欧米のライバルに引けを取らない走りとデザイン
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6月25日、中国の電気自動車メーカーBYDは、新型セダン「シール」の国内販売を開始した。国内では昨年から発売中のSUV「ATTO3」、ハッチバックの「ドルフィン」に次ぐ待望の3車種目。BMW 3シリーズやメルセデス・ベンツのCクラスなど、ロングセラーを中心に強豪が揃うDセグメントに分類され、EVではテスラ・モデル3がライバルとなる激戦区だ。シールは「BYDのイメージを牽引するフラッグシップモデル」と謳われ、全世界では累計23万台の売り上げを達成している。
まだ馴染みのない方のために、BYDは1995年にバッテリーメーカーとして創業。携帯電話用バッテリーなどで成功をおさめ、自動車事業は2003年からスタートしている。日本では同年に乗用EVの販売を開始。今後は一年ごとに1車種を導入する予定だ。
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アザラシを意味するシールのデザインは、ATTO3やドルフィンと同様に海洋生物がコンセプト。だが、これまでの2車種よりもさらにエレガントかつ落ち着いた雰囲気に仕上がっており、同セグメントのライバルに引けを取らない。BYDのチーフデザイナーは、アルファロメオやアウディなどでデザイン部長を務めてきたヴォルフガング・エッガー。グローバルカーにふさわしい洗練された容姿を備えている。
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
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EVは何かと航続距離や充電性能が気になるが、シールの一充電走行距離は640kmを誇る。充電時も高い出力をキープするため、短時間でも充電量が多い。これはBYD独自のブレードバッテリーによるもの。内部での熱暴走が極めて起こりにくいメリットがあり、優れた性能と高い安全性、長寿命などを実現する。
筆者は事前に箱根で試乗する機会にも恵まれたが、角の取れた上質な乗り心地と思い通りにラインをトレースするコーナリング性能に驚かされた。またEVはロードノイズや風切り音など外からの音が耳に障るが、シールは遮音性が非常に高く衝撃を受けた。強豪ぞろいのDセグメントの中でも完成度はかなり高い…。
気になる車両価格(税込み)は、通常モデルで2WDが528万円、AWDが605万円。さらにBYDジャパンは導入記念に1000台限定の特別ディスカウントを実施し、2WDが495万円、AWDが572万となる。申請中のCEV補助金が適応された場合、キャンペーン中の2WDなら460万円程度で手に入れることができると考えるとかなりお得だ。
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BYDは現在もディーラーネットワークを拡大中。2024年6月時点で55ある国内拠点を、年末には90まで増やす計画だ。シールのセールスキャッチ「#答えは試乗で」の言葉どおり、7月から随時全国のディーラーやキャラバンで試乗体制を整える。気になる人は実際に乗って、答え合わせをしてみよう。