カーボンニュートラルな環境意識の高まりとともに続々と誕生しているEV。もはや次にクルマを買うならEVしかない?
Vol.7
EVに乗り換えることで見えてきたリアル
ブルーボトルコーヒージャパンのブランドキュレーターを務める傍ら、吉祥寺のセレクトショップ「BONDO」のオーナーでもある村上さん。テスラに乗り換えてから、フロントのラゲッジスペースの使い勝手のよさを実感。「自宅ではバックで駐車するので、フロントに荷物が積めると便利なんです」。毎朝、夫婦で通っているヨガのマットがぴったり入る。
CASE 1
村上雄一さん / 所有歴3カ月
TESLA Model3 Long Range
テスラは伝統をつくり得る、歴史的な乗り物だと思うんです
近未来のEVの話も心躍るけど、同時に実生活で乗っている人の体験談も気になる。そこで今回は、EVを購入したオーナーをご紹介。
昨年末にテスラ・モデル3を購入した村上雄一さんは、10年以上乗ってきたBMW3シリーズから同じドイツ車への乗り換えを考えていた矢先、気になってモデル3を試乗したところiPhoneを初めて手にしたときと似た衝撃が走って、なんとその日のうちにオンライン注文。
「もともとBMWをはじめ、エルメスやジャガー・ルクルトなど伝統あるブランドが好きで。テスラは歴史が浅いですが、EVの歴史の始まりになり得ると思えて心惹かれました。スイッチ類を徹底的に排したミニマルな内装や、十分な航続距離にも感動。EVが食わず嫌いだったことを痛感しましたね」
国産ヴィンテージカーも並ぶ加藤家のガレージには、ニチコンの「V2Hシステム機器EVパワー・ステーション®」が。ソーラーパネルと電気代が安価な深夜電力を使って、ホンダeを充電している。クルマから家に電気を取り出せる容量はバッテリーの20%までに設定しているので、電欠になって走れなくなる心配もない。
CASE 2
加藤奈々絵さん、盛一さん / 所有歴8カ月
HONDA Honda e
クルマの電力を家庭でも活用することで、ますます愛着が湧きます
一方で、国産車メーカーならではといえるEVの特性を使いこなしているケースも。
ホンダeに乗る加藤さん夫妻は、着物教室を主宰する奥様が、通勤や子どもの送迎に愛用し、なんと「V2H(Vehicle to Home)」を実践している。V2Hとは、EVの電力を家庭電力として有効活用する仕組み。加藤さん宅では、ソーラーパネルと深夜電力を使ってクルマを充電しているが、そのバッテリーに蓄えられた電力を取り出して家電製品を稼働させている。この循環型発電を使うと、電気代が安価ですむほか、万が一の停電時も安心。ちなみにV2Hができるのは、災害が多い日本のEVならではであり、何よりサステイナブル。
近未来のライフスタイルを味わえるとすると、「次に買うならEV!」とますます思えるのではないでしょうか。
神保匠吾
1982年福岡県生まれ。オンラインモーターマガジン「DRIVETHRU」ディレクター。学生時代に乗っていたBMW初代3シリーズ(E21)を電動化し、EVライフを実践中。詳しくはhttps://drivethru.jpへ。
文化系男子は電気自動車の夢を見るか?
Text:Shogo Jimbo