2024.11.15
最終更新日:2024.11.15

【大人のドライブ旅】マツダのフラッグシップSUV「MAZDA CX-80」で駆け抜けた、徳島、淡路島、神戸

MAZDA CX-80

マツダから満を持して登場した新型クロスオーバーSUV「MAZDA CX-80」。3列シートで人気を集めたCX-8の実質的な後継車種であり、マツダの国内市場におけるフラッグシップモデルとして発売を心待ちにしていた人は多いはず。そのCX-80の公道試乗会があると聞いて、我々は一路、徳島空港へと向かった。徳島から淡路島を縦断して神戸に行き、神戸で泊まった翌日、再び徳島空港へ戻ってくる1泊2日のドライブ旅の始まりだ。

空港の駐車場で対面したCX-80の第一印象はずばり「デカい!」。普段はコンパクトカーに乗っているから、なおのことそう感じるのかもしれないが、それでもやはりデカい。ただ、マツダの担当者いわく、「日本の道路事情や駐車スペースを考慮して、全長は5m以下、全幅は1.9m以下にこだわった」とのこと。なるほど。確かにじっくり落ち着いて眺めてみると、むやみやたらにデカいというより、肉感的という表現が正しいことに気づく。聞けば、基本のプラットフォームは2年ほど前に発売されたCX-60と同じだという。2列シートだったCX-60に比べてロングホイールベースとなり、そのうえエンジン縦置きのFRレイアウトならではのロングノーズのおかげでとてもプロポーションがよく見える。タフなSUVでありながら、美しく堂々とした存在感。ショーファーカーとしても使えそうなルックスだ。

CX-80のパワーユニットは、3.3リッター直列6気筒ディーゼルに加え、同エンジンをベースとしたマイルドハイブリッド、2.5リッターガソリンをベースに電動化したプラグインハイブリッドの3種類が用意されている。初日に試したのは、マイルドハイブリッドモデル(XD-HYBRID Exclusive Sports)。印象的な白のボディカラーは特別塗装色「ロジウムホワイトプレミアムメタリック」だ。

神戸淡路鳴門自動車道

早速乗り込んで、いざ出発。とはいえ、徳島空港から今宵の宿となるオリエンタルホテル神戸までは1時間半もあれば着いてしまう。せっかくのドライブ旅だから、どこかに立ち寄ったりしたい。というわけで、淡路市の「N&N STORE」を目指すこと。ここは、UOMOでもお馴染みの「ニート」の西野大士さんが、生まれ故郷である淡路島にオープンしたショップで、機会があれば行ってみたいと思っていた。

マイルドハイブリッドのパワーユニットは、発進からとてもスムーズで静か。神戸淡路鳴門自動車道に入り、アクセルを踏み込んでいくと、スーッと伸びやかに加速していく。踏んだ分だけ忠実に応答するリニアな加速感が気持ちいい。運転支援機能のマツダ・レーダー・クルーズ・コントロールも試してみたら、これがまたスムーズでラクチン。ロングドライブの強い味方になってくれるだろうなと思った。

MAZDA CX-80 車内

ハンドリングもなめらかで、カーブの多い一般道でもラクに操作でき、思い通りの走行ラインをトレースできた。大きなクルマだけど、クルマとドライバーの一体感が強いというか、意のままにクルマを操っている感覚が味わえる。センターコンソールはさすがフラッグシップモデルというリッチなつくりで、12.3インチのセンターディスプレイは大型で見やすく、視認性はバツグン。メーターディスプレイも同じく12.3インチと大きく、ドライバーごとに視認性を最適化できるドライバー・パーソナライゼーション・システムにも対応しているという。必要な情報がわかりやすく確認できる安心感、それが快適な運転にもつながるので、この種の機能はうれしい。うれしいといえば、フロントシートには熱のこもりを吸い出すベンチレーション機能が備わっていた。夏場は重宝しそう。

MAZDA CX-80 車内 2
MAZDA CX-80 2

程なくして「N&N STORE」に到着。焼杉板の外観が実にしゃれている。天井が高く、大きく取られた開口部が開放的な店内では、西野さんならではの古着のセレクトや、このショップでしか手に入らないオリジナルアイテムが揃う。休日ともなれば名古屋や広島からやって来るお客さんもいるという。淡路島は高速道路が通っているのでアクセスがよく、観光資源も豊富。買い物ついでに遊んで帰るにはもってこいだ。せっかく来たのだから我々も、ドーメル社に別注した淡路島柄の生地を使ったダブルブレストジャケットをチェックし、限定のビーチバッグと古着のシャツをしっかりゲットした。

N&N STORE
N&N STORE 2

お店を出て、淡路島をゆったりドライブ。道すがら、おいしそうな佃煮屋を見かけて立ち寄ることに。仲野水産は漁師さんが手がける佃煮屋で、淡路島の食材を活かした商品づくりを行っている。試食用に出してくれた「鳴門オレンジと茎わかめの佃煮」のなんとまあ、おいしいこと。さらに、淡路島で育った赤玉ねぎを使った「恋するあかたまちゃんドレッシング」も速攻フォーリンラブで購入。そうそう、佃煮は白米のお供はもちろん、お店のインスタに載っていたミックスビーンズのサラダに混ぜて食べるレシピが最高だったことを付け加えておく。

MAZDA CX-80 3

さて、そろそろ神戸へ向かおうか。運転を代わって、ここからは後部座席に座ってみることにした。乗員全員が快適に過ごすことができる使い勝手と居住性の両立を目指したと謳うだけあって、2列目シートはゆったり快適。通常の状態でも膝回りはゆとりがあり、後ろにスライドすれば足を組めちゃうくらい。ガチでショーファーカーとしても使える。両サイドの窓も大きく、パノラマサンルーフのおかげで開放的な視界と明るさも確保されている。これは気持ちいいし、移動がまったく苦にならない。

CX-80 車内 3
CX-80 車内 4

2列目シートを試した後は、3列目シートにも。座ってびっくり、全然窮屈じゃない。ミニバンほどのスペースはさすがにないけれど、シートの形状やクッション性もよく、セカンドシートと同様、ドリンクホルダーやUSB Type-C電源も揃っていて、かなり居心地がいい。クォーターウィンドウは大きく、ビューイングも良好。運転席とストレスなく会話もでき、ぼっち感を味わうこともない。3列目シートとは名ばかりで実際に使うには難ありのケースも多いが、これは言うことなし。大人がしっかり座れる空間になっている。気になるラゲッジスペースは、3列目シート使用時であってもゴルフバッグやスーツケースを搭載可能。格納時であれば家具やサーフボードもラクラク積み込めそうなほど大容量スペースが広がる。

後部座席でリッチな気分で過ごしていたら(気持ちよくていつの間にか寝落ち)、オリエンタルホテル神戸に到着。同ホテルは、東洋一美しい街並みと讃えられた旧居留地に、日本最初のホテルとして開業したことでも知られている。伝統と格式を備えたラグジュアリーホテルのクルマ寄せに停めたCX-80は実に画になっていた。

PHEV Premium Sports
PHEV Premium Sports 2

明けて2日目は、プラグインハイブリッドモデル(PHEV Premium Sports)を試乗。深みのある上質な赤色は「ソウルレッドクリスタルメタリック」という特別塗装色。室内は手触りのよいキルティングを施したスウェード調素材とナッパレザーシートの組み合わせでプレミアム感たっぷり。この日は混雑を避けるために早朝から始動。撮影を兼ねて、洋館の佇まいが残る旧居留地をゆったりクルージングしていく。その姿は本当に優雅で、これまでの国産SUVにはない品と風格がある。

ちなみにフロントグリルを見ると、縦3本の小さなメッキパーツがあることに気づく。これは「グリルインシグニア」と呼ばれる飾りで、フォーマルな装いのときにポケットチーフやブローチをつけるようなイメージで採用したそう。賛否あるみたいだけど、個人的には精悍さが増していいと思う。

PHEV Premium Sports 車内
PHEV Premium Sports 3

旧居留地を皮切りに、神戸ポートタワーや元町など、神戸を代表するエリアをしばしドライブ。前日のマイルドハイブリッドと乗り味に大きな差はないけれど、プラグインハイブリッドのほうが重いぶん、低重心で安定感がある。かといって、重たさを感じる場面はなく、低速からパワフルに走る。ハンドリングも切れ味十分で、コーナーも思い通りに曲がっていく感じ。EV走行可能距離は約60kmだというから、まずまずだろう。

PHEV Premium Sports 4
PHEV Premium Sports 5

ひとしきり市内のドライブを楽しんだあとは、「灘温泉 水道筋店」へ。前に神戸に来たとき、ここの源泉かけ流しの炭酸泉にすっかり魅了されてしまい、今回も楽しみにしていたのだ。しかし、あいにくこの日は定休日。急遽、もうひとつの六甲道店へ向かった。このあたりは入り組んだ路地も多くて道幅もだいぶ狭いが、取り回しは非常にラクで運転に不安を感じることはなかった。コインパーキングでの駐車時も、見えない部分の危険察知をサポートする360°ビュー・モニター(シースルービュー)が大活躍してくれた。天然の炭酸ガスがたっぷりとけこんだ源泉に浸かり、サウナと六甲の地下水を使った水風呂ですっきり気分爽快。贅沢な朝風呂を堪能した。

朝風呂ですっきりしたら、自然とお腹も空いてくる。目指したのは、和田岬にある「味沢」。朝5時30分からやっている立ち食いうどんの名店だ。看板メニューはぼっかけうどん。ぼっかけとは神戸のソウルフードで、牛すじとコンニャクを甘辛く煮込んだもの。ひと口すすって、顔がほころぶ。やわらかめのうどんと甘辛い牛すじがたまらない。早朝出発のため、ホテルの朝食をスルーせざるを得なかったことが心残りだったが、そんな気持ちもどこかに吹き飛んだ。毎朝これでいいかも。

ぼっかけうどん

ぼっかけうどんに大満足して店を出る。時計を見ると、さすがに徳島空港へ向かわないといけない時間だ。明石海峡大橋を走り、淡路島を抜け、大鳴門橋を渡ると、そこはもう徳島。あっという間で物足りない。このまま四国を周遊したいくらいだ。CX-80は本当に気持ちのいいクルマだった。優雅でパワフル。余裕をもって乗ることができるから、ドライブが楽しい。

価格は最上位モデルで700万円を少し超えるほど。この価格帯で、この走りに、この質感のクルマが手に入るなんて驚異的。輸入車だったら1500万クラスといっても言い過ぎじゃない。マジでいいクルマだと思う。マツダ、グッジョブ!

明石海峡大橋

マツダ CX-80

3.3リッター直列6気筒ディーゼルのSKYACTIV D 3.3(XD)、ディーゼルエンジンと48Vマイルドハイブリッドを組み合わせたe-SKYACTIV D 3.3、2.5リッター直列4気筒ガソリンエンジンと大容量バッテリー、さらに大型モーターを組み合わせたe-SKYACTIV PHEV(EV走行可能距離約60km)の3種を用意。価格は394万3500円~712万2500円。

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