2023.05.04
最終更新日:2024.03.08

BYD ATTO 3|テスラキラーは中国からの刺客だった【文化系男子は電気自動車の夢を見るか?Vol.17】

カーボンニュートラルな環境意識の高まりとともに続々と誕生しているEV。もはや次にクルマを買うならEVしかない? 今回は、中国の巨大EVメーカー「BYD(ビーワイディー)」について。

BYD ATTO 3|テスラキラーは中国の画像_1

Vol.17

テスラキラーは、中国からの刺客だった

BYD ATTO 3

BYD ATTO 3_中国_EVブランド_01
カーデザインの観点上、エクステリアに注目しがちだが、BYD ATTO 3のキャラを特徴づけているのは、むしろインテリアのほう。フィットネスジムに着想を得ている点からしてユニークで、例えば内張りやダッシュボードの造形は鍛え抜かれた筋肉を思わせる。最新のEVでありながら、物理スイッチもバランスよく配置されていて、質感も悪くない。中央に据えられた12.8インチのタッチスクリーンは、ボタン一つでタテからヨコへと90度回転! ドライバーがナビを見るときはタテ、同乗者が動画を見るときはヨコにできるなど使い勝手がいい。ATTO 3にはオプションの概念がなく、全装備が盛り込まれたワングレードのみの設定で、価格は440万円。潔く好印象だが、さらに補助金を受けると300万円台で買える! ちなみにBYDとは“Build Your Dreams”の略。

 中国の巨大EVメーカー「BYD(ビーワイディー)」が日本に上陸。まだまだ耳馴染みはないと思いますが、今やBYDは世界の電気自動車市場のトップシェアを誇り、世界一のEVブランドへと成長中。


 え、テスラじゃなかったの!?と思う方もいるかもしれませんが実は中国の巨大なマーケットをつかんでいることもあって販売台数はテスラ超え。テスラがiPhoneとしたらBYDはアンドロイドといったところでしょうか。


 そんなBYDのEVの利点は、同社の始まりがバッテリーメーカーだったということ。ガソリン車の世界では高性能なエンジンを開発できるメーカーが時代を率いてきましたが、EVでは優れたバッテリーを開発できるメーカーが覇権争いを制します。


 今回、日本に最初に投入されたのは「ATTO 3」という、今まさに売れ筋であるミッドサイズのSUV。早速乗ってみたが、中国車だからといって安っぽさは微塵も感じられないし、他車のデザインを模倣しているわけでもない。元アウディのチーフデザイナーが腕を振るっていることもあって、BYD独自のフィロソフィで仕上げられた印象が強い。気になる価格は補助金を使って300万円台。試乗すればより実感できますが、大いにアリな一台です。


 とはいえ中国車という選択肢がなかった日本人には、疑問が残る人も多いはず。そのため、BYDは2025年までに全国に100のディーラーをつくり、オンラインではなく対面のセールスを重視するという。日本車勢よ、このままで大丈夫か…!


※マークラインズ(株)調べ


BYD ATTO 3_中国_EVブランド_03
BYD ATTO 3_中国_EVブランド_02
BYD ATTO 3_中国_EVブランド_04
BYD ATTO 3_中国_EVブランド_09
BYD ATTO 3_中国_EVブランド_06
BYD ATTO 3_中国_EVブランド_05
BYD ATTO 3_中国_EVブランド_07
BYD ATTO 3_中国_EVブランド_08

神保匠吾
1982年福岡県生まれ。オンラインモーターマガジン「DRIVETHRU」ディレクター。学生時代に乗っていたBMW初代3シリーズ(E21)を電動化し、EVライフを実践中。詳しくはhttps://drivethru.jpへ。



Illustration: Tabito Sugiyama
Text: Shogo Jimbo

RECOMMENDED