2024.02.23
最終更新日:2024.03.08

そろそろ本気で買い替え? お父さんのためのEV入門

ここ数年で数多くの電気自動車が登場し、日本の市場もにぎわい、「次の一台」としての選択も現実味を帯びてきた。EVのこと、実は何も知らないというあなたへ。まずは入り口からどうぞ。

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充電設備などのインフラは整っているのか?

教えてくれたのは

寄本好則さん

EVsmartブログ 編集長

「週刊SPA!」などで活動してきたライター&編集者。編集プロを主宰しつつ、2018年から現職を務め日々EV情報を発信中。


―そもそもEVの充電はどんな仕組みになっているんですか?

寄本 充電には「基礎充電」と「急速充電」があり、出力と料金が異なります。マンション含め、自宅での充電は200Vを用いた基礎充電が基本ですが、家庭用電源ゆえ時間あたりの充電量は少なく、速度が遅い。ディーラーや自治体の急速充電器では速くたくさん充電できますが、割高になります。

―充電設備のない住宅に住んでいても日常使いはできますか?

寄本 はい、そうした人も増えています。2025年には都内の新築マンションに充電設備の設置が義務づけられ、設置数と運用方法は場所によりますが、電気代を負担する仕組みさえ決まれば、民間事業者を介さずに電気代だけで使えるようになる可能性もあります。

―なるほど。家の200Vで一晩つなぐと満充電にはなるんですか?

寄本 200Vだと1時間で3kWh充電できるため、70kWhのバッテリーを積むSUVなら、12時間充電して半分ほどです。近年増えている60kWh以上のバッテリー車は、日常使いの範疇では出先で充電を考えなくてもよい容量と言えます。例えばヒョンデのIONIQ5は72・6kWhで500㎞以上走れる。仮に半分でも250㎞走れると思えば、そんなに心配はないでしょう。

―よく公共の充電設備が不足していると聞きますが、どうなのでしょう。

寄本 充電スポット数は、EV普及台数に対して少ないことはありません。ただし地域差が大きいのが課題。高速道路でも、例えば東北道は設置数が少なく、充電待ちに遭うリスクが高いなど。

―住む地域によっては不便ですね。旅先でも注意が必要です。

寄本 充電スポット探しには「EV充電エネチェンジ」「GoGoEV」などのアプリが使われています。高速道路は「高速充電なび」というアプリで満空情報がリアルタイムでわかります。また2025年までに、充電設備会社のeモビリティパワーが、全国の高速にある充電設備数を500強から1100に増やすことを明示しており、粛々と拡充が進んでいます。

―そうなれば順番待ちも減りますね。

EV充電エネチェンジ
GoGoEV

寄本 またETCを活用して高速を無料で一回退出して充電できるサービスが検討されていて、IC付近のSSなどへの設置にも期待です。

―2025年を境に環境が改善するなら、安心してEVを選べそうですね。


購入時、補助金は最大どのくらいでる?

補助金の表

 国のCEV補助金制度で、3ナンバーのEVへの上限額は65万円。さらに外部給電(V2X)機能の有無などの条件付きで最大85万円となっています。軽自動車も同様に上限額が定められています。2024年度以降は、各社ディーラーの充電器設置状況やリサイクルへの取り組み、販売実績などの評価項目が加わり補助金額算定基準が見直されることになっています。2035年に新車販売の100%EV化の目標を掲げる日本では、当面EVへの補助金が続くと見込まれます。


今後注目のEVは?

BYD Seagull

BYD Seagull

RENAULT 5

RENAULT 5

Honda N-VAN e:

Honda N-VAN e:

 コンパクトカーです。低価格な車種登場がEV普及の起爆剤になります。例えばBYDの「シーガル」は30kWh以上で中国では200万円を切る売れ筋。ルノーのEV会社アンペアからは、往年の「ルノー サンク」などがEVで復活すると目されており、これらが日本に上陸すれば影響力大です。国内では、ホンダが30kWhの商用車「N-VAN e:」を発表しましたが、その流れで乗用の「N-BOX」のEV化も期待できる。テスラもコンパクトカーを用意しているし、各社とも向こう2~3年の動きが見逃せません。


EVに乗り換えてみて、どんな変化がありましたか?

EV購入直後に本誌連載に登場いただいた二人に、あらためてその後のカーライフの変化を聞いた。

1山㟢晴太郎さん

アートディレクター

Porsche Taycan

■妻、息子3人(12歳、8歳、3歳)
■所有歴2年

長距離も物怖じせず、ガンガン乗っています。

Porsche Taycan
Porsche Taycan 2
Porsche Taycan 3

 1年以上前にポルシェ タイカンを購入した山㟢さん。5人家族ゆえ大きなクルマが必須で、メルセデスのGクラスとタイカンを併用している。が…。
「タイカンが来て一年がたち、最近はすっかりGに乗っていません。遠出もタイカンで、が当たり前になりましたし、すっかりわが家ではファミリーカーとして定着しています。子どもたちは充電のときに『僕がやる、僕がやる』と取り合いになるほど。ほかにもクルマに戻る前にクーラーやヒーターをONにしておけたり、ボンネットにも荷物が結構入ったりと便利ですね。スキー場など、EVにとってハードな環境へは乗っていけないですが、間違いなく充実しています!」


2村上雄一さん

ブルーボトルコーヒー ブランドキュレーター

Tesla Model 3 Long Range

■妻、娘2人(23歳、21歳)
■所有歴2年

テスラの機能を使いこなす生活が当たり前になりました。

Tesla Model 3 Long Range
Tesla Model 3 Long Range 2
Tesla Model 3 Long Range 3

 今でこそ街中で見ることが増えたテスラ モデル3だが、村上さんが購入した2年前はまだ珍しく、「初めてiPhoneを触ったときのような衝撃だった」と回想する。その後、日々の生活で使うなかで見えてきたことは?
「最近は夫婦で犬を連れて会員制の別荘へ行くことが増えました。オートパイロットが優秀なので、高速の移動中は疲れ知らず。また犬を置いて離れる際には、空調などをコントロールできる『ドッグモード』があるのでとても安心です。
 スーパーチャージャー(独自の充電規格)が年々値上がりしているのが懸念ですが、それ以外は大きな心配もなくテスラのある生活はかなり充実しています」


話題のラインナップが丸わかり!これでもまだEVの選択肢は少ないですか?

「EVは高い」「ラインナップが少ない」といったイメージは本当か? 近い将来、海外発売や国内展開が期待される車種も含め、26台のBEVをプロット。中でも注目の8台を、本誌EV連載でもお馴染み、DRIVETHRUの神保匠吾さんが独自の目線で語る!

教えてくれたのは

神保匠吾さん

1982年福岡県生まれ。オンラインモーターマガジン「DRIVETHRU」ディレクター。学生時代に乗っていたBMW初代3シリーズ(E21)を電動化し、EVライフを実践中。詳しくはhttps://drivethru.jpへ。


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話題のラインナップ
※1加速力や操作系、ブランドのあり方などが従来のクルマとどれほど異なるかがポイント。 ただし、必ずしも指標が高ければいいということではない※2発売前(予価)、海外展開のみの車種は、2023年12月上旬のドル、ユーロレートで換算

1先月、アメリカ出張でモデル3を借りて2000kmを走破しました。電欠になることもなく、オートパイロットで疲れ知らずなロードトリップができて、本来は広いアメリカの道を走るためのクルマなのだと再認識しました。やはりテスラは総じて、クルマというよりまったく新しいモビリティです。

29月にドイツで発表されたMINIの新型EV。欧州では現行ベースのEVが出ていますが、こちらは完全な新型。BMWグループですから、既存メーカーの中でも電動化の知見は十分にあるはず。原宿で展示されたMINI Concept Acemanもかわいかったし、楽しみです。

3ハイテク感はないけれど、モダンで扱いやすい。復刻系のデザインゆえ大きく変えられないのがネックですが、時代に適応させて残していく姿勢は賛同できます。コンパクトSUVの600eも出るらしく、売れそうな予感。

4秋に訪れたアメリカの西海岸では頻繁に見かけました。テールランプとファストバックスタイルに「あれ?」と思ったら、やはりマスタング。V8やマッスルな2ドアにとらわれずに、再び市民権を得たところがさすが。日本にもフォードが戻ってきてくれたら…。

5あり得ないほどウェッジシェイプで、しかもピックアップで巨大…と一見めちゃくちゃですが、サイバートラックはアメリカのヘビーデューティなトラックカルチャーに根ざしていて、既成概念を覆そうとしています。ステンレスを使ったスペースXのボディ技術を用いて、タフな精神を現代的に伝えようとしています。

6アマゾンが出資しているリビアンもまた、アメリカのトラックカルチャーを変えようとしている立役者。ピックアップのR1Tは2019年にデビューし、EVらしい高い収納力も話題に。現地では目にすることも多く、トレーラーを牽引している姿がとにかくクールでした。

7テスラ モデルSの開発者の一人が立ち上げたルーシッド エアーも気になる存在。北米で実物を見せてもらいましたが、シンプル一徹なテスラに対し、モダンラグジュアリーな車内空間に驚きました。

8ワーゲンバスを現代に甦らせたフォルクスワーゲンの意欲作。国内で一度展示車両を見ていますが、ID.4のように、動力源が電気に替わっても、自動車らしさをきちんと残した操作性とフィールがID.バズにもあるのではないかと、今から楽しみです。



Photos:Mie Nishigori

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