クルマがあれば、休みの日はどこかへ出かけたくなる。家族で乗ればさながら動く家になるし、時には独り占めするのもいい。みんなで愛情と感謝をもって接すれば、クルマはもっと応えてくれるはず。そして次第に、ファミリーカーは家族にとってかけがえのない存在になる。そんな家族とクルマ10組の週末をのぞいてみた。
Mercedes-Benz G320|大木将太朗さん/インテリア会社経営
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ちょっと昔のGクラスが、自然も都会もちょうどいい
近年、人気が高まるラグジュアリーSUVの筆頭として知られ、都内で見かける機会も多いメルセデス・ベンツGクラス。店舗の内装デザインの会社を経営する大木さんが選んだのは、2000年式のW463型。電子制御の5速ATが搭載される前の前期型最終モデルだ。
「幼少期からミニカーを集めるようになって、10代ではバイクにハマり、普通自動車免許を取得してからはクルマにどっぷりの人生です。22歳で手に入れたBMC時代のミニ、30代で購入した1959年式のオースティン・ヒーレー スプライトを今も大事に所有しています。どちらも小さく古いクルマで、妻も気に入ってくれていますが、家族が増えることになって大きなクルマも必要に。ランドローバー・ディフェンダーと迷いましたが、W124やW126を彷彿とさせる往年のメルセデスらしい内装が決め手となり、一人目の娘が生まれる前日にこのGクラスを購入しました」
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幼少から現在まで、根っからのクルマ好きを魅了するGクラスの真価はどこにあるのか。
「軍用車というオリジンをしっかり踏襲する質実剛健なエクステリア、インテリア、どこを取ってもクルマとしての完成度が高い。またW463は電子制御の介入が少ないため、大きなトラブルもありません。不思議なほどに維持がしやすく、複数台クルマを所有する僕にとって非常にありがたい存在です」
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購入年 :2019年
購入後の走行距離:10万キロで購入し、現在15.6万キロ
お気に入りのポイント:軍用車ベースの質実剛健なルックス。トラブルのないタフさ
カスタムしている箇所:購入店がデモカーとしてサンドベージュに塗装。鉄チンホイールやリアのはしご、シュノーケルなどは自ら改造
ほかの目的での使い方:仕事の荷物搬入、子どもの送迎など
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カンガルーバーやライトガードで、アウトドアな雰囲気に改造。
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マイナーチェンジ前の飾り気のないインテリアは、軍用車をオリジンとするクルマの雰囲気とよく合う。
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ラゲッジスペースに合わせて作ったという棚のおかげで、積載にもムダがない。
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吸気位置を高めるシュノーケルは砂浜でも安心。
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「娘にも人気のオースティン・ヒーレー スプライト。この先も大切にしたい相棒です」。
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都心に住む大木さんファミリーだが、週末になるとクルマを1時間ほど走らせて千葉は南房総へ。海岸で焚き火を楽しんでいる。
「キャンプや釣りも好きだけど、家族が増えてからはなかなか一人の時間をつくれないし、子どもには本格的なアウトドアはまだ早い。だから日帰りでこの海岸に遊びにくるんです。都心には子どもたちが走り回れる場所があまりないけど、ここなら周囲を気にせず遊びながら、自然を感じてもらえる。娘二人と妻が貝殻を集めている間に、僕が焚き火の準備をする。そうやって過ごしています。まあ焚き火は、完全に僕の趣味なんですけど(笑)。都会の喧騒から離れ、家族で火を囲んでいるこの瞬間が、何よりも贅沢なひとときですね」
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クルマで自然を満喫する一方、都内を走るのにもGクラスは思いのほか適している。
「車体が大きいと思われがちですが、W463はナローボディ。全長は4.5mほどあって、全幅はミラーをたためば1.8mに収まる。車高も2mを切っているから、渋谷のそごう西武の立体駐車場にも実は停められます。だから都内のこまごまとした道も安心。仕事の移動で都内を走るのにもちょうどいいんです。また店舗設計という仕事柄、大きな荷物を載せることもありますが、その点は特に問題ありません。仕事、家族との時間の両方で活躍してくれるクルマです」