を織り交ぜ大胆にデザインしている。EVの世界では、メーカーやデザイナーの垣根のない開発が着々と始まっている。そんなことを聞くとEVが欲しくなってきたでしょ?
内装には、木漏れ日を表現したLED照明・CERAPHICや、5つの香りを噴出できるアロマ芳香器など、五感を満たすさまざまな技術を多数搭載。センターコンソール上部には、京セラが開発した美しい人工オパールが埋め込まれる。また、コンソールのボタンを押すと、ダッシュボード上の空間にオリジナルキャラクター「モビすけ」が浮かび上がり、ナビゲートなどをしてくれるユニークな機能も備わる。
Moeyeの内外装デザインを手がけた石丸竜平さん。九州大学を卒業後、イタリアにわたり自動車メーカーでデザインを学んだのち、京都のEVベンチャー「GLM」のデザイナーに就任。2018年、30歳の若さで自身のデザイン事務所「Fortmarei(フォートマーレイ)」を立ち上げた。
神保匠吾
1982年福岡県生まれ。オンラインモーターマガジン「DRIVETHRU」ディレクター。学生時代に乗っていたBMW初代3シリーズ(E21)を電動化し、EVライフを実践中。詳しくはhttps://drivethru.jpへ。
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Text:Shogo Jimbo