Mercedes-Benz G 580 with EQ Technology
その車、四駆につき
渋谷、青山、六本木など、東京の街で見かけない日はないほど、当たり前に走ってる通称“ゲレンデ”こと、メルセデス・ベンツ Gクラス。ファッションアイコンとしても確固たる地位を築いていますが、Gクラスほど誕生以来、キープコンセプトを貫き通したクルマは、世界広しといえどもないでしょう。メルセデスの現在のラインナップを見ても、こんなに角ばったシルエットは皆無だし、伝統を重んじるほかのブランドでも、ルックスをそのままに進化した車種はほとんどない。世界中に根強いファンがいて、その期待に応えるかたちで今に受け継がれてきた証しといえます。
そんなGクラスにも、ついにEVが登場。注目すべきは、カーボンニュートラルな時代に適応したというより、4×4としての性能を格段にアップデートしている点。580馬力を誇る驚異的パワーは、AMGのハイパフォーマンスモデルがかすんで見えるほど。そしてオフロードの走行性能が大幅に進化しています。四輪の独立したモーターを巧みに制御し、岩場や急な斜度の悪路走破性が一段と向上しているほか、ボタンを押してパドルシフトを引くと、ステアリングを切らずにその場で最大2回転する必殺技「Gターン」ができる異次元の領域に。これで、狭い山道で行き止まりになっても、ボタン一つで方向転換できます。
ご覧のように水を天敵としていたエンジン車に対して、EVなら水深85㎝まで豪快に走破できてしまう。万が一の非常時にも耐え得るタフさに、より磨きがかかった電動のGクラス。これなら、どんな状況に置かれてもクールに生き延びられますね。やはりゲレンデは不滅です。
すり鉢状の急斜面をゆっくりと進む電動のGクラス。リアのタイヤケースは四角くなり、中には充電コードが備わる。リアガラスとボディカラーの色に合わせて塗り分けられているのも特徴。
ステアリングを切らずにその場で回れるGターン。四輪を個別にモーター制御できるEVならではといえる機能だ(公道では使用不可)。
マットで鮮やかなブルーも選べる。ブラックの20インチホイールは、導入記念特別仕様モデル「Edition 1」専用となる。
オンラインモーターマガジン「DRIVETHRU」ディレクター。初代BMW3シリーズをEV化し、移動式充電機《Mobile SS》を考案、その普及に奮闘中。詳しくはhttps://drivethru.jp