カーボンニュートラルな環境意識の高まりとともに続々と誕生しているEV。もはや次にクルマを買うならEVしかない? 今回は、カーセンサーの統括編集長である西村泰宏さんに、EVの中古車市場について尋ねてみました。
Vol.22
中古のEVは買いどきか
未来的なコンセプトカーや、発売されて間もない最新のモデルとはうって変わって、今回はリアルに気になる中古のEVに焦点を当てます。果たして現在、中古のEVに手を出してよいものでしょうか? 中古車リサーチですぐに思いつくのは「カーセンサー」。同媒体の統括編集長である西村泰宏さんに、EVの中古車市場について尋ねてみました。
「現在、日本国内のEVの中古車市場は、全体のわずか1%ほど。ここ数年、その数はわずかに増えてはいるものの、ほぼ横ばい状態なんです」(西村さん)
確かに国内でEVが十分に普及しているとはいえない状況なので納得はできる。でもだからこそ、誰よりも先に中古でEVライフを手軽に味わいたい人もいるのでは?ということで、中古のEVを扱うショップやテスラジャパンに尋ねた結果をリポートします。
そもそも中古のEVは高額なバッテリーの劣化など内燃機車よりも心配が多い。よって買うときは、その車種の弱点を熟知していて、整備や改善のノウハウが蓄積されているお店か、メーカーの認定中古車のように検品を徹底し、十全な保証をつけてくれるところがマスト。中古車には宝探し的な巡り合わせもあって、自分に合う出物が見つかれば飛び込む価値アリ。結局買いどきかどうかは自分次第かもしれません。
EVカスタムの草分け、オズモーターズの認定中古車なら安心
Aテスラ モデルS 75D
2017年式 4.3万㎞
420万円(オプション多数)
B日産 リーフG(寒冷地仕様)
2012年式 3.9万㎞
38.5万円
C三菱 アイ・ミーブ M 10.5kWh
2014年式 8.5万㎞
69.0万円(急速充電付き)
ガソリン車をEVにカスタムする“コンバートEV”を専門とする「オズモーターズ」。日頃から中古EVのバッテリーを使ってオーダーメイドの車両をつくることもあって、市場に出回る中古のEVについても当然熟知している。入門向けといえるオズの認定中古EVは、主にバッテリーの状態を診断して比較的リーズナブルな価格で販売。加えて、例えば初代日産リーフならバッテリーのアップグレードもでき、新車時を上回るパフォーマンスを引き出すことだって可能だ。
テスラの認定中古は高水準
オンラインオーダーを徹底するテスラにもメーカー直売の認定中古車が存在する。ウェブ上の在庫車がすべてレンダリング画像(CG)なのが気になるものの、200項目に及ぶ厳しい検査基準を満たした個体しか扱わず、外装も機関も実車を見ずに安心して買えるレベルに達しているとのこと。どうしても見たい場合はテスラ主催のイベントで現車確認も可能。低走行のモデル3で370万〜380万円から。テスラは想像以上に認定中古車に本気だ。
群馬のコスモオートは国産中古EVの老舗
日産リーフや三菱アイ・ミーブなどの国産EVを得意とする群馬県高崎市の「コスモオート」は、EVシフトが話題になる前の2012年から専門店としてスタート。要となるバッテリーの状態を表す“SOH”をすべて計測し、通常はブラックボックスとされる情報を開示して販売している。「バッテリーの劣化を抑えながら維持するコツなどをお客様に伝授し、普及活動にも力を入れています」(代表・桒原さん)。
カーセンサーでの実績はまだこれから
カーセンサーでEVを調べると思いのほかヒットするものの、どちらかといえば高年式な輸入車のハイエンドモデルの掲載が多く、コスパを考えると選択肢に挙がってこないのかもしれない。型落ちの輸入車EVの中にはわりと手頃なものもあってつい惹かれるが、走行距離や中身の状態などの見極めが肝心。今後、日産サクラのような大衆的なEVの流通が増えれば、状況は変わってくるのか?
神保匠吾
1982年福岡県生まれ。オンラインモーターマガジン「DRIVETHRU」ディレクター。学生時代に乗っていたBMW初代3シリーズ(E21)を電動化し、EVライフを実践中。詳しくはhttps://drivethru.jpへ。
文化系男子は電気自動車の夢を見るか?