東京のファッションを牽引するブランド、ノンネイティブのデザイナー藤井隆行。これまでにランドローバーの複数のモデルを乗り継いできた、クルマ好きとしての一面も持つ。そんな藤井氏は最新の「レンジローバースポーツ」にどんな印象を抱くのか。常に先駆的な感性でプロダクトを生み出し続ける氏の、レンジローバースポーツのキャラクターともリンクする「挑戦のストーリー」を聞いた。
CHALLENGE
普遍性を大切にしながら、新しいデザインを生み出し続けるという挑戦
「僕は流行り廃りのあるものや、過度に目立つものにあまり惹かれることがないんです。それはノンネイティブのデザインにも反映されていて。男性の洋服はアウトドアやミリタリーなど、それぞれ古くからの歴史を持つものが多く、その普遍性を大切にしたいと考えています。ただし、ただ昔のものを継続するだけではなく、普遍性を保ちながらも、そこにどんなディテールを加えたらより便利になるのか、過度に変化はさせずとも今の時代感に自然とマッチするフォルムになるか、こういったアップデートにいかにトライしていくかが課題であり面白さでもある。普遍性と新しさを両立したデザインに挑戦し続けたいです」
「新しいものを発想する時には自分の感性がぶれていない状態であることが大切だと思っていて。自分自身の感覚を“ブレさせないこと”を日々、意識し続けています。信じる軸がしっかりとあれば形にする時に迷いませんから。今日、僕が着ている“undercover”とのコラボレーションの“OSIZM”も自分の素直な感覚から生まれたプロジェクトで、小津安二郎からインスピレーションをうけたもの。日本のジャパニーズモダンの美学と歴史に立ち帰り、自身が本当に着たいと思える服だけを5型作りました。このトップスは”作務衣”がモチーフです。美しいものを目にしたり感じたときに、“ピュアに”それを受け入れることが、新しいクリエイションを生み出す時に大切にしている感覚です」
「デザインを続けるモチベーションは、ただただ服が好きであること。それだけです。自分が進んで行くために地位や成功のビジョンを掲げることはないんです。常に目の前にあることに、精一杯取り組む。振り返ってみると、足元をしっかり作り続けることだけが自分を次のステージへ導いてくれたと感じます」
「とはいえ、普遍的なデザインをアップデートし続ける挑戦は、ビジネスの観点での葛藤はもちろんあります。ブランドが続いていくためには、人々から常に求められる必要があって。だからと言って、分かりやすいトレンドを過度に取り入れることは自分のセオリーに反してしまう。このあたりは本当に、難しいですね。だからこそ“普遍的なデザインを続ける”ことは僕にとっては終わりがありません。デザイン以外での今年の大きな挑戦は旗艦店である『the nonnative shop』をスタートさせたこと。ブランドのテーマとも通じるのですが、無駄のない空間デザインを目指したからこそシンプルな設計にごまかしはきかないもので、床や壁や什器の一つひとつの表情が際立ってくる。さまざまな素材を検討し、丹念に完成させました」
RANGE ROVER SPORT
時代とともに進化しながらも、変わらない軸を持つレンジローバースポーツはいつだって魅力的な一台
「そもそもプロダクトデザイン全般が好きで。服だけではなくあらゆるモノのデザインに注目しています。ランドローバーは四輪駆動車を専門とするイギリスの老舗自動車メーカーですが、長い歴史の中でも型数をむやみに増やさず実直に四駆を作り続けている。これって簡単なことじゃないなと感じます。先ほどのファッションのトレンドの話にも通じますが、自分自身もデザインの仕事では“あえて、やらないこと”の難しさを感じ続けているから、このレンジローバースポーツが歩んできた歴史に共感するんです」
「僕自身、ランドローバーのクルマに4台乗ってきたので、レンジローバースポーツについても初代からの本質を大事にしながら、細部のデザインが進化していく過程を見てきました。今回のモデルは、洗練されたフォルム・重厚感のある内装・四角い形のライトが特徴ですよね。けっして大きな変化ではないかもしれませんが、変わることと保つことのバランスを絶妙に取りながら、アップデートしていく。nonnativeのデザインにおいてもこの挑戦心は重要だと考えています」
「僕自身のライフスタイルにあっている車だとも感じています。葉山と東京を行き来する暮らしをしていて、インスピレーションを得るために旅にもよく行く。荷物が大量に入りますし、自然にも都会にも似合うデザインが素晴らしい。例えば山を走って泥だらけになって帰ってきたとして、そのまま都内を走っていたってカッコいい。ルーツを守りながらアップデートするという挑戦を繰り返してきたデザインだからでしょう。今回も実際に乗って、触れてみて、その魅力を改めて実感しました」
めまぐるしく変化していく世の中で、静寂を保ちながらも確実にブラッシュアップしていくことは、プロダクトに誇りを持って向き合っていることの証明でもある。レンジローバースポーツと藤井隆行はこれからも「静かに熱い」挑戦を続けていく。
RANGE ROVER SPORT
『レンジローバー』の中で、スポーティーな走りが意識された高性能なプレミアムSUV。ラグジュアリーさとパワフルな走破性を併せ持つレンジローバースポーツはオンロードでもオフロードでもその魅力を発揮する。
レンジローバースポーツ オートバイオグラフィーP400
[SPEC]全長×全幅×全高:4946×2209×1820㎜ / エンジン:3.0リッター6気筒 ターボチャージャー付きガソリンMHEV(AT)AWD / 最高出力:400PS / 最大トルク:550Nm / 価格:1574万円~
藤井隆行
1976年奈良県生まれ。2001年にデザイナーとしてノンネイティブに参加し、20年以上にわたり同ブランドのデザインを続ける。今年の夏には中目黒に初の旗艦店『the nonnative shop』をオープンさせ、今季は『UNDERCOVER』とコラボレーションしたコレクション“OZISM”も話題。仕事場のある東京と自宅のある葉山を行き来する生活には、クルマが欠かせない。
お問い合わせ先
ランドローバーコール
TEL:0120-18-5568(土曜日・日曜日を除く 9:00~18:00)
Hair&Make:Eisuke Komori[Stand]
Pphotos:Teppei Hoshida
Text:Takako Nagai[CATALDESIGN]