脱毛賢者に話を聞く連載「おい、濃い毛」。初回に続いてお招きしたのは、アパレルを中心にPRを担当する鈴木さん。絶対に脱毛をしたかったその意外すぎる理由とは。
第2回メンバー
S 鈴木貴之
(Stroller PR・脱毛済)
K キンマサタカ
(本連載担当のエディター・脱毛済)
Y 山崎貴之
(UOMO ブランド統括・WEB UOMO編集長・脱毛未経験)
第2回のゲストはファッション専門PR会社「Stroller PR」代表の鈴木貴之さん。
教えて脱毛パイセン。
Y 前回ゲストの(村上)要くんは常に流行の最先端に触れているから、脱毛に関しても広い見識を持っていて、本当にためになりました。同時に、一般男性はどう思っているんだろうということも知りたくなったね。
K ということで今日お招きしたのはアパレルPRとして活躍されている鈴木さん。彼もまた「濃い毛」さんでした。
S 今日はよろしくお願いいたします。
Y 濃い毛におさらばしたきっかけがあったら教えてください。
S 僕は子供の頃から体が大きかったんですね。
Y おお、意外な方向から話題が始まったな。
S とにかく成長が早くて、小学校のときには170cm近くあったんですよ。
K それはでかい。先生よりも大きかったのでは。
S そうですね。みんなが甲高い声で返事する中、一人だけ声が低いから、不機嫌な態度をとったと思われ怒られたこともありました。
Y それは理不尽だ。
鈴木さんの脱毛プロファイリング
S 毛が生えるのも早かったんです。脇の毛も下の毛も小学校高学年で生え始めて、それをみんなにいじられるのが嫌で嫌で……。
K たしかにボーボーの同級生がいたら気になるかも。子供って毛の話が好きですよね。
S おかげで先輩に「生意気だ」と目をつけられました。
K 先輩からしたら、やたらでかくて声が低くて、さらに毛がボーボーに生えてる新入生は、雄として本能的に見逃せなかったのでしょう。
S 下の毛もそうですし、特にすねや脇が恥ずかしかったですね。あまりに毛が濃いから、小学校の体育の時間が嫌でしたし、いつも長ズボンで登校していました。
Y 確かにそれは強烈な経験だね……。
S まさにコンプレックスですね。大人になってあの頃の友人と会うとすごく驚かれるんです。「あれ、意外と毛深くないね」って。
K 同級生は鈴木さんに毛むくじゃらなイメージを持っていたということか。
Y 成長が早かっただけなんだよね。小学校高学年というのは成長の個体差が激しいから。
S ただ、それ以来、自分の体毛が気になってしまったんです。
Y それは根深い。
K 毛深さが、根深さへ。
<エモーショナル陰毛>
K 子供の頃の経験がずっと心にあって、大人になってから脱毛をしたということですね。
S そうです。脱毛の先生にも「そこまで濃くないよ」といわれましたけど、自分は絶対にするつもりでしたから。
Y 最初に脱毛をしたのはいくつの時ですか。
S 30代半ばですね
K 例えば女の子って社会人になって最初のボーナスで脇の脱毛するというけど、鈴木さんは30歳まではどうしてたんですか?
S 最初はすいたり、脱毛クリームを使っていました。やはりサロンは高かったから。
K お手頃価格になったのは最近ですからね。
S 足と腕と脇、VIOをひととおりやりました。ひげはやってません。手足も完全にはなくなってないけど以前より薄くなったので、これくらいでいいかなって思っています。
K ということはアンダーも?
S 残してますね。逆三角形の矢印みたいに。ビキニをはいた時にはみでないような形です。
Y その形状って選べるの?
S 診察の時に説明を受けたんですが、ツルツルは嫌だと伝えたら、そのデザインを勧められました。
K 何で全剃りが嫌だったのでしょう。
S え……恥ずかしいじゃないですか。
Y 具体的に、いつ恥ずかしいんですか。
S うーん、温泉?
K タオルで隠せばいいじゃないですか。
S チラッと見えたりとかした時に……。
K やはり鈴木さんの場合は、過去の経験があるから、人目が気になるんでしょうね。
S そう言われたら、アンダーヘアの一部を残すというのも、みんなと違うことに対する怯えがあったのかもしれませんね。
Y 一般的な話だけど、VIOを脱毛をする時に、若い子は「全部なくていい」と思う人が多いみたい。でもやはり俺たち世代は対抗があると聞きました。
K 世間からしたら男性のツルツルはまだまだ違和感があるということでしょう。
Y もうさ、「お前の毛じゃないからいいいじゃん」って思うよね。
S 自分の毛なんだから自由にさせてほしいですよね。
Y みんな、陰毛って絶対に必要だって思ってるのかな。「あなたの毛が好き」なんて言われたこと一度もないけど。
K 逆にないと「かわいい」って言われますよ。
Y どうせ脱毛するなら全部無くすのが合理的だと考える若者。でも中年はちょっと残す。なんだか未練がましくて、情緒的なんだよね。
<施術後に感じた開放感&解放感>
K さて、実際の施術はどんな感じだったのでしょう。
S 五反田にある知り合いから紹介された小さなサロンでやりましたね。仕事が忙しいこともあってウトウトしていたので、目が覚めたらビックリしましたね。
K その日から生まれ変わったような気分でしたか。自信が芽生えたり。
S いやあ、いきなりは無理ですよ。銭湯にいってもやっぱり隠したし、いきなり毛が減ったのはやはり違和感ありました。
Y もっと堂々とすればいいのに。やはり人目なんだろうね。脱毛に行くときに、誰か友達と一緒に行ったらいいかもしれない。
K 連れションならぬ連れ毛。
Y 俺もやるからお前もって。誰しもひとりぼっちにはなりたくないから。
S でも、最初は恥ずかしかったけど、そのうち利便性を感じました。まさにトイレの話なんですけど。
Y やはりそこに帰着するのか。
S 本格的な登山が趣味なんですけど、山にこもった時はもちろんウォシュレットはありませんし、毛が生えていた時とは紙を使う量も違うんですね。4日間お風呂に入れなかった時も、蒸れないから快適でした。
Y それこそ、山の人たちにもっと知らせた方がいい。前回の介護の話に通ずるものがある。
K 人間はおしりを拭かないと生きていけませんから。
Y この前、「動物は排泄の時に直腸が裏返るからお尻を拭かなくていい」という記事を見たんだ。人間は二足歩行になってその裏返す能力を失ったと。
K だったら人間の進化に必要なのは、ウォシュレットと脱毛なのかもしれません。
Y あ、数十年前に就活で出版社を受けたときのことを思い出した。講談社にはなかったけど、集英社はウォシュレットだったの。ここで働きたいなあと強く思ったんだ。
K 私が面接官だったら落としますけどね。
<しかし、周りの目が気になる>
Y 俺は転校生だったから、学生服が違う、体操服が違うとかそういうことばかり言わたのね。そういうところにうるさい。だから脱毛もまだまだ抵抗があるのでは。
K 海外だと髪、目、肌がみんな違うのは当たり前。大事なのは他人との違いを許容することですね。脱毛がひとつの選択肢になればいいんだけど。
Y 最近はどれくらいのペースで行ってるの。
S 2、3ヶ月に1回。伸びたら行く感じですが、足はやりすぎちゃったかなあと思ってます。腿はなくてもいいけど、膝下はもっとあってもよかった。
K そんなことないですよ。しかし、すね毛がボーボーの人って見かけなくなった気がしますね。
S おしゃれで短パンを好む人は、おそらく何かしらの処理しているんだと思います。あるいは、毛が濃い人はそもそも短パンにならない。
Y なるほど。ファッション業界の人たちは、脱毛への意識も高そう。
S それはあると思いますけど、僕たちの世代はまだまだやっている人は少ないですね。
K うちの世代は過渡期じゃないですかね。子供たちはどうなるんだろう。鈴木さんじゃないけど、成長して毛が生えてくると嫌みたいですよ。
Y そういえば俺も思春期の頃に剃ったことがあるよ。
K 一度気になるともう止まらないですよね。足の親指の毛とか気になるし。
S 自宅で簡単にできる脱毛器が進化しているのも大きいですね。
K 同時に美容への意識の差もあるでしょうね。若い子の方が圧倒的に意識が高いです。
Y おっさんは高くないのかな。これから先はサウナでは、脱毛している人の方が地位が高くなるかもしれない。
S 確かに、サウナで毛を落とさないのはポイントが高いです。
<脱毛は事前に相談してから>
Y しかし、鈴木さんの話を聞いて思うのは、毛というのはみんな生えるわけで、どこまで気にするかってことですね。
K その価値観の過渡期にあって、脱毛ムーブメントが起きている現実もある。
S 若者だけでなく、いずれ40代男性もそうなると思いますよ。
K ということは、いずれかサウナで毛がある方が恥ずかしい時代が来ますね。
Y 楽しみだな。でも、奥さんやパートナーに脱毛の相談すると眉を顰めるらしい。「なんでするの?」って。
K 浮気する男は急にダイエットを始めたり身だしなみを意識するらしいですから、いきなり脱毛したら疑われそう。
S やはり事前に相談した方がいいと思いますよ。お金もかかるわけだし。
K 改めて聞くけど、脱毛してよかったですか?
S はい。トイレもそうですが、全身にいつも清潔感がある気がしますから。
K 山という極めて特殊な条件の話をしてくれたけど、うちらだって、仕事が忙しかったり、酒を飲みすぎたりして、風呂に入れない日はありすからね。
S あと、自分がずっと気にしていた悩みが解決されたのがよかったですね。おかげさまで人前で水着になることへの抵抗がなくなりました。
Y 小学生のときの自分に伝えてあげたいね。大丈夫だよって。
K あとは、一度快適を覚えてしてしまうともう戻れないですよね。さて、山崎さんの心は脱毛に傾いたようですね。
Y そうだね。脱毛しない理由がない気がしてきた。あとは、アンダーは少しくらい毛を残したほうがいいのか、今の悩みはそのあたりかな。
K トリックアートみたいに立体的に見えたら面白そうですね。
S 縦横無尽に生えていた未開の原野に人の手が入って庭園になる様子は圧巻ですよ。
Y それは楽しみだ。
今回のまとめ
・脱毛はコンプレックス解消の面もある
・風呂に入れない特殊な環境で脱毛のメリットを感じる
・いずれ脱毛しているほうが地位が高くなる
鈴木さんが脱毛によってコンプレックスが解消された話はなんだかグッときました。次回は実際にクリニックを探したいと思います。
次回へ続く。
Photo & text : Masataka Kin