Mercedes-Maybach EQS 680 SUV


100年の伝統はEVでも健在
極端な話、今はYouTubeを観るか、ChatGPTに尋ねたらどんなクルマなのかある程度はわかるものですが、このメルセデス・マイバッハは、とにかく乗ってみないとわからないことだらけ。
マイバッハは、自動車の祖であるメルセデス・ベンツの最初期のエンジンを設計した天才エンジニア。1930年代には、かの豪華飛行船「ツェッペリン号」の12気筒エンジンを手がけるなど、ラグジュアリーな世界で活躍した存在です。
そんなマイバッハは、現代ではメルセデス・ベンツの最上位にサブブランド「メルセデス・マイバッハ」として君臨。その一つが今回のEV、「EQS 680 SUV」です。特徴的な2トーンカラーは、数年前に故ヴァージル・アブローがデザインソースとして着目するなど、今もハイエンドの最先端にいることは間違いありません。
今回は何の予備知識もなく運転しましたが、かつてのV12気筒エンジンはこうだったのかな…と思わせるような荘厳な乗り味に驚かされました。昨今のEVは、どんなに大きな車体でも重力を感じさせない走りのよさがあるのに対して、EQS 680 SUVは俊敏さだけじゃない。まさに重量級の車体が豪快に走りだし、クルーザーでも操ってるかのような優雅な動きを見せてくれます。コンフォタブルな走りといった表現では収まりきらない優越感を必ず得られるでしょう。
マイバッハが似合うということもそうですが、伝統と革新の両方を楽しめる人が理想なのかも。歴史あるブランドだけでしか体験できないことが、電気自動車にもあります。

ナッパレザーをふんだんに使ったシートは、後席をファーストクラスに変える。

走行モードをマイバッハモードに設定すると、後席の乗り心地を優先した最上級な走りに。

もはやEVにグリルは必要ないが、「マイバッハグリル」はブランドシグネチャーとして不可欠。ボンネットにはスリーポインテッドスターのマスコットも。
オンラインモーターマガジン「DRIVETHRU®」ディレクター。初代BMW3シリーズのEV化や、移動式充電機《モバイル SS》を考案し、オリジナルキャラ・おあしす教授に扮して普及に奮闘中。「2025-2026 日本カー・オブ・ザ・イヤー」選考委員。