2022年に発表されながらも、なかなか実車を見ることがかなわなかったEX90が、ついにその全貌を公開。ボルボの新しい時代を象徴するフルエレクトリックカーは、家族のわがままをまるっと引き受けてくれるクルマだった!
VOLVO EX 90
デザインも操作性も音響も、すべてが期待以上
2030年までに、世界販売の90〜100%をBEV(Battery Electric Vehicle)、およびPHEV(Plug-in hybrid)とすると発表したボルボ。EX90はその皮切りとなるモデルであり、新時代のボルボを象徴するクルマだ。発表は2022年の11月だったが、この秋ようやくワールドワイドな試乗会が開催。その真価を確かめることができた。
クルマとしての根本的な性能については多くのメディアですでに語られているので割愛するとして、UOMOとして気になるのは、ライフスタイルとの親和性。性能もデザインもステータスもすべて含めて満足度はいかほどか、という点だ。結論から言うと、申し分なし。ファミリーカーとしてかなり理想に近い完成度と言って間違いない。
まずデザイン。フロントグリルを廃した未来的なデザインだが、ご覧のとおりボルボ特有の北欧らしい上品さは健在。剛健でありながらもやわらかさを兼ね備えていて、主張は強くないのに十分な豊かさを感じさせる美的センスはさすがだ。また、北欧家具を想起させる美しい内装も期待どおり。再生ペットボトルなどから作られた合成皮革の「Nordico」を用いるなどサステナブルであることに積極的に取り組みながら、それでいてリッチさを失わないところも素晴らしい。ボルボのマテリアルデザイナー曰く「そこが最大の課題だった」とのこと。細心の注意を払ってデザインされたのが実際に乗ってみるとよくわかる。
運転面においては軽さに驚かされた。XC90といえばその大きさとともに重さが取り沙汰されるが、これは躯体の大きさからは想像がつかないほど動きが軽快。抵抗を感じさせずに加速して、スイスイ曲がる。車重が2・5トンを超えるクルマとは思えないそのギャップが楽しい。
3列シートの7人乗りで、3列目はフロアに格納可能という設計は今までどおり。もともと十分すぎるほど確保されていたラゲッジスペースはEVになったおかげでさらに拡大。フロントのボンネット下にも収納スペースが追加され、キャンパーでもスノーボーダーでもゴルファーでも、めったなことでは荷物の積載には困らなそうだ。
安全性能が向上しているのは言わずもがな。25個の高品質スピーカーを搭載するBowers & Wilkinsオーディオシステムも感動的だ。こんな至れり尽くせりのクルマ、家族が喜ばないわけがない。
ヨットのデザインからヒントを得たという滑らかなプロポーションが特徴。運転席の14.5インチのセンタースクリーンはGoogleと連携。アプリやサービスがすべて組み込まれている。
豊かなライフスタイルを実現するために
試乗会はLA郊外で開催。山あいのワインディングロードとビーチラインを走行しながら、EX90オーナーのライフスタイルを疑似体験できるような構成となっていた。
運転席には14.5インチのタブレットスタイルのセンターディスプレイに加え、9インチのドライバーズディスプレイも搭載。主要な情報がひと目でわかる。
インテリアにはFSC™認証のウッドパネルを随所に使用。自然の温かみも感じることができる。
高品質なBowers & Wilkinsのオーディオシステムを搭載。運転席のヘッドレストにもスピーカーが搭載されており、運転しながら臨場感あふれる音楽を楽しむことができる。
111kWhの大容量バッテリーと2つの永久磁石式電気モーターを搭載。パワフルかつスムーズな走行を実現。
ボンネット下にもストレージを装備。小物を効率的に収納できる設計になっている。
VOLVO EX90
プレミアムSUVとして位置づけられるXC90の後継として開発されたフルエレクトリックのEX90。バッテリーは30分で10%から80%まで充電可能。フル充電で約600㎞走行することができる。色はSand duneやVapor greyなど8色展開。日本での発売は2025年後半以降を予定。