ハッチバックと聞いて懐かしく思う人も多いはず。ヨーロッパを代表するフランスのプジョーのベストセラー、308のPHEV(プラグインハイブリッド)と、美しき国産車マツダ3のトラッドな1.5ℓガソリンのコンパクトファミリーカー対決。判定やいかに!?
ー 試乗したのは ー
1Mazda
Mazda3 FASTBACK
2Peugeot
308 GT HYBRID
世界を驚かせた曲線美をもつ和製ハッチバック
MazdaMazda3 FASTBACK
2019年国内発売のマツダの主力モデル。日本的美意識を追求したシンプルでクリーンなデザインは丸4年を経ても色褪せない。1.5ℓと2.0ℓのガソリン、それに1.8ℓディーゼルがある。試乗車はベーシックな1.5ℓ、111ps。259.6万円。
豊田 「開口部より低い位置に荷室のフロアがあるので、重たい荷物の積み降ろしは大変そう」
豊田 「安心感のあるデザインは普段使っているカーシェアのクルマと近い。シートはプジョーのほうがいいですね。マツダは特にリアシートが硬い。いかにも後部座席、という感じ」
神保 「内装は価格相応というか、外観とくらべると、ちょっと色気が足りないかもしれないです」
神保 「姿勢よく運転できる。ヘッドアップ・ディスプレイは視線の移動が少なくて楽です」
神保 「このクラスのハッチバックは実用的で無駄がない。大きすぎず、小さすぎず、で理にかなっている。ただ、外見でいうと、マツダのほうがヨーロッパ車のようなエレガントさをなぜか感じる」
豊田 こちらは1500ccのエンジン車だからか、走りだすと音や変速の感覚がよりクルマらしいです。ステアリングの接地感は普通で、安心感がありますよね。初めてでも難なく乗りこなせそうなパワーです。プジョーのハイブリッドは速かった(笑)。
神保 けっして速いクルマではないですが、マツダだけあってロードスターと同じ軽やかさがありました。怖さもないし、同乗者が酔うこともなさそう。またドライビングポジションが決まりやすく、運転中のフィット感がとてもよかったです。
フレンチライオンの機敏さはハイブリッドでも健在
Peugeot308 GT HYBRID
2022年に国内発売されたプジョーの主力モデル。ライオンのキバを思わせるLEDライトが目印。試乗車は180psの1.6ℓガソリンと110psのモーターのPHEV。EV走行距離は64㎞。1.2ℓガソリンと1.5ℓディーゼルもある。533.1万円。
豊田 「トランクスルーで長尺物が入る! 荷室が深くて広い。バカンス仕様だから?」
神保 小径のステアリングが特徴的なプジョーの「i-コクピット」。「サイバー感が満載ですね」
神保 「後席の広さは、まあ普通ですね。内装は本革と人工皮革のアルカンターラで高級感はある」
豊田 「プジョーのエンブレムが変わったのは知りませんでした。根底にヨーロッパ車好きというのはあるから、フェンダーにエンブレムがあるのもポイントが高いです。デザインは角張っているものが好きですが、308のラインはエッジが立っているので、わりと好みの部類です。ダイナミックなデザインのホイールもカッコいい。3人家族のファミリーカーとしてはすごくいいサイズ。妻も運転しますが、女性でも取り回しがよさそうです」
豊田 ステアリングが小さくて多角形ですけど、違和感はありません。操舵感も軽すぎず重すぎず、ビタッときます。PHEVだから出だしは速い。モードを「SPORT」にすると、もっと速い! 本当に乗りやすいです。
神保 「SPORT」モードにして、ステアリングのパドルで変速すると面白いです。乗り心地は優しめですね。路面からの突きあげがない。内装とシートは高級感があり、値段相応の乗り心地だと思います。
総評
デザインを頑張っていて、奇をてらっていないものづくりが安心感につながる気がした。「マツダ3に乗っている」と気負う必要がないのがよかったりする。等身大な感じで、例えば奥さんと運転を交代しても無理なく安心です。
僕は周囲から「おっ」と思われるクルマに乗りたいので、自分で乗るならプジョー308、妻が乗るならマツダ3。家族会議では「マツダがいい」と言われそう(笑)。確かにコスパはいいと思うんですけどね。
Text:Naoki Imao