カーボンニュートラルな環境意識の高まりとともに続々と誕生しているEV。もはや次にクルマを買うならEVしかない? 今回は、世界最高峰のクラシックカーイベント「モントレー カー ウィーク 2023」で見たデューンバギーの進化について。
Vol.24
モントレーで見たデューンバギーの進化
Meyers Manx Resorter NEV
8月にカリフォルニア州で開催された世界最高峰のクラシックカーイベント「モントレー カー ウィーク 2023」。歴史的稀少価値の高いクルマが勢揃いする会場で注目を集めていた中には、「Meyers Manx」が送り出すクラシカルな形をした最新の電動デューンバギーの姿も。
もとは1960年代アメリカのビーチカルチャーが生んだデューンバギー。’22年に2人乗り仕様の電動モデル「2・0」(写真1)を紹介しましたが、今回は新たに4人乗りの「Resorter NEV」(左ページ写真)がお披露目。NEVとは、“Neighborhood Electric Vehicle”の略で、米法規制のカテゴリーにある近隣用向けEVのこと。砂浜をワイルドに駆ける性格のバギーとはうって変わっておとなしい仕様ですが、とにかく制限速度を時速40キロ以下に定められた乗り物ともなると、どうしてもゴルフカートのように味気なく、楽しさはそがれたものになってしまうのが一般的。でも、それがこの愛らしくしゃれたデューンバギーだったらどうでしょう。
実際に、名門ゴルフコースを併設した高級リゾートホテルの敷地内をオリジナルの4人乗りで移動しましたが、ほんの少しの移動でも楽しい。招かれたゲストの多くは皆、ただリッチというわけではなく独自のスタイルとこだわりをもつ成功者たち。そんな彼らの休日に、新型デューンバギーは洗練された新しいアドベンチャービークルになり得ると実感しました。今の日本では少し次元が違う話にも聞こえますが、いずれ乗れる日が来ることを願うばかりです。
ついに実車を見ることができたメイヤーズ・マンクス初のEVモデル「2.0」との一枚。
デューンバギーの存在を世に轟かせたエピソードの一つに、メキシコ・バハカリフォルニアでの伝説のレースを史上最速で走破したことがある。時を超えて今年のレースでは、EVで参戦して開発テストを実施。
カー ウィークの会期終盤に開かれた「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」の会場そばで行われたアフターパーティでは、新旧のデューンバギーと、ムーブメントを牽引するキーパーソンらが多数来場した。
見た目は’60年代に製造されたオリジナルモデルに忠実ながら、内外装の色使いやマテリアル選びに現代的なセンスが見て取れる。直感的に操作できるスマートダッシュボードや、先進的なLEDライトの使い方を見ても、21世紀にふさわしいモビリティへ進化を遂げていた。
ツインモーターを搭載する「Meyers Manx Resorter NEV」の特徴の一つは、ご覧のようにルーフが脱着可能であること。フロントガラスはジープのようにボンネット側に倒すこともできる。さて、どんなスタイルで乗りこなそう。
神保匠吾
1982年福岡県生まれ。オンラインモーターマガジン「DRIVETHRU」ディレクター。学生時代に乗っていたBMW初代3シリーズ(E21)を電動化し、EVライフを実践中。詳しくはhttps://drivethru.jpへ。
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Text:Shogo Jimbo